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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

アマゾンのジェフ・べゾスオーナーの考えるワシントンポスト紙生き残りはインターネットのプレミアム戦略!!

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2013年10月ワシントンポストのオーナーとしてアマゾンのCEO、ジェフ・ベゾス氏が正式就任しました。(2.5憶ドルで買収)

そして彼は2014年3月にワシントンポストの具体的な生き残り戦略を打ち出しています。

 

大きな戦略変更は「如何に稼ぐか」から「如何に電子版の読者数を増加させるか」へのシフトです。読者数を増加させたうえで稼ぐ手立てを考えるインターネットの「サービス支配論理」の一種であるフリーミアム戦略ですね。

 

1、まだ生き残っている地方紙の上にワシントンポスト電子版をプレミアムサービスの購読者に無料提供する。地方紙からはお金をとらず、ワシントンポスト電子版の購読者数を増加させ、その内広告で稼ぐ。

 

対象の地方紙はDallas Morning News、 Minneapolis Star Tribuneなど6紙を対象に2014年5月から開始です。これで約百万読者がワシントンポスト紙を読める可能性が出て来ます。

 

電子版で成功を収めているニューヨークタイムス紙と異なり、ワシントンポスト紙の電子版は全く不調です。その為、地方紙のプレミアムサービスとして電子版読者の増加に力点を置きました。

 

尚、ワシングトンポストはWeb版が月額9.99ドル、Web版とスマートフォンとタブレットのアプリを含めた何でもあり版が月額14.99ドルです。但し、mニューヨークタイムス紙やウオールストリートジャーナル紙と比較して競争力がありません。これを有力地方紙の紙版の上に無料サービスとして載せます。

 

ワシントンポスト紙には電子版の読者数が全米、更にグローバルに他紙にキャッチアップできる利点があります。

 

「モノ支配論理」の紙版の上に「サービス支配論理」としての電子版を無料で載せ、その内、プレミアムサービスで稼ぐフリーミアム戦略ですね。見事です。

 

2、プレミアムサービスとのタイアップ

 紙版の地方紙のネットワーク上だけでは無く、Amazonの Prime delivery serviceや音楽のSpotifyのmusic streaming service 更に インターネット有料テレビの視聴者にワシントンポスト紙の電子版を配布する方向を検討中です。こうすれば電子版の読者数が増えます。これも見事なフリーミアム戦略ですね。これが成功すれば正に「サービス支配論理」の真骨頂です。

 

ワシングトンポスト紙は新たなプログラにより、約一千万人の新たな同社の有料電子版読者が誕生し、約十億ドルの価値を新聞業界にもたらす可能性があると試算しています。少なくとも広告売り上げは増大します。

 

昔、有名な記号論の世界ではフランスのジャック・ラカン氏が、様々なモノと言う記号のネットワークの上にサービスが載るモデル(換喩)を考えました。

 

カボチャの馬車、ネズミの御者、ドレス、ガラスの靴、お城などの「モノのネットワーク」の上にサービスとしての舞踏会が提供され、プリンスと出会うシンデレラは「美しい自分」「幸せな自分」を発見すると言う経験型モデルです。

これにフリーミアムモデルを追加すれば、シンデレラが貴族と踊るのは無料だけれどプリンスとの踊りは有料と言うモデルでしょうか。

 

 

始まったモノのインターネットの時代、様々なモノのネットワークの上にまたサービスのネットワークの上にアマゾンがプレミアムサービスを載せようとしています。注目しましょう。

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紙のネットワークの上にサービスをフリーミアム提供するジェフ・ベゾス氏

 

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 <出所:タイム>

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モノのインターネット時代を先取りする、サービス支配論理

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  <出所:ディズニー>

★★Washington Post offers digital discount to local newspaper readers

 

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