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ホワイトカラーは死語?

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約20年前にコンサルティングをしていた時代に「ホワイトカラーの生産性向上」というテーマでいくつかのプロジェクトを受注していました。当時日本は製造業で世界を席巻し、日本の製品が海外よりも競争力があり、文字通り世界中に日本の製品が溢れていました。
日本の製造業は世界一の生産性を誇り、海外の企業は日本から様々な事を学びに来てました。
しかしITリテラシーに関しては米国に大きく後れを取っており、ホワイトカラーの生産性は日本が学ぶ側だったのです。その後、ITの活用により米国の生産性は大きく向上をしました。

日本では製造現場であるブルーカラーは高度な生産性を誇っていたのですが、オフィス現場では合意性という文化のためか、意志決定に時間と手間がかかり、また階層化された組織の硬直性も指摘されていました。
ホワイトカラーの生産性を上げるには次のようなことが行われました。
1 組織のフラット化と権限委譲
2 ITの活用による情報伝達の迅速化
3 本来業務により時間を割くため付帯業務の削減

コンサルタントは現状の業務プロセスを分析し、部門を超えたプロセスの整理を行いました。ちょうどビジネス・プロセス・リエンジニアリングが出版された時期です。
そしてITにより迅速化できる業務を洗い出し、それらをグループウェアやワークフローマネジメントなどに集約をしました。電子メールを全社に普及される、というテーマだけでコンサルティングが成り立つ時代でもありました。

その結果ホワイトカラーの生産性は当時と比べて驚くほど向上をしました。意志決定は迅速化し、調査や情報管理に費やしていた時間は短縮され、ルーティンワークはITが肩代わりしてくれるようになったのです。

ホワイトカラーはブルーカラーと一線を画すために使われています。ワイシャツ、すなわり白いシャツ(ホワイトシャツ)を着ているからホワイトカラーでしたね。

より高い生産性を上げるためにはこのホワイトカラーも機能別に分類する必要があります。経営や企画に関わる戦略的な役割。商品やサービスをデザインする創造的な仕事。営業やサービスなどの顧客価値最大化を行う仕事。これらは知的労働者と言われます。
また窓口業務やコールセンターなどマニュアル的な作業の受け持ち。一部の経理や人事、ITサービスといった仕事もこの範疇でしょう。後者はアウトソーシングされる可能性が高くなっています。いわいる企業のコアとコンテキストでいうとコンテキストに分類されます。コンテキストはプロセスの標準化とITによって高度に管理されるに至っています。

となると前者の知的労働者の生産性向上が残る領域です。しかし現代では以前の定義による「生産性の向上」という言葉自体が死語になりつつあります。なぜならフラット化され、権限委譲がなされ、個々人が高度な知識と判断力でビジネスを運営する組織ではむしろ画一化された仕事の仕方は弊害となり、ゆるやかな管理で創造力を発揮する環境が求められてくるからです。
そこに求められるインフラは知識の獲得であり、情報の共有であり、コラボレーションです。

そしてネットワークの活用が当たり前になった今、それぞれの領域のエキスパート同士が必要に応じて連携してビジネスを行う形態が当たり前になろうとしています。そのエキスパートをSME(Subject Matter Expert)と呼びます。
SMEはルーチンワークをこなすタイプではなく、より高い創造性を求められ、またSME同士のコラボレーションが不可欠です。
シリコンバレーでは白いシャツのビジネスマンはほとんど見かけなくなりましたし、多様化の時代、ホワイトカラーという切り口はあまり意味をなさなくなりましたね。

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