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デジタルとアナログの間を行ったり来たり

落とした物をネットから探せる日は近い

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 先日、乗り換えで永田町駅に降りた。半蔵門線から南北線へと向かう途中、メガネが落ちているのを見つけてしまった。

 あ、メガネだ。

 誰かの落とし物だろうな……と思いながら、メガネの脇を通り過ぎた。だが数歩進んだところで歩くのを止めた。見えてしまったからには、素通りしてしまうのは心が痛む。どうもそういうタチなのだ。

 生まれてこのかた裸眼でメガネを必要としたことはないのだが、おそらくメガネを使う人ならメガネを落としたら困るのだろうな。それにメガネを使う人はフレームに凝ったりするようだ。放っておけばフレームごと誰かに踏まれてしまうかもしれない。なんてあれこれ考えてしまう。

 うー……。よし。

 くるっと振り返って、来た道を戻りメガネを拾った。けっこう軽い、やや緑がかかった明るい青のフレームだった。メガネは柱のすぐそばに落ちていた。そこで落とされたのか、誰かに蹴飛ばされて柱で止まったのかは分からない。とりあえずどの柱か説明できるように端から柱を数え始めてみた。

 1、2、3、……。あれ。

 よく見たら柱の上にそれぞれ番号がついていることに気付いた。この番号を覚えておけばよさそうだ。そして拾ってから少しの間、落とし主らしい人がいないか周囲を見渡してみたが、どうやらいないようだ。次に案内板から駅係員室の場所を確認し、有楽町線方面の改札に向かった。

 駅係員室に向かう間にあらためて柱に目を向けてみたが、先ほどのような番号は見当たらなかった。南北線が新しいからそのホームだけ特殊なのだろうか。そして駅係員にメガネを渡し、拾った場所の柱番号を伝えた。係員は「おやまあ、わざわざ」みたいな顔をして受け取ってくれた。

 あのメガネ、持ち主の元に帰れるだろうか。帰宅してふとメガネのことを思いだした。持ち主が永田町で落としたことに気付くといいのだが。気付いたとしても問い合わせをするだろうか。泣き寝入りしてしまうだろうか。そこでネットで落とし物の行方を探してみると、興味深い法律を見つけた。

 遺失物法。

 これはその名の通り、無くしたもの(または本来の所有者の占有を離れた物など)に関わる手続きを定めたもの。この法律は明治時代から存在していたが、つい1年ほど前、2006年6月にはほぼ全面改定する形で新しい遺失物法が成立したばかりのようだ。施行は今年12月を予定しているとか。ということは、あと少し先だ。

 新しいバージョンの同法で興味深いのは「遺失物に関する情報をインターネット等により公開する(8条2項)」と定めてあることだ。ネットから落としたものを探せるようになるらしい。

 実際、具体的にはどこまで探せるのだろうか。どんな探し方をするのだろうか。いつの落とし物からネットに登録されるのだろうか。なんていろいろと疑問が頭をめぐった。新法の恩恵をメガネの所有者がうけられるかどうかはわからないが、なにはともあれ、あのメガネが持ち主の元に帰れるといいなと思う。

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