オレと人生と元コンパイル社長の新作「ダブルタワー」とテストプレイとポエム
こんな状態からでも余裕で逆転できるカオスなゲーム性
ぷよぷよで有名なコンパイル前社長、moo仁井谷氏( 御年75歳)の新作。。。の新作ゲーム「ダブルタワー」をテストプレイさせていただくという光栄なことがありました。もしかしたら年齢的に仁井谷氏の最後のゲームかもしれない。経緯は「ダブルタワー」がスイカゲームのパクリやんかとつぶやいたら、テストプレイすることになった。
子どもの時から知っている仁井谷氏から、一度も絡んだことがない無名な自分に来たので驚いた。
そんなわけで、みんなも、ダブルタワーのことをつぶやいたら、テストプレイ用のexeファイルがもらえるのかもしれないのでxやyoutubeでダブルタワーについて話そう。もらえへんかもしれないけど(無責任)
[配布] #ダブルタワー 「あのゲーム」との違い。ルーレット? ダブルタワー? #画面破壊 ?と思っている方。プロトEXEで遊んでみませんか?お約束は、再配布しない、ライブ配信しない。週に一度はプレイ動画をSNSで拡散するです。ご希望の方は、私までDMください。先着10名様限りです。 pic.twitter.com/h5E5JFjZwW
— 仁井谷正充 (@mooniitani) March 23, 2025
スイカゲームのパクリと思わせて、かなり違う。だいぶ違う。面白い。
スイカゲームのイライラするところを、パチンコとぷよぷよを足して、打ち消した感じがする。楽しい。スイカゲームほどイライラしない。
スイカゲームとパチンコとぷよぷよを足して2で割って3を掛けて、チョコレートソースを塗った感じだ。たしかに、ドクターマリオをパクッて「ぷよぷよ」ができた過程に似ているのかもしれない。
- ブロック(建物)を1-4個落とす。要するにスイカより数が多い。
- 同じ色が隣接すると食べられる(同じ種類ではない)。ある程度、食べられるとブロック(建物)が進化する。
- ルーレットが常に回っており、止まった数だけブロックが同じ色になり、多くの場合、殺人的に連鎖が起こる。
- ブロックが画面半分よりちょっと上まで行くと確変が起こる。落ちてくるブロックの数が減る。
- いろいろあるけど、やることはブロックを落とすだけなので、あんま細かいことは分からんでええかんじ。言語化は難しい。
スイカゲームみたいにちまちまする感じではなく、ドカーっと1~4個のブロックを落として、ルーレットでドカドカと消える豪快な感触は楽しい。同じ種類のブロックを隣接すると消えるのではなく、同じ色が隣接すると消える。ルーレットのエフェクトがぷよぷよっぽい。
誰がどう見てもぷよぷよのエフェクトやね。これはセガに売らなかったようだ
ルーレットで4と出るとフィールド内の4個がいきなり同じ色になる。7と出ると7個いきなり同じ色になってドカドカ消える。一方で、いきなりブロックが3個も落ちてくるのでスイカゲームより爆速で画面上部まで積みあがる。ゲームバランスとはなんなのか議論するには良い作品だと思う。
ルーレットという謎要素のおかげで連鎖がドカドカ起こる。気持ちいい。なんだろこれ。ブロックが消える時のモーションがパクパクしててかわいい。
ブロックが左右にあふれでてもゲームオーバーにならない親切仕様。上につかなければよい。落ちものとして信じられないが、ルーレット回れば、ここからでも余裕で復活する。
スイカゲームは、連鎖があまり起こらないし、細かいフルーツがすき間に詰まると無理ゲー化する。そのへんのフラストレーションを解消してるのが素晴らしい。
ただ、細かいルールはよくわからんのもパチンコに似てる。よーわからんけど、延々と遊べて、ルーレットがくるくる回って連鎖がドカドカ起きてるので、パチンコに似てる。カジノのスロットにも近い。気づいたら自動的に遊んでる感はある。
この説明、わかりにくいかもです。#ダブルタワー pic.twitter.com/lZmQSOSb8e
— むらかみふくゆき Fukuyuki (@fukuyuki) March 21, 2025
正直、↑この説明(仮)を読んでも、ルーレットのルールが分からなかったが、やることはブロック(建物)を落とすだけなので、分からなくても困らない。
ただ、一方で、ステージによっては、「これ無理」もいうステージもある。色数多すぎてそろわないとか、フィールド狭すぎとかあるが、ステージ選択制なので選ばなければ良い。
7色とか無理ゲーすぎるw #ダブルタワー pic.twitter.com/gv1D4Tojy9
— むらかみふくゆき Fukuyuki (@fukuyuki) March 21, 2025
ゲームモードが多すぎて、よく言えばボリュームあるのだが、490円でそこに力を入れるべきなのかは謎。心配になる。
むしろ、子供のほうが、あそんでる。スイカゲームは実は難しいので、いろいろルールを考えてしまう人より、なんも考えない人の方がはまるかもしれない。
様々なゲームモードと面数がありすぎて、全部遊んでいない。
とくにいいのは、夢の悟参謀沼があり、それぞれカオスなパラメータ設定がされている。
