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2014年クラウド展望(4)事業者やサービスの優劣と淘汰が始まる年に?

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クラウド市場は今後も成長が見込まれる一方で、ユーザを拡大する事業者とそうでないユーザとの優劣がつき、ユーザ数が伸び悩む事業者は収支がおりあわず、2014年は撤退を余儀なくされる事業者やサービスが出始める年になると予想されます。

クラウドサービスはここ数年で多くのサービスが登場し、価格競争、サービス機能など競争は激化しています。特に、IaaSをはじめとしたパブリッククラウドサービスは、大規模な先行投資が必要となり、体力勝負による規模の経済(スケールメリット)が優位に働くビジネスになります。

サービス提供からユーザ数が想定どおりに伸びずに、数年で収益の黒字化が見込めなければ、撤退の判断も必要となるでしょう。

特に、SI事業者の場合は、自社でクラウドサービスを提供する場合が多く、その一方で大手のクラウドサービスを担いで提案する機会も増え、自社が提供するクラウドサービスが伸び悩むケースも出てきていると考えられます。

今後は、ユーザ数を大きく伸ばして機能を拡充するクラウドサービスと、ユーザ数が伸び悩み追加投資ができないクラウドサービスと二極化が顕著になっていくでしょう。

かって、インターネット黎明期でインターネット関連市場が大きく成長する中、多くのISP(Internet Service Provider)が登場しました。雑誌などでISPの特集記事が組まれる時期もありましたが、市場のコモディティ化に伴い、規模の経済で有利に働く事業者が優位になり、その結果、事業者の一部が淘汰され、残った多くは大手ISP事業者となっています。

クラウドサービス(特にIaaSレイヤ)においても、このような動きが出始める年になるかもしれません。

2006年11月、当時のサン・マイクロシステムズのCTO、グレッグ・パパドポラス氏がブログに投稿した内容が話題になりました。

「世界に“コンピュータ”は5つあれば足りる」(The World Needs Only Five Computers)

世界にサービスを提供するコンピュータ、つまり世界のクラウドサービスは5つ程度の事業者に淘汰され時代がくる可能性は否定できないでしょう。

2014年は、クラウドサービス事業者(含むサービス)の優劣の差がつく二極化が進み始める年になり、クラウドサービスへのさらなる先行投資、事業継続判断、撤退など、事業者にとって大きな判断を迫られる節目の年になるのかもしれません。

 

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