日本のビッグデータは何故集合知を活用しないのか―ビッグデータビジネス・コンソーシアム参加の感想―
一応筆者はビッグデータビジネス・コンソーシアムの企画委員なので明治記念館で行われた「経済産業省の26年度主要政策と産官学連携のビッグデータ利活用事業創出と今後」と題したセミナーを聴講してきました。
■ 厚労省と経産省 アベノミクスはヘルスケアが面白い
経済産業省情報政策課課長さんの今年度の方針説明など伺いましたが、その中で面白かったのは、経済産業省と厚生労働省が組んで実施するヘルスケアでした。これは日本再興戦略に基づき全健保組合にデータ分析に基づく健康管理や予防を義務付けるものです。社員の健康管理の促進です。企業としてはタニタ、健保組合は日立健保、自治体は呉市国保の例が述べられていました。
欧米では一歩進んでIBMや英国BPがウエアラブル・リストバンドのフィットビットを全社員に配布しています。早晩、日本も追いつくでしょう。
■ イタリアテレコムのイノベーション・チャレンジ
最後の講演ではアーンストヤングのドイツから講演者を迎えての現地事情の講演でした。
その中で「おやっ」と思ったのはイタリアテレコムの「ビッグデータ・チャレンジ」と4eGovの「イノベーションチャレンジ」でした。
前者はイタリアテレコムがミラノ工科大やMITメディアラボなどと共同で6億件の通信記録や5万件のエネルギーの消費記録、800万件のツイート、気候データなど150万人分を開放して2013年11月、12月の2ヶ月で何が出来るかと言うサービスや何が判るかと言う研究の成果を行うコンテストでした。437のチームが参加してビッグデータの可視化、分析、アプリ開発の各分野で実施しています。最終選考サービスとして10程のサービスアプリが掲示されていました。ビッグデータでより良きライフをと言うアプローチです。
テーマは「人体センサーによるエネルギー消費予測」などであり、面白いテーマとしては「同病相哀れむ:ツイッターから判る都市部コミュニケーション・ネットワークにおける喜怒哀楽の共有状況」などがありました。賞金は6000ユーロです。
尚、ストックホルム大学主催の4eGovの「イノベーションチャレンジ」も類似のものです。
企業などが集めたデータを公開して集合知を活用してサービスや研究などのアプリ開発を促進しています。
(以下はテレコム・イタリアのビッグデータジャム動画)
Big Data Jam -- Trento, 2/3 April 2014
<出所:イタリアテレコム>
■ オープンデータは政府、自治体の専売特許の日本なのか?
日本のオープンデータは政府、自治体の専売特許のように聞こえ、欧州のような民間のアプローチがありません。米国でもフォードは制御系のデータをオープンハードウエアのアリュデユイノを活用すれば、誰でも取り出し活用できます。民間企業による集合知の活用はアップルが最も得意とする処ですが、日本企業は相変わらず弱いようです。ビッグデータも例外ではなさそうです。