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シリコンバレー駐在のIT商社マン、榎本瑞樹(ENO)が綴る米国最新ICTトレンド

デジタルサイネージEXPOレポート(2)

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デジタルサイネージEXPOの第2弾です。

カナダのトロントに本社を持つiSign社は2006年に設立されたスタートアップで、インタラクティブ・モバイル広告をグローバル企業に展開しています。簡単に言うと店頭にきたお客さんの携帯電話やPDA、スマートフォンなどモバイル端末に対して広告を配信するプラットフォームを提供しています。

どのように動作するかというと、店頭に配備されたタッチパネルにBluetooth技術により自分の端末IDが映し出されます。そして、広告やクーポンが欲しい場合はOKを押すとテキストや動画が配信される流れです。例えば電気屋さんの場合はテレビやパソコンの広告が順番に配信され、来店者は自分の探しているカテゴリーの広告のみ受信し、いらない広告は断ることができるパーミッションベースのモデルを取っています。これらの来店者からの反応(趣味・嗜好)はBluetooth IDによって識別され、リアルタイムにデータベースに蓄積されていきますので、次回来店の際には効率よくターゲット顧客層に訴求することができるというものです。同 社の新製品IMS2.0というお弁当箱くらいの箱はLinuxベースのキャッシュサーバで30㎝から100mの範囲でモバイル端末をキャッチすることがで き、コンテンツ配信を可能にします。テクノロジー的にはBluetoothを活用したインタラクティブなシステムとしては業界初で特許申請中とのことでし た。マルチ言語対応、128bit暗号化あたりも特徴でしょうか。

CEOのAlex Romanov氏より具体的な事例を聞くことができましたのでご紹介したいと思います。なんと日本のベスト電器シンガポールでのテストプロジェクトでした。何 故、シンガポールかというと日本では業界7位と低迷している同社ですがシンガポールの家電シェア3位ということでシンガポールでの店舗が選ばれたそうで す。昨年10月~12月の3ヵ月間、同社の6店舗に96台のIMSユニットを配備してトライアルを実施したところ150万以上の来店者からの反応があり売 上増加に繋がったそうです。従来の紙ベースでの広告では1%、テレマーケティングでも3%程度のレスポンスがあればよいところ今回は15%以上のレスポン スがあり売上も2倍に伸びたとのこと。

同氏によると「このプロジェクトにより我々のProof of Conceptが実証され、2009年中には日本全国のフランチャイズを含む500店舗、1万台の導入がコミットされている」とのことで日本の皆さんにiSignソリューションがお目見えすることになろうかと思います。

 尚、Bluetoothの規格策定を行っている「Bluetooth Special Interest Group」によると、今年中に現在の企画から高速化とエネルギー効率化を向上させたもの(PCから携帯電話にファイル送信する場合には20Mbps~24Mbpsの転送を可能)がリリースされるとのことで配信されるコンテンツも動画でも問題なく視聴できることになるのでしょうね。

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