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新IT戦略(3):オープンガバメントの推進について

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今回は、政府の「行政情報の公開、提供と国民の政策決定への参加等の推進」の工程表及び「行政機関が保有する情報の活用」の工程表を参考に政府のオープンガバメントの推進について整理をしてみます。

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政府のオープンガバメントの推進にあたっては、改定前の工程表と同じく2013年までに二次利用可能な形で政府情報を公開、原則すべてインターネットで利用可能になるとしています。

オープンガバメントについて少し解説をします。

オープンガバメントとは、インターネットを活用し、透明でオープンな政府を実現するために行政情報の公開・提供と国民の政策決定への参加を促進する取り組みです。オープンガバメントは、特に米国のオバマ政権で、オープンガバメント政策を積極的に推進している。

オバマ政権では、2009年1月に(1) 透明性、(2) 市民参加、(3)官民連携の3つの基本原則を表明しています。

Transparancy(透明性)
政府は、国民に対する責任を果たすために、情報をオープンにし、提供しなければならない

Participation(国民参加)
政府は、知見を広く国民に求め国民の対話を行い、利害関係者グループ外の人々に政策立案過程への参加を促さなければならない

Collaboration(官民連携)
組織の枠を超えて政府間および官民連携し、イノベーションを促進しなければならない

オバマ政権では2009年5月、オープンガバメントの施策の第一弾として、政府や自治体などが保有する統計データの利活用の促進事業で、膨大で貴重なデータをオープンフォーマットやアプリケーション開発に利用できる形式で公開する「Data.Gov」を開設しています。

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民間企業では、これらの統計データなどを活用しサービスを提供するなど、データの「民主化」を推進しています。2009年12月には、オープンガバメント指令を発表。本指令では、各連邦機関に対して、行政の透明性を高める目的で、連邦機関が提供する統計データなどの価値の高いデータを誰でも入手できるようにすることや、オープンガバメントサイトを立ち上げるアクションプランを迅速に策定し発表することなどを求めています。


2011年8月3日に公表した「電子行政推進に関する基本方針(PDF)」でオープンガバメントの今後の方向性を示しています。

(1)基本的考え方

これまで政府は、国民の利便性及び行政運営の透明性の向上を図る観点から、国民が行政情報を容易に利用することができるようにするとともに、行政として必要な説明責任を果たすため、行政機関が保有する情報の積極的な公開・提供に努めてきたところである。今後はこれに加え、行政の質の向上を図る観点から、社会に存在する有益な情報・知見等を政策に活用するため、国民との情報の共有化や政策形成過程の可視化を進め、国民が政策を検証又は提案し、政策形成過程に参加できるようにすることが求められている。 
 
また、今般の東日本大震災の経験を踏まえると、特に緊急時には、利用可能な情報通信インフラやリソースが制限された環境下において、必要な人に必要な情報を迅速かつ確実に届けられるようにすることが求められている。このための取組は、必ずしも電子的手段に限定されるものではないが、不特定多数の者が容易かつ同時に情報のやりとりができるという情報通信技術の特性を最大限に活用する必要がある。

オープンガバメントの在り方及び具体的な進め方については、引き続き検討することとするが、平時から緊急時にも有効な方策を視野に入れて、利用者の具体的なニーズや費用対効果を踏まえつつ、実現可能なものから順次取り組んでいくこととする。

(2)行政情報の公開・提供

行政機関が保有する情報については、各府省のホームページや電子政府の総合窓口(e-Gov)等を通じて電子的に提供されているが、国民に十分認知されていない、提供される情報が十分ではない、情報が提供されるまでに時間がかかる、提供される情報が分かりにくい、必要とする情報が探しにくいといった課題が指摘されている。国民が必要とする行政情報を容易に利用できるようにする観点から、利用者の属性、利用環境、利用目的等も考慮しつつ、提供する情報の拡充、迅速な情報提供、情報の分かりやすさや探しやすさの向上を図るとともに、統計情報、測定情報、防災情報等について2次利用が可能な標準的な形式での情報提供を推進する必要がある。併せて、特に緊急時においては、限られたリソースの中で確実に情報を提供する観点から、携帯端末向け情報提供、ネットワークへの負荷が少ない形式での情報提供を進めるとともに、アクセスの集中により情報提供が不可能となる事態を回避するための方策を検討する必要がある。また、迅速な情報提供の観点からは、今回の震災に際しての有効性や留意点を検証しつつ、情報伝達を容易にするソーシャルメディアの効果的な活用方策について検討する必要がある。

