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ITの取材現場からインサイトを伝える「エンプラ」編集長ブログ

理想郷に一歩近づいたか? BEAのロスさんを囲む

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 昨日、BEA Systemsでプロダクトマーケティング担当副社長を務めるビル・ロスさんが来日し、プレスとのラウンドテーブルを行った。このラウンドテーブルというのは、他社の記者さんたちと同じテーブルについて、話を聞いたり、質問したりする取材形式のこと。学校の教室のような発表会と違い、記者同士の仲間意識といったらいいだろうか、親近感が生まれるから不思議で、また楽しい。長年やっていると、記者さんたちも顔馴染みになり、取材が始まる前は仕事以外の話にも花が咲く。

 おっと…そんな話は後回しにして、本題に入ろう。

(@_@) サービス「管理」インフラとサービスインフラの違い

 WebLogicでJ2EEアプリケーションサーバの市場を切り開いたBEAは6月9日、ニューヨークで「AquaLogic」を発表した。

bea  「英語で次のような言い回しがある。“簡単なことは簡単に、複雑なことは可能にしたい”。WebLogicは複雑なことを可能にし、新しいAquaLogicは簡単であるべきものを簡単にするのだ」とロスさん。

 AquaLogicは、SOA(サービス指向アーキテクチャー)の進展によって企業内に溢れかえることが予想される「サービス」を効率的に管理するための製品群だ。同社の主戦場だった「アプリケーションインフラストラクチャー」の上位に「サービスインフラストラクチャー」という新たなカテゴリーを定義し、AquaLogic投入で他社に先駆け、橋頭堡を築くのが狙い。また、会社のロゴに「Think liquid.」のタグラインを追加し、BEAそのもののリブランディングも図ろうとしている。

 同社は2年前の「BEA eWorld 2003」カンファレンスで「Convergence」(融合)を掲げ、WebLogic Platformを発表した。アプリケーションサーバにWebLogic IntegrationやWebLogic Portalを統合し、アプリケーションにかかわるITの専門家たちすべてが、同じプラットフォームの上で、同じ流儀で連携できる世界を描いたのだ。

 AquaLogicは、データに対する単一のビューを企業にもたらすLiquid Dataや、昨年のeWorldでベールを脱いだエンタープライズ・サービス・バス(ESB)のProject QuickSilverをこうしたWebLogic Platformから切り離してまとめている側面がある。会社そのもののリブランディングを狙った同ブランドの立ち上げは、ITベンダーにはありがちな「戦略の変更」と私には映った。

 しかし、ロスさんは「戦略の変更? われわれは一貫してエンタープライズシステム構築の簡素化を追求しており、何も変わっていない。SOAにしても、AquaLogicにしても、長期的な取り組み。“ビジネスアナリスト”と呼ばれるベールに包まれた人たちが使うには、まだ数年を要するが、今回リリースするAquaLogic製品群によって一歩近づいたことは確かだ」と話す。

 私なりの解釈では、今回の発表でBEAは、サービス「を管理する」インフラストラクチャーを整えたと言い換えることができるかもしれない。

 ESBとリポジトリを統合したAquaLogic Messagingファミリーとデータを統合するAquaLogic Dataファミリー、およびセキュリティのためのAquaLogic Securityファミリーは、それぞれ第1弾がこの夏にリリースされるが、プロセス統合、ポータル、およびプロセスコンポーザーの領域はこれからだ。

 当面、WebLogicラインでこれらの領域をコーディングというアプローチで担当するIntegration、Portal、およびWorkshopと組み合わせるだけでも、迅速かつ簡単にSOAベースの開発が行えるとロスさんは言う。しかし、サービス「を管理する」インフラストラクチャーが、本当の「サービスインフラストラクチャー」になったとき、初めてサービスを簡単に組み合わせられる世界になるのだ。その意味でまだ道のりは長い。

 ちなみに、ロスさんはSun時代にOpenOffice.orgの立ち上げに貢献している楽しい人でもある。

( ..)φメモメモ この日会った楽しい記者仲間

日経BP 星さん

 日経Javaレビューを担当するなど、長年、この道に精通する「Java記者」。記者仲間では「Java星人」と呼ばれて尊敬を集めています。この日も「JSR 208への対応はどうなってるんですか?」などと、私たちにはついていけないテッキーな質問を連発していました。

 しかし、そんなJava星人も取材前の雑談では、「最近、子どもが生まれたばかりで……」とうれしそうに話していました。2年前のJavaOneサンフランシスコでは、「最近、結婚したばかりで……」とやはりうれしそうに話していたのを思い出しました。また、今年ももうすぐJavaOneですね。

 そうそう、このブログの名称にもなっている「オルタナティブ」について、星さんが「メインストリームとオルタナティブに関する覚え書き」を書いています。いつも参考になります m(__)m

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