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日・中・韓の共有すべき「ゴール」とは?

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先日、韓国大統領が竹島を訪問し、直後には尖閣諸島に香港の活動家が上陸した。しかし、日本政府は何も言っていないのに等しい。野田総理は首相官邸に入っていく時に歩きながら報道陣にどのような対応をするのか毎回一言言うだけである。玄葉大臣は報道陣に対していくらかコメントをしているものの、多くは語らない。しかし、今回ばかりは日本の国民感情として黙っていられず多くの人が外交姿勢への批判を活発化させている。そして、ついに日本人活動家も尖閣諸島へ上陸した。国の対応に我慢ならなかったと日本人活動家は言っていたらしい。

それにしても、この3カ国のゴールはどこにあるのだろうか?と私は思う。このままお互いがお互いを勘違いしたまま永遠に不愉快な思いをしなければならないのだろうか?今のようにお互いが歴史認識の違いを言い合うとこの問題は解決するのだろうか?そうとは思わない。今回の問題の根幹を成しているのは、間違いなくあの戦争が引き金になっていることは間違いないと私は思う。その時の対応の悪さのツケが今でも影響を及ぼしている。あの時のことをすっきりさせることがまず第一なのではないだろうか。もし、このことを放置したままでは、結局は3カ国に永遠に遺恨が残ることになる。

どんなに日本が正統な理由を提示しても納得していない相手がいることは事実であり、それに対して正しい対応をしなければならない。逆にこのことをはっきりとさせることが出来たのであれば領土問題もかなりすっきりする。もちろん問題は残ると思うが、しかし、そこまで進めば今ほど大きな問題にはならない。(何の得にもならない島をこれほどまでに重要視するのは、石油資源やガス開発という利権の問題が絡んでいるからに他ならない。国民感情や歴史問題がそれを大きな問題にしてしまっているだけだ。国民感情・歴史問題を抜きに考えることが出来るようになればこれほど大きな問題にはならない。)

私は、今の戦争へのツケを返すことが出来ていない最大の原因は、この3カ国の間でこの問題について何のゴールも示されていないことだと思っている。日本は、どんな状況にしたいのかという目指すべきところを提示することもなく何も言わず時間がたつのを待っているだけだ。しかし、中国・韓国は反日教育によって半永久的に日本を悪者扱いすることを決めている。そして、今ではどんなに間違った考え方でも自分自身を否定することが出来ないゆがんだ社会になってしまっている。お互いに全く違う考えのもと目的も目指すものもなく永遠と言い争いを続ける環境になっている。この問題に対して各々が別々の方向を向いた状況を打破しなければならない。

そのためには、この3カ国間でこの問題に対する『共通した』目標やゴールを設定し国民レベルまで浸透させる必要がある。なぜなら、この3カ国の国民がその目標・ゴールに向かって議論することでお互いの考え方や国民性を国民レベルで知ることが出来るようになるからだ。お互いがお互いを知ることの中にこそ、この3カ国間が抱える問題の解決策が存在すると思う。お互いがお互いを知らず自分たちの論理と倫理を振りかざしているだけの今の状況からは何も生まれない。議論さえしない今の状況からは何の前進もない。しかし、『共に』同じ方向を向くことが出来れば、『共有した』目標・ゴールがあれば前に進むことは絶対に出来る。

では、どんな目標・ゴールがいいのか?私が思い描く共有すべき目標・ゴールは、3カ国ともに戦没者への慰霊の気持ちを『共に』表わすことが出来るようになることである。自国の戦没者のみを慰霊するのではなく、あの戦争でなくなった人々を国籍に関わらず慰霊の気持ちを表せるようになることである。具体的には、合同での戦没者慰霊祭を各国の国民レベルで行えるようになることである。それこそが私の思い描くゴールである。それは、この3カ国にとって最も良い目標・ゴールであると私は信じている。同じ東アジア圏の人間としてあのような間違いを再び起こさないための最も良い目標・ゴールであると思う。この3カ国はこの気持ちを持っていないわけでは決してない。絶対に同じ間違いを繰り返すよりも同じ地域の人間として共に発展出来た方がいいに決まっている。特に今の時代、1国だけが発展することが出来るような時代ではないのだから。

しかし、今の状況はその目標・ゴールからは程遠い。今まで、お互いがお互いを知ろうとしてこなかったために様々な問題が起こると思う。時には耐えがたい思いをするかもしれない。しかし、この3カ国はこの苦しみを国民レベルで経験しなければ決して『共通した』ゴールへ到達するための解決策を得ることは出来ない。しかし、その厳しいであろう過程を『共有』したからこそ、そのゴールを大切にすることが出来るはずだ。人間は、『共に』苦しんだ行為が無駄になることを一番嫌がる動物である。一度、共に解決への苦難を『共有した』からこそ、このゴールに大きな意味を持たせることが出来るのだ。苦しんで得たものだからこそ、それを大切にする。そして、それを子供たちにも引き継がせることが出来る。苦難を乗り越えたという誇りがその3カ国の国民に共有される。

今、我々が求められているのは3カ国間で共通した物語を語れる人・組織・人々だと思う。3カ国が共に共感出来る物語を語り、この3カ国がさらなる発展へと導いてくれる物語を語る人・組織・人々が必要だ。もはや、それぞれの国の利益を最大化しようとする国家レベルの外交ではこの問題は解決することは出来ない。

この問題を解決するための物語を語るのは人という個人かもしれない。インターネットが発展した現代であればそれは十分に可能である。または、それは企業かもしれない。3カ国に進出している企業は非常に多くある。そして、この3カ国の人々が共に働いている企業は沢山ある。それら企業が中心となって活動することも出来る。もし、それが実践出来る企業が現れたら、それは今までになく高い社会的貢献活動になるし、この3カ国における知名度・イメージ・信頼度はとてつもなく高いものになるだろう。

とはいえ、まずは目標・ゴールを設定することが大変だ。そのために、やはり地道にお互いの交流をさらに発展させることから始める必要がある。特に日本人は内向きの性格は直さなければならない。また、中国・韓国のように話せる英語教育をさらに推し進める必要がある。多くの日本人は議論のテーブルにさえ上がることが出来ない人が今の段階では多すぎる。交流することすらできない。

誹謗中傷は誰にでも出来るし、何も生まない。そうではなく、共通した何かを見つける活動を一人ひとりがしなければならない。

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