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【中国人に聞いたVol.5】中国13億人の経営者と投資家達[Vol.1]

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今、中国では投資に関する話は非常に一般的です。家族団らんの席でももちろんですし、会社でも、学校でも、電車に乗っていてもどこからかそんな会話が聞こえてきます。投資は中国人にとってとても身近な存在であり誰もが何らかの形で投資に関わっているのが普通です。

日本ではあまり考えられませんが、中国では友人・知人が何らかの事業を起こしたいので投資して欲しいという話をもらうことがよくあります。そして、多くの中国人が少額でもお金を出したりしているのが一般的です。私の母親は小学校しか出ていませんが、少額の投資をしています。母親も昔から投資の話をいつも聞いていてそれなりの知識もありますし、多くの投資話の成功例や失敗例を聴いているうちにやろうと思ったようです。中国人はそんな人が沢山いるんです。


 
家族団らんの席で『リターンはどのくらいだ?』という会話はごく一般的な家庭でもある見慣れた風景だそうだ。至るところでこんな話がされているらしい。中国人にとって投資というものは非常に身近なものであり、普通の家庭でも話し合われているごく一般的な話題のようである。
 
それにしても、多くの中国人が何らかの投資をしていたりするのは正直なところ驚く。日本人は特にコツコツと地道に生きることに美徳を感じ、一発逆転的な考え方はネガティブなイメージを持っているので、投資については本当に疎いし興味がそもそもない。それにしても、なぜ中国においてそんなにも投資が一般的なのだろうか?その事を考えることで、中国をここまで急速に発展させた原因が分かってくるような気がする。そして、いかに日本とは異なる成長過程をたどっているのかも理解出来るのではないだろうか。
 
日本も戦後もそうだったように、欧米のように豊かな生活にあこがれ一生懸命仕事をしたように、中国でも貧しい生活を少しでも良くしようという意気込みを持っている。それはまさしく欧米に追い付け追い越せと日本全国で大号令がかかったかのように働き続けた日本人そのものである。しかし、中国の場合、日本と違ったのは豊かになるための「手段」である。
 
中国の場合、豊かになるための手段は、「会社経営」と「投資」である。日本のように「労働」こそが豊かになるための「手段」であると無意識に思っているのとは違う。
 
なぜ豊かになる手段が「労働」ではなかったのか?それは中国人の価値観にある。日本人には、自分自身で会社を起こすなんてことを考える人が少ない。それは、小さい頃から優秀な労働者になる為の、教育や習慣の中で生きてきているからだ。会社を起こしたいと思った時点で優秀な労働者ではない。(この辺りのことは次回くらいに詳しく書きたいと思っている。)
しかし、中国においては労働者になりたければなればいいし、経営者になりたければなればいいのだ。もちろん、いろんな制約により出来ないこともあるが少なくとも中国では日本のような優秀な労働者を作り上げるための教育・習慣はない。
 
そうなると、豊かになる為の手段として「経営者」を選ぶ人が増えるのは当然である。経営者の方が豊かになれる可能性が圧倒的に高いのだから。特に以前のように給料も低い時代に労働で豊かになれるなんてことは中国人にとって考えられないことである。今でこそ経済発展したおかけで労働により豊かになるという人も増えてきているようだが、中国は発展してきた手段が「労働」ではないのは紛れもない事実なのだ。とにかく、中国の場合、自分でビジネスをしたいと思う人は日本とは比にならないくらい多い。
 
しかし、どんなに新しい経営者が現れても事業をするには、資金がいる。経営者になりたい人が沢山いたところで経済は発展するわけでも豊かになるわけでもない。特に貧しい人が多かった時期に事業を始めるのはとても難しい。しかし、その問題については中国の歴史的習慣と豊かになりたいという憧れが解決することになった。
 
中国では、家族関係が非常に濃い。家族だけでなく、親戚や近所づきあいは日本とは比べものにならないくらい濃い。つまり、家族・親戚・近所と強く結びついているのが中国の特徴である。そんな中で新しいビジネスを立ち上げたい人が出てくるとどうなるか。自然とみんなで少額でもお金を出すようになるのだ。

そのようにして、その資金を元手に新しいビジネスを立ち上げることが可能になったのである。そして、お金を出す人も豊かになりたいと考えているわけだから、リターンを期待するようになる。共にお金を出し合ってビジネスを成功させようとみんなで一生懸命になる。
 
中国は、約13億人の人々の多くが経営者意識を持っているし、投資家意識を持っている。最初は小さなビジネスでも成長することで投資者も経営者も共に富を築いていくことが出来たのである。そして、このサイクルを回すことでさらに豊かになっていったのが中国なのだ。今では世界中からお金が中国に集まるようになっている。

<<<続く>>>


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