遊んでいるのは、ラジカセの夢というモードで、細かいブロック(建物)が、おもちゃ箱をひっくり返したように落ちてきて、連鎖がめちゃくちゃ発生するのがいい。ここまでくるとパズルゲームというよりカオスでZANACの後半の面に通じるものがある。人生に疲れたときに遊ぶと楽しい。その他、スーパーボールのようにブロックが跳ね回るステージや、ブロックが遅すぎてカオスなステージもある。
スイカよりカオス。このあと連鎖で8割くらい消えた。
コンパイルと人生
自分の10代で仁井谷元社長のコンパイルの位置づけは大きい。おそらく、今40代50代の元MSXユーザーからすれば、仁井谷氏のコンパイル社の与えた影響は大きい。もう今の若い人は知らないだろう。
MSXは80-90年代のプログラミングができるゲームパソコンである。それで育ったIT業界の人はかなり多い。有名どころだと、西村博之や、イーロン・マスクである。(イーロン・マスクは非公式MSX互換機だ。イーロン・マスクの12歳の頃のMSX-BASICっぽいコードもネット上にある)
自分も中学生時代にMSX-FANという雑誌に何度かゲームが掲載され、子供心に承認欲求を満たされた。それでプログラマになった奴は日本に256億人くらいいるだろう。
MSXで多数のゲームを出していたのがコンパイルで、多くのマイコン少年は大きな影響を受けたと思う。特にコンパイルのシューティングゲームはZANACもアレスタも好きで死ぬほど遊んだ。
特にディスクステーションという、低価格でミニゲームを詰め込んだディスク雑誌は当時中学生の自分の財布に優しく、実験的な作品が多くて、刺激になった。特に魔導士ラルバや魔導物語も好きだった。コンパイルという集団は影響は大きかった。
大学に入ると、サークルでは「徹マン」ではなく「徹ぷよ」だった。しかし、あんまり落ちものゲームは好きではなかったので、あんまりやらなかった気がする。
我々の周りの人間でもコンパイルに入社した人もいた。
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実兄もコンパイルに入社した。法学部労働法専門の兄がコンパイルに応募したら、入社面接で仁井谷氏の前でカラオケを披露させられるらしく、見事カラオケで合格し、最終的にCGデザイナーになった。法学部もカラオケも、どこにもゲームもCGデザイナーも要素がないのに就職できてしまった。即戦力がどうのという今の時代と反対である。
一方で、自分の情報系の研究室の先輩もコンパイルに入社したが、コードは研究室のいちばんバリバリに書けたのだが、本当に本当に社会性がなさすぎて、ぷよまん工場(まんじゅう工場)に飛ばされたと聞いた。
法学部の兄と、情報系の先輩のコンパイルでの末路が違いすぎて面白かった。
しかし、コンパイルは和議申請を出して、最終的には倒産した。転職が今ほど一般的でない時代にオカンがすごい心配していた。カネを時間を注いで大学まで行かせた自分の子供の会社が入ってすぐ倒産したら、そりゃ心配するよな、と親になると分かる。親になると教育費の高さにビビるよね。そんな、仁井谷氏も、ぷよぷよの大ヒットの後、コンパイルが倒産してから、たまにメディアでぷよぷよでヒットしたけど借金ウン十億の元社長みたいな扱われ方をして、思うことは多い。
今や75歳、youtubeでも活動してる。たまに仁井谷氏のチャンネルを見る。松戸のアパートで、老人になった仁井谷氏が、一人語りをしたり、ゲームやったりウクレレ弾いてたりしているのを公開している。そういうブランディングかもしれない。再生数もそんなにない。我々も老後はどうなるのかと考えさせられる。心配になる。
前回の「にょきにょき」から10年近く、またゲームを作るバイタリティは尊敬する。次のゲームが出るとしたら、さらに10年後かもしれない。その10年後はあるのか分からない。
鳥山明といい、スティーブ・ジョブズといい、藤子不二雄といい、中島らもといい、北根紀子といい、仁井谷氏のコンパイルといい、桜玉吉といい、自分を形作った作品を作った方々が老いていき、そして、時には鬼籍に入っていく。自分も年を取って、影響を受けた方々が老いていき、人は何を残して死んでいくのかと、何も残していない自分は考えさせられることは多い。
そんななか、ダブルタワーのテストプレイを依頼していただいたことは非常に感慨深い。
その仁井谷氏が、「インフルエンサーマーケティングで爆発的にヒットしたスイカゲーム」をパクって、昔のメンバーを集めて、もう一旗上げようとしている。ドクターマリオから、「どーみのす」や、「ゴルビーのパイプライン」をへて、ぷよぷよがでたように二匹目のドジョウをそだてている。(そもそものスイカゲームも今調べたら、中国のゲームのパクリだった)
Makuakeさんでクラウドファンディングする予定なのだが、金額は500万円だ。今どきのゲームのクラウドファンディングにしては控えめだが、一万%くらい行ってほしい。
昨今、稲船さんなど、往年のゲームクリエイターがクラウドファンディングすることは多いが、75歳でゲームのクラウドファンディングはあまりない。
ゲームとして、どうのこうのというよりも、一度ヒットしたゲームクリエイターの老後を考える作品として、クラウドファンディングに関わるのもよいのかもしれない。
人は何を作って、何を残すのか今一度考えたい。何も残せなかった人種としてそう思う。