「目的-思想-具体策」のパターン
複雑な情報をわかりやすく伝えるドキュメント・コンサルタントの開米です。
先日開催したプレゼンテーション練習会に参加されたある研究者さんへの、プレゼン用スライド改善提案シリーズの2つめです。(1つめは→「表紙に「目的」がわかる情報を含めておこう」)
今回は、「目的-思想-具体策」のパターンについてです。
まずはスライドを見ていただきましょう。
文字数が多すぎるというほどでもないので、このまま使ってもそれほど問題は起きないと思われますが、改善するなら、「目的-思想-具体策」のパターンを使うことが考えられます。
例として下記の文を見てみましょう。
目的:住宅街を走る自動車の速度を落とすためには、
思想:低速で走らざるを得ない道路設計が効果的なので、
具体策:住宅街の道路にはバンプ(でこぼこ)を設けることとする
「思想」というのは別な言い方をすると「概要方針」や「戦略」と言い換えられます。製品開発をする場合には「設計思想」と「設計」をつけて呼ぶこともあります。
通常、「目的」を達成するための「思想」は何通りもあるのが普通です。たとえば
目的:住宅街を走る自動車の速度を落とすためには、
思想:スピード違反を有効に取り締まることが効果的なので
具体策:住宅街の道路では速度制限を厳格化し、監視カメラを導入する
といった具合に、同じ「目的」に対して別な「思想」で取り組むと別な具体策が生まれます。
そして、通常は「具体策」の前に「思想」を選択する(というより、思想を決めないと具体策を検討できない)ので、「目的→思想→具体策」の流れで書くことを基本にします。
ただし、「具体策」のほうが有名な場合には、「具体策」を先に書いて、「これらの策の背景にはこんな思想があるんですよ」と、思想を後に示す流れのほうが通じやすい場合もあるので、そのへんは臨機応変に。
この観点で元のスライドをもう一度見てみると
おそらく「法律」が具体策で、最下部の「実証されて~(中略)~取り込まれている」が思想ですね。
この場合、「具体策」は一般の人には知られていないので、「目的→思想→具体策」の流れで良いでしょう。
ということで構成し直してみると、一例としてはこうなります。
これでかなり前進しましたが、ここまで整理すると、「思想」欄の文字数が多いのが気になります。
もう少し短く言えないでしょうか。
イメージとしてはこんなふうに書きたいところ。
↑図中の赤線を引いた部分、「○○○○○○○○○○○○の思想」のところに、その下の評価・管理の内容をシンボリックに短く表すような言葉を書けると、話しやすくなるはずです。
何か、いいフレーズはないでしょうか?
ちょっとここは次回への宿題にしておきましょう。何かいい案を思いついたら開米までお知らせください。紹介させていただきます。
というわけで、今回は「目的→思想→具体策」のパターンについて書きました。
あなたのプレゼン資料にも、このパターンを応用できるページはありませんか?
(ありそうなんだけれどいまいちうまく整理できない、という場合も、開米までお知らせくだされば簡単ではありますがコメントさせていただきます)
次回のプレゼンテーション練習会は5/30に開催します。興味のある方は下記リンクをご参照ください。