インダストリ・クラウド・プラットフォームが過度な期待のピーク期に 〜2024年版「日本におけるクラウド・プラットフォームのハイプ・サイクル」

ガートナージャパンは2024年9月18日、2024年版「日本におけるクラウド・プラットフォームのハイプ・サイクル」を公表しました。

ガートナーでは、クラウドプラットフォームを前提としたインフラ戦略に関連する代表的な37のテクノロジーやトレンドが紹介しています。クラウド導入の加速と、生成AIなどの革新技術の進展が、企業のインフラ戦略に大きな影響を与えることが予測しています。

ガートナーのディレクターアナリストである青山浩子氏は、次のようにコメントしています。

現在、企業のITインフラは、急速な技術革新と市場の変動に対応するため、クラウドプラットフォームとして再構築される必要があります

このような環境では、企業が重要なテクノロジーとトレンドを正確に理解し、クラウドを軸にした戦略を確立することが、競争力維持の鍵となると青山氏は強調しています。

中でも、生成AIやソフトウェア定義型自動車（SDV）などの新技術が、クラウドプラットフォームにどのような影響を与えるかは、2024年以降のIT戦略を策定する上で無視できないテーマとなっています。

ガートナーのディスティングイッシュトバイスプレジデントアナリスト、亦賀忠明氏も、レガシーインフラの刷新が重要な課題となっている一方で、産業革命レベルの技術革新に対する企業の関心が急速に高まっていることを指摘しています。

クラウドプラットフォーム戦略を策定する上で、重要なポイントは以下の通り挙げています。

レガシーインフラの刷新：
メインフレームや従来の仮想環境を置き換えるための喫緊の課題が、多くの企業で共有。従来のインフラは、今後のデジタルイノベーションに対応するには限界があり、クラウド基盤への移行が不可避

生成AIの影響：
生成AIは単なる技術革新にとどまらず、企業のサービス・デリバリ基盤全体に変革をもたらす存在として注目。AIによる自動化や高度な分析機能をクラウドに統合することは、今後の競争優位を築くための鍵に

サービスデリバリの再定義：
企業のクラウド戦略は、単なる技術の導入ではなく、利用者満足度やサービスのデリバリに直結。クラウドを利用した効率的なサービス提供が、ビジネスの成長を後押しする一方で、コストやシステムの持続可能性をどうバランスするかが重要

経営層との連携：
クラウドプラットフォーム戦略の成功には、経営層やステークホルダーとの綿密なコミュニケーションが不可欠。クラウド導入に伴うコストや人材育成、ビジネスへの影響を適切に評価し、長期的なビジョンを共有することが、企業の持続的成長に

黎明期（Innovation Trigger） 、過度な期待のピーク期（Peak of Inflated Expectations） 、幻滅期（Trough of Disillusionment） 、啓発期（Slope of Enlightenment） 、生産性の安定期（Plateau of Productivity）はそれぞれ以下のとおりとなっています。

黎明期（Innovation Trigger）

・サービス・ファクトリ
・FinOps
・LLMプラットフォーム・サービス
・分散クラウド
・プラットフォーム・エンジニアリング
・クラウド・レジリエンス
・AIネットワーキング
・Newオンプレミス
・マルチクラウド・ネットワーキング・ソフトウェア
・サイト・リライアビリティ・エンジニアリング
・インフラ従量制モデル

過度な期待のピーク期（Peak of Inflated Expectations）

・BMaas
・コンピュテーショナル・ストレージ
・コンテナとVMの融合
・メインフレーム・トランスフォーメーション
・再仮想化
・インダストリ・クラウド・プラットフォーム
・インフラ自動化
・可観測性
・BaaS

幻滅期（Trough of Disillusionment）

・イミュータブル・インフラストラクチャ
・コンテナ管理/K8s
・CI/CD
・IaC
・DevOps
・クラウドCOE
・マルチクラウド
・クラウドAIサービス
・サービス・メッシュ

啓発期（Slope of Enlightenment）

・ハイブリッド・クラウド
・UEM
・DaaS
・サーバレス・アーキテクチャ
・ソフトウェア・デファインドWAN
・ハイパーコンバージド・インフラストラクチャ

生産性の安定期（Plateau of Productivity）

・クラウド・コンピューティング
・クラウドIaaS

出展：ガートナージャパン 2024.9