アップルとIBMの独占パートナーシップ、企業IT部門はBYODの悪夢から開放、スタートアップのBYOD支援企業には大きな打撃・・・
あの程度の記事じゃあさっぱり判らんと幾つかお叱りを頂きましたので、今度は真面目に書きます。(小田急線内で関連記事を数本、オフィスで10本ほど読んだだけなので・・汗)何時もの軽いのりでさっと書いているとこう言う業界の根底を揺るがすテーマの時には、確かに真面目に書かないとまずいですよね・・(汗)
■ 独占パートナーシップ(全世界総代理店)の常識的解釈
IBMはアップル製品の企業向け総代理店となります。常識的には一定台数以上の注文が企業からアップルに来た場合(通常は1台から)、全てIBM経由の契約、IBMとの合同チームによる企業専用サポートの提供と言う事になります。従がって日本の他のメーカーがアイフォンやアイパッドを仕入れて売るには、総代理店IBMのそのまた代理店になるしかありません。(詳細はその内、明確になるでしょう)
ソフトバンクテレコムさんのようにソフトバンクモバイルから仕入れて得意先企業に販売は出来るでしょうが、企業向け(言わば航空サービスのビジネスクラス)の専用サポートは利用出来ません。アップルケアとよばれる個人向けサポートだけです。(利用するにはIBMの代理店になるしかありません)
また汎用的なアプリとサービス(情報系システム=ビッグデータ要素を色濃く持った基幹系システム)の開発と販売はIBMの場合、独自アップストアから自由にできます。他社は従来通りアップルの審査付きのアップストアに登録します。この差はユーザー企業から見て大きいです。(ユーザー企業の個別的なアプリとサービス(基幹システム)は社内アップストア経由と言う点は従来通り)いずれにしてもIBMはiPhonesとiPadsを使って100以上の業種別、企業別にパッケージソフト=クラウドサービスをバンドル販売できることになります。アップルにとっては企業専用サポートやBYODの壁を突破して企業にiPhonesとiPads大量販売できます。
■ BYODの悪夢から開放される企業IT部門
さてユーザー企業IT部門はハッピーです。これでBYODを締め出す事が出来、BYODの悪夢から解放されるからです。今回の提携のメッセージは「アップルはBYODを暗に認めないと言うメッセージ」と米国の一部で解釈されています。
特に大手企業のIT部門から見れば、企業専用のサポート体制、管理体制が出来たのに「BYODなどもっての他だ」と大声で主張できるからです。企業専用のサポート体制の登場はCEOや他の役員にBYOD否定の説得力を持ちます。
例えBYODを認めるにしてもアップルとIBMの合同サポート(管理、せキュウリテイ、保証、サポート)レベルの第三者サービスが必要と主張できます。
但しエンドユーザー=社員から見れば自律型のクリエイテイブクラスは、こう言った措置の広がりに激怒するかも知れません。アップルは体制派の企業IT部門の味方になった。マック登場時の有名な「1984」のCMにおけるジョブズ氏の変革精神、カウンターカルチャー精神は消えたのか!!?
こうして体制派アップルの誕生です。うーん、こう言う事になりますね。
またこれまでアップル製品の企業内利用やBYODを推進してきたスタートアップ企業もIBMの代理店にならない限り生き残りは難しくなります。相当厳しい冬の時代が来ます。
BYODは所詮、過渡期のあだ花だったのでしょうか?それともカウンターカルチャーは消えるのでしょうか?
■企業IT部門の怒り その1 消費者用サポートなど話にならん!!
アップルの悩みはアイパッド(タブレット)やアイフォンが企業に次第に浸透する半面、「まともなサポーをして欲しい」と言う要望が企業のIT部門から寄せられていました。従来のアップルケアなどのサポートや保証は「消費者向け」のサービスであり、数段厳しい要求が出て来る「企業向けのサポート」では有りませんでした。
具体的には「セキュリティ」「アプリや場所管理」「喪失時の管理」の欠如などです。ここは企業に強いブラックベリーに比べて圧倒的な弱点でした。
企業IT部門はお怒りでした。
その結果、企業専用のサポート内容と体制をIBMと共同で作ることになりました。例えば国内の大手ソフトウエアベンダーやメーカーが通信キャリアやアップルからアイフォンを調達して顧客企業に納めても、アップルからは消費者用のサポートしか受けられません。これは競争力に差がつきます。国内のスタートアップ企業でアップス製品を販売している企業にとっても大変な危機です。
■ 企業IT部門の怒り その2 まともな企業システムを作れ!!
基幹系システムはビッグデータなどの情報系システムに比べて格段に厳しい強靭性が求められます。如何にアプリとその上に立ったサービス(ソフトウエア+アプリ)と言えども、産業インターネットの場合は、所詮、基幹系システムです。「それをあのアプリといっしょくたに提供する会社なんか駄目だ!!」と言う声が上がっていました。
企業IT部門はアップストアにお怒りでした。
そこでIBMが様々な業種の様々な150種類もの基幹系システムを書きなおして独自クラウド上のアプリストアから提供します。これは企業IT部門にとって安心ですよね。
国内のソフトウエアベンダー、メーカーにとって基幹系システムの独自提供はアップストアの規制に引っ掛かって困難です。社内で独自のアプリ提供と言う手もありますが、使い勝手は良くありません。これも競争力に差がつきます。
■ 企業専用のサポート、企業専用のビジネスソフト販売体制
アイパッド(タブレット)やアイフォンをビジネス顧客に販売する為には、旅行の航空サービスと同じで高くてもビジネスクラスのサービスが必要です。こうでなければ企業IT部門は満足しない時代が始まります。
アップルにとってはIBMと組んで企業IT部門を突破してアイパッドやアイフォンを販売できます。IBMはビジネス顧客を安心させることが出来ます。これは流石にクック戦略です。
■ アップル製品の企業販売とサポート
アップル製品を企業販売していた通信キャリアの代理店やスタートアップ企業などは、大きな痛手をこうむります。企業専用サポートが提供できない為です。仕方ないですね・・・・。
■ 企業コンピューティングのパソコン時代の終焉の朱鷺の声
産業インターネットの時代、IOTの時代の波が一挙に社内コンピューティングのパソコン時代を終わらせようとしています。そしてBYODに代表される過渡期の混乱が終わります。
■ アンドロイドは第三者サポートで対抗するのか
一部の米国紙にはアンドロイドはアクセンチュアやプライスウオーターハウスと組んで企業専用サポートを立ち上げると見ています。さてどうでしょうか?
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ねえ、 BYDOなんて辞めさせましょうよ・・・あれは企業コンピューティングに相応しく無いわよ・・・第一IT部門が機嫌を損ねてアイフォンが売れなくなるわよ・・・とデートで囁いたのでしょうか?
<出所:9TO5Mav>
<出所:ハフィントンポスト>
★★ BYOD worries drove Apple-IBM deal — and a huge win for Apple
★★ Apple and IBM Join Forces to Tackle the Mobile Enterprise
★★AppleとIBMが企業分野で広範な提携、iOSアプリの共同開発など