また、国民による政策の検証や政策形成過程への参加を可能とする観点からも、政策に係る各種情報の提供を推進する必要がある。

これらを実現する取組の一環として、各府省ホームページにおける情報提供の在り方の見直しや電子政府の総合窓口(e-Gov)の抜本的な改善を図る。また、徹底した業務改革を行った上で文書管理の電子化(ペーパーレス化)を行い、原則として電子決裁機能を使用するなど文書管理システムの利用を推進する。


(3)国民の意見の収集と政策形成過程への参加 

国民が政策を提案し、政策形成過程に参加するためには、そのための手段が用意されていなければならない。現在、国民の意見・要望・提案等を募集し、政策形成に活用するための各般の取組が行われているが、国民に十分認知されていない、意見等が十分に活用されていないといった課題が指摘されている。国民の意見を積極的に収集するとともに、国民が政策形成過程へ参加するための手段として情報通信技術を有効に活用する方策について検討する。
 
(4)推進体制

今後整備される政府CIO体制の下、オープンガバメント関連施策を府省横断的に強力に推進する。

となっています。今回の提言では、震災での情報提供のあり方やソーシャルメディアの活用についても触れられています。

工程表の話に戻りますが、2010 年度の取組実績は

○我が国のオープンガバメントを確立するため、その在り方を検討。
内閣官房:国民ニーズの把握や先進諸国の先例を基に、総務省の協力を得つつ、我が国のオープンガバメントの在り方を検討。
経済産業省:オープンガバメントの実証実験システム(アイディアボックス等)を構
築し検証。

となっています。

今後の取り組み(短期:2011年度)は、

短期(2011 年度)
○我が国のオープンガバメントを確立するため、その在り方及び具体的な進め方について引き続き検討し、必要な対応を実施。

内閣官房:総務省、経済産業省の協力を得つつ、「電子行政推進に関する基本方針」に基づき、我が国におけるオープンガバメントの在り方及び具体的な進め方について引き続き検討。
各府省:利用者の具体的なニーズ、費用対効果を踏まえつつ、情報公開、国民の政策決定への参加にかかる取組について可能なものから順次実施。

中長期の取り組みとしては、

中期(2012 年度、2013 年度)
○政府CIO体制の下、行政情報の公開・提供、国民の政策決定への参加の推進等に係る具体的な施策を推進。

長期(2014 年度~2020 年度)
○引き続き、行政情報の公開・提供、国民の政策決定への参加の推進等に係る具体的な施策を推進。

など、記載されていますが、オープンガバメントについては、震災やソーシャルメディアなどの考え方にも触れられておらず、やや具体的内容が盛り込まれていないように見受けられます。

実際には、「行政機関が保有する情報の活用」で行政機関が保有する情報の活用推進や統計調査情報の二次的利用が盛り込まれています。2013年に国民が「オープンガバメントを実感」する年になるとしています。

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震災後、特に経済産業省をはじめとして、政府からもオープンガバメントの推進の動きが出てきました。一例をご紹介します。

経済産業省は、2011年7月4日、内閣官房IT室、総務省、文部科学省他関係府省と連携し、インターネットを通じて民間の創意工夫を集めることで、東日本大震災からの復旧・復興につなげていく国民運動「ネットアクション2011」の呼び掛けを開始したことを発表しました。公共データを収集・公開し、民間企業がこれらのデータを活用し、震災からの復旧、復興や節電のためのアプリケーションやコンテンツの開発、創作の呼びかけを推進しています。


オープンガバメントの動きは、様々な見地から検証が行われており、国民の声を広く収集し行政に活かすとともに、政府のデータを活用することで、地域における様々なサービスやビジネスチャンスが生まれることが期待されます。国民がオープンガバメントを実感できる、そんな環境が早く来ることが望まれます。

 

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