就職活動-日本に留学する中国人は優秀ではない?
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以前より、日本企業の外国人採用が活発化してきているというニュースは
至る所で聞かれるようになったが、最近の外国人採用に関する動向に変化が
出てきていることは意外と知られていない。
■外国人採用は、現地の大学生採用へシフト?
多くの方は、日本に留学している留学生を日本企業は採用していると考えて
いると思われるが、実はそういうわけでもなくなってきているのだ。
確かに、ちょっと前まではほとんどの日本企業が外国人を採用するという
場合、『外国人=留学生』という図式が当てはまっていたわけだが、現在は
『外国人=現地の大学生』という図式に徐々に変化しつつある。
なぜか?
既に一部の日本企業では外国人採用の実績を積み重ね、かなりのレベルに
達している企業がある。それらの企業が感じつつあることが留学生の質の
問題だ。このことについて今回は述べてみたいと思います。
■90%以上が留学生の大学
日本の大学に留学する学生は毎年増加している。文部科学省が実施している
『留学生30万人計画』という構想があり、その実現のために多くの大学では
留学生の受け入れを進めている。文科省としては、留学生を多く受け入れ、
日本人学生のグローバル化を図るというようなことが目的なのだろうけれども
大学としては、それ以外にも切実な問題がある。
それは日本人学生の減少である。ご存じの通り、日本は少子化時代である。
今後も子供の数が減っていく中で大学の経営を維持していくのはかなり難しく
多くの大学が潰れている。そんな中、大学にとって留学生というのは経営を
立て直すことが出来るかもしれない一つの希望になっている。
今や留学生のいない大学を見つける方が難しいし、95%以上が留学生で
占められている大学さえ出現している。この大学には日本人は十数人しか
在籍していないそうだ。
大学からすれば、減少する子供を補うために留学生をどんどん受け入れたい。
だから、留学生に関しては日本語能力が一定レベルに達すれば実質的に
願書を出せば大学に入学出来るようにしてしまう。一流大学では、そのような
ところは少ないが、日本人学生を集めきれない地方の大学などは留学生に関して
は非常に緩くなっているのが現状だ。
■受験戦争に敗れた留学生
受験戦争と言うと、日本ではすでに死語に近いのかもしれないが、中国や韓国
では以前の日本のように受験戦争と言える状態が今も続いている。そのような
中でどうしても大学に入れない人たちが出てくる。
また、中国経済の発展もあり、裕福な家庭が増えていることから大学受験に
失敗しても、日本に留学させる親が増えている。つまり、日本への留学はいわば
逃げ道になっているような状態なのだ。それもそのはず。日本語をある程度
出来るようになってしまえば、自動的に大学に入学できるのだから、中国での
大学受験に比べれば楽なものだ。
■就職できなかった留学生
また、これも知られていることではありますが、中国の就職状況は日本以上に
厳しいものがあります。アリ族と呼ばれ大学を卒業しても就職をしない若者が
社会問題化しているほどで、留学生が中国に帰国してもなかなか就職できない
状態になっています。日本人の就職率が過去最悪と言われていますが、中国では
それ以上の就職率の低さになっています。そのような人の中で裕福な家庭に
育った人は、中国の大学を卒業後、日本の大学もしくは大学院に入学する傾向が
あるのも事実なのです。
■結果、日本の大学の魅力度が低くなる
このように、日本の少子化と中国の経済発展・受験戦争・就職難という事実が、
どのような結果をもたらすのか。それは一目瞭然です。受験戦争に敗れた人や
就職できなかった人が多く在籍する日本の大学に本当に優秀な中国人が魅力を
感じるでしょうか?また、大学入試には、事実上日本語能力しか問われない
大学に優秀な中国人が魅力を感じるでしょうか?
優秀な中国人が日本の大学に入学するメリットは一体何なのでしょうか?
日本人である私にさえ何なのか分かりません。
実際、多くの優秀な中国人はアメリカ・ヨーロッパの大学へ留学しています。
■グローバル化へ本気度が増してきている日本企業
このような状況で日本企業も考える。優秀な外国人人材を確保するためには、
日本の大学に留学している人だけではダメなのかもしれない。現地中国には、
日本にはそれほど滞在した経験はないものの、日本語でのコミュニケーション
には何ら問題のない人が沢山いる。そのような、もしかすると中国のトップ
企業や中国国内の外資系企業に就職が出来るような人材を確保することが
現地では可能性として高いのではないかと考えるのも当たり前のことである。
今まで日本企業は、本当に一部の企業しか外国人採用に関して本気になって
いなかった。しかし、今後はグローバル社会でいかに生き残っていくのかと
いう課題をクリアするために、本気で優秀な外国人を取りに来ているという
実感がある。
■グローバル化に乗り遅れている日本の大学
そのような状況にも関わらず日本の大学の取り組みはどう考えても良いとは
言えない。大学も実はグローバル化の波に飲まれているということを認識しな
ければならない。世界各国から優秀な人材を受け入れられるようにならなければ、
結局は意味がない。
■日本人の学生もグローバル化に飲み込まれている
つまりは、これから日本人学生も海外現地の大学を卒業する外国人学生と同じ
フィールドで就職活動をしなければならなくなってきているということだ。
多くの日本人学生がそのような意識を本当に持っているのか?と感じることが
よくあるが、実は気付かぬ間にそのような状態になっているのである。
もう少し危機感を持つべきなのではないだろうか?
しかし、これはチャンスであることも忘れてはならない。中国人やその他の国
の学生と同じフィールドに立つという事は、日本人学生も海外で活躍できる
チャンスがあるという事だ。時代は変わった。その変化した時代に今までの
意識と行動は通用しない。時代に適用できなければ淘汰される。
日本人学生の真の力を見せて欲しい。
■補足:と言っても留学生はスゴイ
今回の記事で、中国人留学生が優秀でないという印象を強く抱いてしまうかも
しれないが決してそうではないことをお伝えしたい。あくまで、そのような
学生が増えてきているということであって全員がそうなわけではない。
優秀な留学生は日本にも沢山いる。外国人人材紹介会社で働いていた私は、
実際に多くの優秀な留学生と出会った。
また、海外に留学するということを決断できる勇気・行動力ははっきり言って
日本人よりも優れていることは言うまでもないことを強調したい。我々日本人
が、全く英語のしゃべれない状態で2年間語学学校に通ってアメリカの大学に
行こうとするだろうか?そんな人が日本にどれだけいるだろうか?たとえ、
受験戦争に敗れたとしても、たとえ、就職できなかったとしても海外に行って
勝負するという意識を持つだろうか?ここに日本人と中国人の大きな違いがある。
中国にとどまらず、日本に来ているという時点で彼らは素晴らしいモノを
持っているのである。
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