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米国における電子政府クラウドの取組みについて(2)

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オバマ政権は開かれた政府(オープンガバメント)を目指し、国民の意見を積極的に取り入れていくことを目標とし、2009年5月21日には、「オーブンガバメントイニシアティブ」を発表しています。

オープンガバメント政策に基づいて、クンドラ氏が、連邦政府のCIOに就任してから始めに手がけたプロジェクトは「Data.Gov」のサイトの創設 (2009.5.21開設)です。「Data.Gov」とは、政府保有データの利用活用の促進事業で、連邦政府が保有する膨大で貴重なデータをオープンフォーマットやアプリケーション開発に利用できる形式で公開することによって、データの「民主化」を推進しました。データの「民主化」は、オープンでアクセスしやすい環境を提供し、政府が保有するデータの民間活用を促し、政府の透明性を高めているのです。

次に取り組んだのがIT調達の合理化も踏まえたクラウドコンピューティングの活用です。まず、米国連邦政府のウェブポータルを2009年5月にクラウドコンピューティングの環境へ移行を開始し、9月に完了する予定となっています。Terremark社が提供するIaaS(Infrastructure as a Service)を採用し、90%のコスト削減と需要にあわせた柔軟なインフラ環境の実現を整備しています。参考ですが、Terremark社は今後のガバメントクラウドの市場成長をターゲットとし、政府の基準に対応できる大型クラウドデータセンターをバージニア州カルペパーに建設しています。

これらの連邦政府のクラウドの導入を推進するために、クンドラ氏と予算執行や各行政機関の予算調整を行う行政管理予算局のOMB(Office of Management and Budget)と連邦政府のサービス調達の窓口となる連邦調達庁のGSA(General Service Administration)の二つが電子政府の所轄機関が連携をしながら対応を進めています。

GSAは、2009年5月に、NISTが発表した定義を踏まえて、クラウドベンダーに対してRFI(Request for Information)を出し、クラウドの導入を検討を始めました。   
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出所:いずれも総務省スマートクラウド研究会(第1回)配布資料より

そして、8月3日には、RFQ(Request for Quotation)を発表し、SLAでは99.95%のAvailabilityが確保されなければならないなどのルールが盛り込まれており、連邦政府のクラウドコンピューティングの枠組み(Federal Cloud Computing Framework)も示されています。また、OBMは、6月11日。2011年の予算方針として、クラウドコンピューティングの分野などのイノベーション・効率性・効果性を積極的に採用していくことの必要性を説明しています。

クンドラ氏は、パブリッククラウドでは機微な連邦政府のデータを扱うのは適切ではないとし、連邦政府独自のプライベートクラウド(ガバメントクラウド)を構築する必要があると述べています。クンドラ氏は、連邦政府の11名のCIOとパブリッククラウドの載せることのできるデータとガバメントクラウドに載せるデータの精査を始めています。連邦政府で最も大規模なシステム運用の取組みは、国防省のITシステム部門となる国防情報システム局DISA(Defense Information Systems)のプライベート・クラウドの検討を先行して始めています。

また、クンドラ氏は、連邦政府の各省庁がワンクリックでクラウドサービスを入手できるようクラウドフロントストアを構築する計画を進めています。邦政府のIT標準化や統合化が図れ、調達の複雑性を排除できるとし、さらには、FIMSA(連邦政府セキュリティマネジメント法)に対応も必要なくなります。これからの取組みにより縦割り行政の壁を破壊し、業務の効率性や透明性を高めていくことを目指しています。

政府関連のIT調査会社であるINPUT社が発表した「ガバメントにおけるクラウドコンピューティングの未来」という調査レポートによると、2008年の米国連邦政府ならびに州政府、地方都市政府クラウド関連予算は4億4700万ドルに上っていると発表しています。そして、今後年率26%で増加し、2008年から2013年までには3倍の規模に成長し、2013年には14億3500万ドルに成長すると分析しています。また、この報告書の中では、セキュリティや法規制の問題に対処するために、「政府独自のクラウドサービスの構築」の必要性を提言しています。

米国での連邦政府の電子政府クラウド、Federal Cloudがどのような形で構築され、どのような効果をもたらすのか注目されるところです。

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