企業ユーザーが使うタブレットは96%がiPad、モバイル端末の53%はiPhone【企業ユーザーのモバイル機器利用調査リポート】
ちょっと見逃せない調査リポートが公開されていました。2011年第4四半期(10〜12月)のアクティベーション数で見ると、タブレット市場はiPadがほぼ独占、モバイル端末(タブレット+スマートフォン)全体では約半分がiPhoneを利用、iOS対Android OSでは71%がiOSという結果だったそうです。
このリポートを発表したGood Technology社は、企業モバイルユーザー向けセキュリティ管理製品ベンダーで、定期的にモバイル機器利用調査リポートを公開しています。今回紹介するリポート(PDF)は、以下からダウンロードできます。
●Good Technology Device Activations Report, Q4 2011
http://www.good.com/resources/Good_Data_Q4_2011.pdf
調査対象としている端末は以下の10機種で、調査対象の企業ユーザーは Good Technology の顧客です。
● iOS:iPhone 4S、iPhone 4、iPad 2、iPad、iPhone 3GS
● Android:Samsung Galaxy S II、Motorola Droid Bionic、Motorola Droid 3、Sprint EVO 4G、Motorola Droid X2
※RIMのBlackBerryとMicrosoftのWindows Phone 7は、この調査には含まれていません。
※このリポートでの「アクティベーション」は、新規に端末を購入したときに行うアクティベーション(開通手続き)ではなく、Good Technology社と契約を結び、同社のシステムを使用しているモバイル端末を指しているようです。実質的には「稼働率」「利用率」だと思ってよいでしょう。
※以下、図の出所はすべて「Good Technology Device Activations Report, Q4 2011」© Good Technologyより
次の図は、端末タイプ別のアクティベーション比率です。左からiOSスマートフォン(iPhone 3GS/4/4S)が53%、iOSタブレット(iPad/iPad2)が18%、Androidスマートフォンが29%、Androidタブレットが1%となっています。タブレットだけを見るとiOS対Androidは 18対1 となり、iOSタブレットが94.7%のシェアを占めることになります。
またモバイル端末全体を見ると、iPhoneシリーズは53%と圧倒的です。
▼端末タイプ別のアクティベーションの割合
では、個別の機種(上記10機種)ではどうなっているでしょうか。次の図を見てください。
トップは iPhone 4Sの31%で、iPhone 4が17.6%、iPad 2が14.9%と続きます。Androidのほうは、一番売れているSamsung Galaxy S IIでも1.7%です。
▼モバイル端末トップ10機種のアクティベーションの割合
OS別の比率を比べたのが次の図です。iOSが71%で、Android OSは29%となっています。
▼iOS端末とAndroid端末の利用割合
ここまで見てきて注目したいのは、このリポートが企業ユーザーを対象に行われたものであること、そして、「端末タイプ別のアクティベーションの割合」のグラフでもわかるように、iPadの "社内での" 利用比率がじりじりと上がっていることです(ちなみに、2011年Q4の全世界でのタブレット端末出荷台数は前年同期比150%増。Strategy Analytics調査)。リポートでも登場しますが、その要因のひとつが「BYODユーザーの急増」です。BYOD(Bring Your Own Device)とは「自分の端末を仕事で使う」という意味ですが、今後この傾向はますます強まっていくことでしょう。
であれば、大企業であれば(基幹システムはさておき)情報系システム、たとえば企業内のポータル(EIP)の変更も考えなければいけませんし、セキュリティ対策も必要です。業務によっては、PCが不要になりタブレット端末だけで十分ということもあるでしょう。まさに、"PCは緩慢に死を迎えつつある" わけです。
新たなデバイスが私たちの仕事のやり方を変える。それは小さいことのようでいて実は大きな問題なのではないかと思います。W・ブライアン・アーサーは「テクノロジーが新たに成立すると、個々のテクノロジーは次代の新しいテクノロジーを創出する構成要素(ビルディング・ブロック)となる」(258ページ)と述べ、そしてテクノロジーは自己創出を遂げながら進化していくと主張しています。実は自分は(もちろん皆さんも)いまその現場に立ち会っているのだなと感じます。
【関連リンク】
サムスン 作る人、アマゾン 食べる人──Kindle FireがGalaxy Tabのシェアを横取り |エディテック
詳しい書誌情報はこちら >> テクノロジーとイノベーション:みすず書房
【参考数値】
2011年第4四半期(10〜12月)のAndroidのアクティベーション台数は、以下の Googleの決算に関する記事によると、2億5000万−1億9000万=6000万台となる。
●Google決算、ネット広告好調で過去最高益|ITmedia 2011-10-14
2011年第3四半期 7〜9月期):累計1億9000万台アクティベート
●Google決算、売上高は初の100億ドル超だが予測を下回る|ITmedia 2012-01-20
2011年第4四半期 10〜12月期:累計で2億5000万台アクティベート
2011年第4四半期のiPadの販売台数は733万1000台、iPhoneの販売台数は1623万5000台だった。
●米アップル10〜12月、売上高71%増 年末商戦でiPad好調 |日本経済新聞 2011-01-19
その後公開されたAppleのプレスリリース(2012-01-24)では、2011年第4四半期のiPhone販売台数を3704万台、iPadは1543万台としている。
http://www.apple.com/pr/library/2012/01/24Apple-Reports-First-Quarter-Results.html
2011年第4四半期におけるタブレットOSシェア。iOS 57.6%、Android 39.1%、Microsoft 1.5%、その他1.9%。出荷台数全体は前年同期比150%増(=2.5倍)の2680万台(iOS 1540万台、Android 1050万台、Microsoft 40万台、その他 50万台)via 欧州の視点(末岡洋子さん)
[追記 2012-01-28 17:14]
先日、タブレットOS市場についての調査がStrategy Analyticsから発表されたので、そちらと比較してみるのも一興です。この調査だと、iOSが57.6%、Androidが39.1%なので、 2011年Q4のiOS:Android比率はざっと 6対4 (59.6対40.4)。Good Technology調査の18対1とはだいぶ異なります。 Good Technology社の顧客は金融業界が圧倒的に多いので、 ハイエンドユーザー層はiPadを使う傾向が高い と言えるでしょう。
●Android Captures Record 39 Percent Share of Global Tablet Shipments in Q4 2011|Strategy Analytics