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外資系金融機関を担当する経営コンサルタントの活動記録 ~ プライスウォーターハウスクーパースの高橋正敏です。

プロジェクトにアサインされる者

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目的意識を高く持って仕事をすることの大切さ、を示す一例として有名なのが、「石を削る男」の話ではないでしょうか。

ある日、一人の男が、作業現場で石を切り出し削っている作業者たちを見つけました。彼はそのうちのひとりに声をかけます。

「何をしているんですか」

その作業者は、かったるそうに答えます。

「石を切り出して削っているんだよ」

そして彼は、離れた場所にいるもうひとりの作業者へ声をかけます。

「何をしているんですか」

「オレは世界一の教会を作っているのさ」

彼は目を輝かせながら、答えます。

どっちの作業者と働きたいですか、と言えば言うまでもありませんよね。このふたりの違いは、仕事の崇高な目的を伝えることのできる上司がいるかいないか、にあるのと同時に、作業者本人が、「自分の仕事の目的」「自分の仕事が誰を喜ばせるのか」を真剣に考えているかどうかにあると思います。

例えば、レジュメを作成する場合。

コンサルティング提案においては、参画予定者のレジュメを用意することがよくあります。そこで私が何人かの参画予定者に作らせると、やはり差が出てしまいます。

何の工夫もないレジュメを用意する者もいれば、レジュメの提出先、参画予定プロジェクトの背景、クライアントの最も知りたいこと、効果的な見せ方を限られたフォーマットのなかで、一生懸命考えて作成する者もいます。もっと優れているのは、どうしたらもっと良くなるかを私に聞いてきて、よりよいレジュメを作ろうとする者です。私は、この場合後者のタイプを選んで、自分の大事なプロジェクトにアサインすることになります。経歴も大事ですが、その姿勢がプロジェクトの成否を分けることにつながるからなのです。

たびたび私は言っていますが、この時代、仕事があるということは本当に幸運なことです。石を削るような地味な仕事でも、クライアントが喜ぶためには、とことん真剣に前向きに取り組む。そういうコンサルタントを私はアサインして、プロジェクトに臨みます。

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