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ウェアラブル市場の成長鈍化とこれから

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IDCは2024年12月16日、ウェアラブルデバイスに関する出荷予測を公表しました。

Wearables to Face Continued Growth While Giving Way to New Form Factors, According to IDC

IDCによると、2024年末までにウェアラブルデバイスの世界出荷量は前年比6.1%増の5億3800万台に達する見込みです。しかし、主要市場である米国やインドの成熟化と、スマートウォッチやヒアラブルデバイスの成長鈍化により、2025年には3.9%の成長に留まると予測されています。

スマートウォッチ市場の現状

スマートウォッチはウェアラブル市場の主要カテゴリの1つですが、2024年には4.5%の減少が予測されています。特にインド市場では低価格帯製品の流入による在庫過剰が問題となり、平均販売価格(ASP)の持続可能性が問われています。また、米国市場ではパンデミック期に購入されたデバイスを消費者が引き続き使用しているため、需要が低迷しています。2025年には1.7%の成長が予測されており、消費者のデバイス買い替えが始まることで市場は回復に向かうと見られています。

IDCのモビリティおよびコンシューマーデバイストラッカーのリサーチマネージャー、ジテシュ・ウブラニ氏は次のように述べています。

スマートウォッチ市場における技術革新や消費者の関心は最近鈍化しています。このため、ベンダーは価格帯別の製品ラインナップを強化し、価格に応じた多様な選択肢を提供する戦略が求められます。また、ペイウォール機能の緩和を通じてアップグレードや新規顧客獲得を促す動きも重要になるでしょう。

ヒアラブルデバイス市場の成長

ウェアラブル市場の中で最大のシェアを占めるヒアラブルデバイスは、2024年に10.3%の成長が見込まれ、今後もこの成長トレンドを維持すると予測されています。このカテゴリは成熟していますが、オープンイヤーデザインなどの革新とASPの継続的な引き下げが成長を後押ししています。

新たなフォームファクターの可能性

IDCは今後、スマートリングやディスプレイを持たないスマートグラスといった新しいフォームファクターが市場で注目を集めると予測しています。特にスマートウォッチの成長鈍化を背景に、これらのデバイスが健康トラッカーとして補完的な役割を果たす可能性があります。

ウブラニ氏は次のように述べています。

スマートリングやディスプレイ非搭載のスマートグラスは、今後最も注目されるカテゴリになるでしょう。これらの製品は新規参入企業と新しいユースケースの登場により、他のウェアラブルデバイスを凌駕する可能性を秘めています。また、MetaのRay-Banモデルが成功したことで、特にMetaが不在の中国市場ではローカルブランドにチャンスが生まれています。

今後の展望

ウェアラブル市場は今後も緩やかな成長を続けるものの、スマートウォッチ市場の成熟と低価格化競争の影響を受けることが予測されます。一方で、ヒアラブルデバイスは革新的なデザインと価格戦略で成長を維持すると見られています。

スマートリングやスマートグラスといった新たなフォームファクターの登場は、市場に新たな活力をもたらす可能性があり、健康管理やエンターテインメント分野における利用拡大により、利用者のニーズは高まっていくことが予想されます。

スクリーンショット 2024-12-30 113045.png

出典:IDC 2024.12

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