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シスコ&デロイト共同セミナー「IOEによる新たなICT の世界観」

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2013年9月4日(水)シスコシステムズ合同会社のセミナールームにて「IOEによる新たなICT の世界観」と題する共同セミナーが実施されました。
この活動はシスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)とデロイトトーマツコンサルティング株式会社(以下、デロイト)が共同で行ったセミナーです。

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IOEとはInternet Of Everythingの略です。以下シスコのIOEホワイトペーパーの冒頭部分に説明があります。
「シスコでは、現実世界に存在するモノの99.4%はまだインターネットに接続されていないと推定しています。試算では、2000 年には約2 億個にずぎなかったインターネットに接続可能なモノが、モバイルコンピューティングなどの技術の進歩により、2013年現在、この数字は100億近くまで 増加し、すでにInternet of Things(IoT)時代は到来していると考えています。この勢いはさらに加速し、2020年までには500億までに上り、インターネットは、人、プロ セス、データ、モノを組み合わせたIoE時代へと大きく成長すると考えています。」

シスコはテクノロジーで、デロイトはビジネス面での補完関係が成り立つと考え、2ヶ月ほど議論を重ねて今回のセミナーにこぎつけました。

ちなみにデロイトのパートナーである八子さんはM2Mやモバイルクラウドのオピニオンリーダーとして第一線でご活躍をされています。
私とはとあるビジネスディスカッションでご一緒してからもう3年ほどのおつきあいで、コンサルタント仲間として(勝手ながら)親しくさせていただいています。
2011年3月11日には横浜で八子さんに社内講義をしていただいた「震災がつないだ絆」仲間でもあります。

当日の参加者はシスコとデロイトさんがお声がけをさせていただいたお客様約60名でした。

私が全体の司会&進行を行いました。

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まずはシスコ専務執行役員の鈴木からご挨拶をさせていただきました。

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インターネットにつながるデバイスが500億を超える見通しがあり、これによって皆様のビジネスの考え方が激変すること。シスコはテクノロジーを通して皆様のビジネスに貢献できることをお伝えしました。

(以下、適宜敬称を省略します)

1 IoEによる新たなICTの世界観 デロイト 八子知礼

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八子さんのご紹介のあと、IOEという言葉をどの程度理解されているか質問をされました。60名のお客様のうち、数名の手があがりましたが、ほとんどの方は今回のセミナー案内を通してIOEという言葉を知った、という様子でした。

モバイルクラウドの爆発的な発展からM2Mへの流れを説明されました。なおM2MビジネスのCAGR(年平均成長率)は89%とのことです。

次にすべてのデバイスがネットワークにつながることを「デバイスが喋りだす」というたとえを使って情報発信のインパクトを説明されました。

これにより3つの「C」がビジネスをドライブし始めると強調されました。すなわち「Collaboration」「Creativity」「Coverage」です。

それにより個別志向的だったビジネスが連携して「エコシステムが加速」してビジネスの可能性が劇的に広がります。

また「オートメーション化/エージェント化」がスマートな形で展開されて労力を大幅に減らせる可能性があります。

そして蓄積されたデータ(ビッグデーター)は企業や組織の枠組みを超えて共有されて更に大きな効果をもたらします。

2 IOEの価値と実現像 シスコ 白川智之

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シスコの試算では今後10年間にIOEの経済価値は全世界で14.4兆ドル(およそ1440兆円)となり、日本においては76.1兆円と見込んでいます。

現在は未だ99.4%のモノはインターネットにつながっておらず2020年には500億でバイスがインターネットにつながるとみられます。(現在はおよそ100億)

IOEの活用例を「記録」「監視」「制御」「探索」「予測」「コラボレーション」のそれぞれの観点から具体的な可能性を説明しました。

さらにアメリカのトウモロコシ農場〜コーラの製造販売までのバリューチェンにおいての活用デモがビデオで公開されました。

IOEでは「バリューチェーン」が「バリューサークル」へと価値の連鎖が連動して完結します。

3 IOEを実現するテクノロジー シスコ 比嘉偉明

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IOEを構成する要素の全体像が示されました。特にM2M,P2P,P2Mのプラットフォームの重要性が強調されました。

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キーとなるテクノロジーがピックアップされて説明されました。それは「Big Data」「フォグコンピューティング」「ロケーションサービス」「ウェアラブルでバイス」「セキュリティー」です。それらのテクノロジーについて最新の事例を交えて解説がされました。

特にフォグコンピューティングはシスコが提唱している新しい概念で、こちらは次のような資料に説明があります。

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フォグとはクラウドよりも地上(現場)に近いという意味で、なんでもクラウドにあげるのではなく、膨大なデーターをできるだけ現場に近いところで処理をしてしまおう、という概念です。すなわちネットワークのインテリジェンスを最大限活用します。

最後にIOEを支えるシスコのテクノロジーが紹介されました。

4 ビッグデータを活用したアナリティクス事例の紹介 デロイト 水上晃

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IOEを活用するためのビジネス分析についての内容です。

アナリティクスのモデルと実現プロセスについて説明されました。

アナリティクスのソリューションとしては「カスタマーアナリティクス」「ファイナンスアナリティクス」「ワークフォースアナリティクス」「リスクアナリティクス」があります。

IOEにおいては単独で集められたデータだけではなく、データ同士が有機的につながる事により、これまで見えなかった因果関係が明らかになります。

そのためには 1グローバルな視点、2新興国に対抗できるコスト競争力、3ビジネスイノベーションの3つの視点で分析結果を活かす事が求められます。

事例ではシンガポールにおける購買行動分析、アジアにおけるサプライチェーンのリアルタイムマネジメント、医薬研究所における生産性改革が示されました。


結論として、IEOによりこれまで見えなかったことがデータ分析により明らかにされること、そのために更に多数のデータソースを必要とすること、データは盲目的にではなく、活用の視点で集積すべきこと、があげられました。

5 IOEを活用したビジネス推進の勘所 デロイト 水上晃

引き続きデロイトの水上様からIOEをプロジェクトとして実施するためのポイントについて説明がありました。

自社のビジネスモデルだけでは限界があり、まずビジネスモデル全体を思考することが必要です。

そのためには3つの着眼点が示されました。

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ケーススタディーとして、様々なひとが関わってコラボレーションしながら創作する共同デザインの手法で説明されました。

プロジェクト推進の勘所として

1)少人数でビジネスモデルのブループリントを作る

2)実証実験でユースケースを導きだす

3)周到にしかし一気にビジネスケースを作り上げる

 (関係者調整に時間を使いすぎない)

4)早めに関係するプレイヤーを集める

5)強力なプロジェクトマネジメントが重要

とポイントを示して全体の流れが明らかになりました。

以上、3時間にわたるセッションが有意義に行われました。

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