モノのインターネット(スマート工業社会)への道を切り開くのはグーグルなのか?丁度、電力ネットワークから大量生産(工業社会)への道をリードしたGEのように(エコノミスト誌)
エコノミスト誌が記事を書いています。題名は「グーグルエブリホエアとは新たなGEの誕生、GEの再来なのか?」と言うものです。筆者の問題意識ともぴったり合うのでこの記事を参考にブログを書きます。
記事はアップルやアマゾンに遅れていたモノのインターネット時代への対応をグーグルは急いでおり、モトローラ買収に続いてロボット企業などの買収を本格化させていると報じています。これはモノのインターネット時代に備えたものであり、その極め付けがアイポッド発明者のトニー・ファデル氏率いるネストラボの買収だと言う訳です。ネットの分析(機械学習などビッグデータ)に強いグーグルをモノのインターネットに強いアップルの同窓会軍団がバックアップすれば非常に強力なパワーとなり世界をリードすると言った内容です。
グーグルのラリーページCEOはCEOに復帰すると同時に「一日に二回以上使う歯ブラシなどのモノは全てネットに繋ぎサービス化する」と宣言したそうです。これからグーグルの戦略は大きく変わりました。
19世紀の電球や蓄音機、電話など電気で動く消費財の発明から電力ネットワークの立ち上げに成功した発明王エジソンの会社GEの努力は1920年代にT型フォード車による大量生産・大量消費の工業社会の建設に繋がり現在に至っています。消費財から生産財へと電気の利用、大量生産が波及しました。その価値は電力ネットワークに支えられたモノにあります。これがモノ支配論理の工業社会です。
一方ソフトウエアがデータを動かすインターネットは、21世紀に入ってパソコンからスマートフォンなどあらゆるモノ(靴下、シャツ、歯ブラシ、ベッドなども含めて)モノに繋がるインターネット時代を作り始めました。ハードウエアに価値があるモノ支配論理からソフトウエアがネットを背景にサービス価値を生み出すサービス支配論理の時代へと変化しました。工業社会の次の段階と言う産業革命論の視点からはあらゆる「モノ」がインターネット(電力ネットワークにプラスして)に繋がり、ネットを背景としたソフトウエアが価値を生み出すスマート工業社会(創造の経済や第三次産業革命)が到来し、遂に経済成長や生産性に大きなインパクトを与え始めると見られはじめています。ソフトウエアがネットを背景としてモノを動かし(スマートカー)、モノを作り(3Dプリンター)、楽器を演奏する、またモノがあたかも生き物のように振る舞う(ルンバやシリ、キネクトなどのユーザーインターフェイスの変化)スマート工業社会が始まりました。これをグーグルがリードするのかアップルが復活するのか、はたまた重工業の世界ではGEや日立、コマツ、フィリップス、シーメンスなどが注目されています。やはり消費財の消費者インターネットから生産財の産業インナーネットへの波及です。スマート革命の本格化です。
スマート工業社会ではあらゆる産業がネットサービス型産業へと変化します。既にトヨタなどは明らかにネットサービス型自動車業を目指しています。
フランスの人類学者ブルーノ・ラトウールはなんと「モノの議会」まで提唱しています。昔はあらゆるものに精霊が宿っていたと考えられていました。面白くなってきました。
纏め
電気を利用した消費財・・・・・・電力ネットワーク・・・大量生産の工業社会
ネットを利用した消費財・・・・・モノのインターネット・・・サービス重視、一品生産も可能なスマート工業社会
尚、3月8日の横浜国立大学における日本ナレッジマネジメント学会の年次大会では「ネットサービス型産業化」を統一テーマとして複数の講演を予定しております。皆さまの参加をお待ちしております。(詳細は今後)
-
-
モノのインターネット=スマート工業社会を制するのかグーグル
かつての電力ネットワークを生み出し反映したエジソンのGEのように・・・・
<出所:エコノミスト>