サムスン 作る人、アマゾン 食べる人──Kindle FireがGalaxy Tabのシェアを横取り
米調査会社のFlurryによると、2011年のホリデーシーズン(感謝祭から年末までの期間)の前後で、Androidタブレット端末市場でAmazonのKindle Fireの利用率が急上昇したそうです。
●Amazon Lights the Android World on Fire|Flurry Blog 2012-01-27
http://blog.flurry.com/bid/81151/Amazon-Lights-the-Android-World-on-Fire
上記調査はiPadを含むタブレットOS市場全体ではなく、Androidタブレット端末が対象となっています。タブレットOS市場の動向については 前エントリーでも触れましたが、おさらいしておきましょう。
2011年第4四半期におけるタブレットOSシェアは、iOS 57.6%、Android 39.1%、Microsoft 1.5%、その他1.9%となっています。iOS:Android比率はざっと6対4となっています。
また、出荷台数については、タブレット市場全体は前年同期比150%増(つまり2.5倍)の2680万台で、iOSは730万台から1540万台(2.1倍)、Android OSは310万台から1050万台(3.4倍)と大幅に成長しています(数字はStrategy Analytics調査)。
●Android Captures Record 39 Percent Share of Global Tablet Shipments in Q4 2011|Strategy Analytics
今回のFlurryの調査では、一般に人気があるアプリをいくつか選択し、そのアプリをユーザーがどの機種のAndroidタブレットで利用したかを集計しました。その結果が以下の円グラフです。左側が2011年11月(ホリデーシーズン前)の利用率で、右側が2012年1月(ホリデーシーズン後)です。
▼アプリ稼働時にユーザーが使用したAndroidタブレット端末の割合
(出所:Furry Analystics)
11月時点では、市場の3分の2(63%)をサムスンのGalaxy Tabが占め、アマゾンのKindle Fireはわずか3%でした(Kindle Fireは11月15日発売開始)。ところが、ホリデーシーズン後はKindle Fireが36%と33ポイントも増え、Galaxy Tabは36%とほぼ半減しています。アップルのiPadと熾烈な戦いを繰り広げながらサムスンが確保した市場をアマゾンの低価格タブレットが横取りした格好になっています。
Flurryはもうひとつ別の調査もしていて、Amazon AppstoreとAndroid Marketで人気のある有料アプリTOP10の中から5つ選択し、そのダウンロード総数をGalaxy TabとKindle Fireで比較しています。次のグラフを見てください。
▼人気有料アプリのダウンロード総数の比率:Galaxy Tab対Kindle Fire
(出所:Furry Analystics, January 2012)
Galaxy Tabを1とするとKindle Fireは2.53。Galaxy Tabユーザーと比べて、Kindle Fireのほうが2.5倍の数の有料アプリをダウンロードしています。これはKindle Fireの新規導入効果を表しているとも言えるので、それほど重視すべきではないでしょう。しかし、デベロッパー(開発会社)の立場から考えると、新規ダウンロードが多い機種のほうが今後販売数が伸びる機種であり、開発スケジュールの優先順位(どの機種を先行して開発するか)にも影響を与えます。メーカーにとっては非常に気になる数字です。
今後の行方としては、書籍、音楽、動画(a.k.a. BMV)といったコンテンツを豊富に抱えるAmazonのほうが有利なのは否めません。Android陣営内ではKindle Fireの一人勝ちとなり、ハイエンドユーザー(富裕層+ギーク)が好きなiPadと一騎打ちとなるのかどうか。それとも互いが独自の市場を築いていくのかどうか。Windows 8タブレットは今年本当に発売されるのか。そして、間もなく登場するiPad 3の破壊力はどれほどのものなのか。目を離せない日々が続きそうです。