オープンデータ・ビジネス(1)データの価値
オープンデータの活用には、行政の透明化や効率などがあげられますが、ビジネス展開において、鍵となるのは価値あるデータの公開とその活用によるビジネス効果です。
何回かに分けて整理をしてみたいと思いますが、まずはデータの価値について整理をしてみたいと思います。
G8で推進する価値の高いデータ(High Value Data)
2013年6月に英国で開催されたG8サミットにおいて、首脳宣言に「オープンデータの推進」が明記され、具体的な取り組み内容などについて「オープンデータ憲章」で合意されました。
その際に、G8各国が公開すべき「価値の高いデータ(High Value Data」を明記し、統計・地図・選挙結果・予算などをあげており、特に価値が高いデータとして、データ粒度、アクセス性向上などを実施しています。
http://okfn.jp/2013/06/19/g8-high-value-data/
オープンデータのデータ価値
「オープンデータの価値と値付け--ビジネスとガバメントデータ」についてもオープンデータの価値について触れており、それぞれ対象のデータは異なりますが、以下のようなインパクトの大きな数値をあげています。
•欧州連合(EU)全体で300億から1400億ユーロ(約400億から1850億米ドル)
•英国内のデータとして、約30億から90億米ドル
•米国の気象データとして、15億ドルから年間300億ドル以上の間
•米国のGPSデータとして、900億ドル、もしくはそれを下回る数字
米連邦政府の「Open Data Initiative」は、政府が保有するデータを公開し、米国市民をさまざまな方法で支援するためのアプリ開発によるイノベーションを生み出し、多くの起業家を生み出すことを目指すといったように、スタートアップ企業の新サービスの創出の支援を目的としています。
米連邦政府がオープンデータによるイノベーションを進める背景には、米連邦政府が、数十年前に気象情報をオープンデータとして公開したことで、ニュースキャストや気象予報サイト、保険ビジネスなどが生まれ、米国市民の生活の大幅な改善と、多くの雇用が生まれたことがあげられます。
1980 年代には 当時のレーガン大統領が GPS データをオープンデータとして公開したことで、位置情報を表示するモバイルアプリケーションの「FourSquare 」やカーナビゲーションサービスなどのイノベーションが生まれ、現在の年間900億ドルの位置情報サービス市場を創出しています。
また、海洋情報のオープンデータによる公開により、気象サービス産業が創出され、現在では400社が約4,000名の雇用が生まれ、年間約4~7億ドルの産業規模となっています。
オープンデータ領域のこれまでの医療、エネルギー、教育、金融、公共安全、国際開発に加えて、ビッグデータを活用した学習支援や、「Data.gov」のオープンデータハブ化に向けた取り組みを推進しており、民間企業などとのオープンなコラボレーションによる新たなオープンイノベーション創出とその経済効果が期待されています。
米ホワイトハウスは2014年6月17日、「Federal R&D Facilities: Open for Collaboration」を発表し、製造業のスタートアップ企業を支援するため、米航空宇宙局(NASA)や国立衛生研究所(NIH)などを始めとした政府の700以上の政府の開発拠点が保有する研究データなどの民間企業への提供を強化すると発表しました(関連記事)。これらのデータは総額で50億ドル(約5000億円)以上の価値があるとしています。