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『まさにベンチャーはアドベンチャー』取引先のベンチャー経営者がいつも私に言っていました。傍から見れば楽しそうでほほえましくも、当事者はみな真剣。そんなベンチャーで発生するさまざまな出来事、珍事、事故…などを真面目につづっていきたいと思います。

経営者が必ずかかる5つの病気とは

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こんにちは、寒がりのため自宅にこもり、買い物のネット比率が飛躍的に向上している藤岡です。

さて、『安岡正篤 心に残る言葉』という本を読んでいて、『経営者は必ず5つの病気にかかる』という部分があり、ベンチャー経営者についてもこれはあてはまると思いました。

1.甘え
2.うぬぼれ
3.おごり
4.慢心
5.マンネリ

これが必ずかかる5つの病気です。

確かに、業績がよくなり、周囲にチヤホヤされて、メディアにも取り上げられるなど有名人化しつつあるときに、上記のどれかの病気にかかり、会社が傾く例を多数見てきました。

一方で、しっかり継続成長をしている社長は、この病気が不治の病にならないためしっかり治療・予防していると思われます。

治療・予防をしっかりされているお付き合いのある経営者から事例を4つほどご紹介します。

1)某上場ベンチャー経営者 : 『毎朝、尊敬する松下幸之助から経営者としての心構えを聞く』

40才過ぎでとても思慮深く、人徳者として社員から慕われていた社長です。
仕事でその社長のクルマの助手席に乗り、移動することがありました。
1時間程度の移動時間、かかっていたのは音楽ではなく、

『松下幸之助の経営に対する心の置き方についてのCDブック』
でした。

松下幸之助の声で、『謙虚であれ・・・、素直な心になるために、、』というような訓示がずっとかかっています。
聞けばこの社長、経営者としての人格・品格を維持するために、毎日の通勤時や空いた時間があればこうして自分を律しているようです。

2)某ITネットベンチャー社長 : 『わずかな時間でも経営書をオーディオブックで聴き、自らを磨く』

30代後半で、急成長を遂げているITベンチャー企業の経営者です。
この社長、やんちゃな部分もあった方ですが、幹部の不始末やIPO延期など大変な想いをした後、自らが前面にでるスタイルから社員をしっかり育成していくマネジメントスタイルに変え、成長軌道を回復させました。

この方は毎朝のように10kmほどジョギングして出社しているのですが、その時にオーディオブックで、ドラッカーなどの経営書を『聴き』、自分を戒めているようです。わずかな5分の移動時間などでも経営書を『聴き』、自分を高めているとも言っていました。

人は等しく24時間しかないので、移動時間など少しでも有効に使うことでそれが大きな差になると。
その時間をいかに捻出できるか。彼は、経営書を2倍速で聞くことでさらに時間を捻出しているようです。
ちなみに2倍速で聞くと、頭の回転が速くなる効果もあるようですよ。

他人と少しでも『差』をつけることを意識しているとお話されていますが、自分の努力の甘さが身に染みました。

3)某ベンチャーキャピタル社長 : 『敢えて難しいチャレンジを行い、自らを追い込む』

この社長は無茶と思われるような難しいチャレンジをして、自分を刺激し、高めなければいけない状況をつくっています

例えば、その社長はとある会合で某メガバンク頭取と名刺交換する機会があったのですが、普通の人なら挨拶して終わりです。しかし、彼はそれを機に、頭取に直接メール。アポを取って、自社の投資ファンドに出資してくれるようにお願いしにいきます。まだ会社を立ち上げて間もない頃の話です。

その頭取からは『きみ、普通は頭取に直接このようなことはしないよ』と叱られたようですが、その心意気に触れ、頭取の肝入りでファンド投資が決まりました。そんな大物に話をもちかけるのは普通なら気が引けますが、敢えてしたそうです。

この社長いわく、無謀と思われるくらい大きなチャレンジをしていくことで自分にハードルを課し、律しているようです。

4)某上場企業社長 : 『慢心をふせぐために上場を目指した』

外部のガバナンスがあることで、慢心を防ぐことができる、だから上場を目指した、と言い、実際に上場した社長がいました。

なぜそう思ったのか? 聞けば、以前勤めていた会社は儲かっていたのですが、プライベートカンパニーで経営者がしたい放題していたそうです。幹部に対してPLもBSも開示しない。社長の給料も秘密。
これでは幹部としては、会社のコストも、利益もわからず経営議論もできない状況。
なによりも、この社長のため、この会社のために頑張ろうという気が起こらない。

このような会社を見て、自分が会社をやるときは外部ガバナンスがしっかり効いたオープンな会社にしようと強く思ったそうです。本当に上場してしまうあたりはさすがですが、経営陣の報酬や経営戦略もオープンな素晴らしい会社として成長した会社です。

上記以外でも立派だなと思う経営者の特徴として、『社交的』というのがあると思います。
会食・ゴルフも含め、いろんな方、異業種で成功されている方と積極的に出会い、刺激を受け、慢心を防いでいます。

"この人はすごいな"、と思うような経営者が、突然飲みに誘ってくれたりします。
『私なんかとなぜ食事に行くのだろうか?』と思うのですが、常に新しい人との出会い、会話を求めて、そのような病気にかからないために意識しているのかと思います。名声も地位もある方にも拘わらず若い私から貪欲に話を聞き、学ぼうとしてくるのには頭が下がります。

いつも同じような仕事、同じ仲間、心地がよい仲間や部下といるとこの5つの病気になるように思います。

自分自身も独立して2年目、この病気にかかっているのではないかとドキッとした次第です。
お正月はこの5つの病気にかからないよう今年の行動指針を決めたのでした。

では本年もよろしくお願いいたします。

藤岡

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