人間は主要な意思決定者であり続ける ~ガートナー、2023年のデータと分析(D&A)の10の主要トレンドを公表
米ガートナーは2023年5月9日、2023年のデータと分析(D&A)の主要トレンドを発表しました。
Gartner Identifies the Top 10 Data and Analytics Trends for 2023
これらのトレンドは、データと分析の領域で価値を生み出し、不確実性をビジネスチャンスに変えるためのガイドとなるものです。以下に各トレンドをとりあげます。
Trend 1:価値の最適化(Value Optimization)
D&Aリーダーは、自分たちが組織にどのような価値をもたらしているかをはっきりと示す必要があります。これには、物語を作り出す力や、どのプロジェクトに投資すべきかを判断する力、ビジネスの成果を測定する力などが求められます。
Trend 2: AIリスクの管理(Managing AI Risk)
AIの利用が増えることで、新たなリスクが生じています。これに対処するためには、法規制に従うだけでなく、AIの適切な管理と責任ある使用が必要となります。
Trend 3: 可観測性(Observability)
D&Aシステムがどのように動作しているかを理解し、その挙動について質問ができる能力のことを指します。
Trend 4:データ共有(Data Sharing Is Essential)
組織内外でのデータの共有が重要になってきています。データを製品として扱い、共有や提供が可能になります。
Trend 5: D&Aの持続可能性(D&A Sustainability)
D&Aリーダーは、企業の環境、社会、ガバナンス(ESG)プロジェクトに対する分析と洞察を提供するだけでなく、自身のプロセスも持続可能性に配慮する必要があります。
Trend 6:実用的なデータファブリック(Practical Data Fabric)
メタデータを活用してデータ管理ソリューションを見つけ出し、提案する設計パターンのことを指します。
Trend 7: 新進のAI(mergent AI)
ChatGPTや生成AIのような技術は、新進のAIトレンドの先駆者です。これらは企業の運営方法を根本的に変え、AIをより広範に活用する機会を提供します。
Trend 8: 統合され、組み立て可能なエコシステム(Converged and Composable Ecosystems)
D&Aプラットフォームを一体的に動作させ、機能させるための設計と展開が重要になります。これにより、D&Aシステムがよりモジュラーで、適応性があり、ビジネスニーズの変化に迅速に対応できるようになります。
Trend 9: 消費者がクリエーターに(Consumers Become Creators)
従来のダッシュボードを見るだけの時間から、ユーザー自身が特定の問題を解決するための会話型、動的、組み込み型のユーザーエクスペリエンスへと移行します。これにより、分析の利用と影響を広げることができます。
Trend 10: 人間は主要な意思決定者であり続ける(Humans Remain the Key Decision Makers)
全ての意思決定を自動化することは望ましくない場合があります。人間の役割を考慮に入れない自動化は、組織を無意識または一貫性のないものにしてしまう可能性があります。組織のデータリテラシープログラムは、データと分析を人間の意思決定と組み合わせることを強調する必要があります。
これらのトレンドは、デジタルの世界が急速に変化する中で、各組織がデータと分析の戦略を適応させるための重要な指針となるだろうとしています。
組織はこれらのトレンドを自身の状況に合わせて解釈し、最適な戦略を選択することが求められています。
出典:ガートナー 2023.5