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表紙に「目的」がわかる情報を含めておこう

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難しい情報をわかりやすくする、ドキュメント・コンサルタントの開米です。

先日プレゼンテーション練習会を開催したところ、参加されたある研究者さんより、一般の人向けに講演をするためのコンテンツの作り方について私にご相談をいただきました。そこでいくつか改善提案をお答えしたのですが、その中には広く応用可能なポイントがいろいろとありましたので、本人の許諾を得ましてご紹介します。まず1つ目は、「表紙」に「目的」がわかる情報を含めておくと、印象が強くなりますよ、という話題です。

まずは、ご相談いただいたプレゼンテーション用スライドの表紙を見ると、こういうものでした。

2015-0520-titlepage-1.png

ごてごてと飾り立てられていないシンプルな表紙は私もよく使うので個人的に好感が持てます。

そして、「生態リスク評価」というものが「重要だ」と言いたいのだということはわかります。
ですが、このままだと、「何のために重要なのか」がわからないので、印象が弱くなってしまっています。

同じように「何のために」がわからない例として、下記3つの文を読んでみてください。

  1. 明日はジーンズのようなカジュアルな服で来てください。
  2. 電動工具を扱う際には軍手を着用してはいけません。
  3. 出発前に車のガソリンを満タンにしておくことが重要です。

いずれも何かを指示している文で、指示内容は明確なように見えますよね。

しかし、どの指示にも理由が書かれていないので、実は印象に残りにくい文なんです。

理由を補って書いてみると、こうなります。

  1. 明日は大掃除をするので、汚れてもいいようにジーンズのようなカジュアルな服で来てください。
  2. 電動工具を扱う時に軍手をしていると、刃物に巻き込まれた時に大きなけがをすることがあります。電動工具で作業をする時は軍手を着用してはいけません。
  3. この地域は積雪寒冷地なので、ガス欠や豪雪で立ち往生したときには凍死を招くことがあります。出発前に車のガソリンを満タンにしておくことが重要です。

こちらのほうが、より印象に残りますよね? 「汚れてもいいように」、「大けがを防ぐために」、さらには「凍死を防ぐために」という非常に重要なことを語っていたわけです。

一般に、「何のために(目的)、何をする(手段)」という、「目的+手段」に分解できる話題については、「目的」を省略せずに語るのが大事です。それは、

「目的」は人の利害に直結するため、印象に残りやすい

からです。「汚れてもいいように」「大けがを防ぐために」「凍死を防ぐために」のいずれも、自分の利害に関わるポイントであることが共通してますね。

さて、そういう観点で最初のプレゼン資料の表紙を見てみましょう。

2015-0520-titlepage-1.png

一般の人向けに講演をするなら、「生態リスク評価」が何のために重要なのか、それを表紙の段階で補った方がよいでしょう。

たとえば、こういうことです。

2015-0520-titlepage-2.png

「人と自然の持続可能な関係を築くため」という「目的」を含めることで、これは人と自然の双方に利益のある話なんだな、ということが通じるようになります。

というわけで、あなたのプレゼン資料も見直してみてください。

表紙で「目的」を説明していますか?

ここでいう「目的」とは、プレゼンの聞き手にとっての利害のことです。

「ああ、これは自分の利害に関わる話題だ。真剣に聞こう」と思ってもらうためには、表紙に「目的」を含めておくことが大事なのです。


次回のプレゼンテーション練習会は、5月30日に開催予定です。

→ プレゼンテーション練習会(5/30)

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