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デジタルとアナログの間を行ったり来たり

上野の森美術館「ネオテニー・ジャパン」展

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 7月8日の朝日新聞夕刊で「精神科医、現代美術に向かう」という記事を見て、興味を持った。誤解を恐れずに言えば、芸術と狂気は紙一重なのではないかと思うこともある。そうした観点から現代アートを見てみるのも面白いだろうと思った。なお開催は7月15日まで。

「ネオテニー・ジャパン」展入口 うーん。作品にもよるがこれは現代アート展の中でも、なかなかクセのある方だと思う。

 前に国立新美術館で開催されていた「アーティスト・ファイル2009」とは対照的。こちらは整然としていて、安心して見ていられるような洗練された現代アートだと感じた。

 一方、今回の「ネオテニー・ジャパン」展はどぎつさのようなものがある。作品によっては隠れた狂気じみたもの、常識の破壊や矛盾などを感じて受け入れがたいと感じる人もいるのではないだろうかと心配したくなるほど。

 だが、斬新な発想や、皆が見えないものに気付いて独自の技法で他人に伝えるというのも芸術ならではだということを改めて気付かされた。そうはいえど、感嘆と違和感が混じり合うような不思議な展覧会のような。

 なんだろう。未発達な段階における視線から見たまばゆい世界というか。過剰で無意味な装飾。矛盾やナンセンスをあえて強調する強引さ。残虐性や暴力性、でも無害で無頓着。実感のない生命と死体。空虚さ。無味無臭な気味悪さ。浅はかさ。執拗なまでの執着。もろさや繊細さ。・・・そんな言葉が思い浮かんでは消えた。立派なコレクションではあるが、素直に直視できないというか、どこか警戒したくなるような複雑な気持ちになる。

 ただこうした作品群に「ネオテニー・ジャパン」と名付けたところは、「的を射ている」と激しく同意。

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