富士通でもデルでもなくレノボだったのか、IBMのPCサーバービジネスの売り先
デル、富士通と名前が挙がっていたIBMのPCサーバービジネス(x86サーバー事業)の売り先が中国のレノボに決まりました。23億ドルの販売額、そしてIBM 社員7500人もレノボに移籍されます。2005年にパソコン事業のThinkPad lineがレノボに買収されて以来、今回はローエンドサーバービジネスの番です。(テッククランチは投げ売りだと書いています)
既にIBMの売り上げの内、ハードウエアビジネスは約14%にまで下がり、2013年も軒並み二桁の売上減です。2013年10月―12月期はハードウエア関連の売り上げが26%下がりました。全事業の売り上げでは通期で前年比売り上げ5%減少です。大型汎用機のZサーバーなどが未だ残っていますが、早晩、IBMからはワトソンのような分析(ビッグデータによる機械学習)用のスーパーコンコンピューター(HPC)を残してハードウエアビジネスから撤退し、ソフトウエアとサービスの会社(スマータープラネット)に移行する方向なのでしょうか?
その理由はホワイトボックス(無印良品の安いハードウエア)を大量に使うサービス事業、クラウドコンピューティングの台頭です。フェイスブック、グーグル、アマゾンなど活用する安く、速く、効率的なクラウドコンピューティングの台頭の前に値段の高いブランドサーバービジネスは敗北しています。昔の大型汎用機からオープンサーバー(ユニックスサーバー)への移行が20年振りに再来しています。米国政府のCIAの案件に象徴されるようにとりわけアマゾンにIBMは食われたと見られています。個人がパソコンのモジュール部品を買ってきて自宅で組み立て安いパソコンを手に入れるのと同じ変化がサーバーにも起こっています。(フェイスブックのオープンコンピュートプロジェクトなど)IBMのサーバ事業の売上は、7四半期連続で減少しました。
最早、ブランドサーバー時代(ハードウエアの価値を有難がる時代)は終焉し、サーバーの活用もソフトウエアが作り出す「サービス支配論理」が優越する時代がやってきました。
IBMは今後サービスとしてのクラウドコンピューティングに12億ドルを投資し世界中に15か所のサーバーセンターを作り上げます。同時にビッグデータ用のワトソンに投資し、注力するそうです。
果たしてクイズ王(全米で人気のクイズ番組「ジェパディ!」)を破ったワトソンは、太平洋戦争末期に活躍した紫電改戦闘機隊のような活躍を見せてくれるのでしょうか?しかしそれも悲しいかな、大きな戦争の帰趨には無関係の出来事でした。
約20年前大型汎用機からサーバーへのダウンサイジングが起こり、大型汎用機は恐竜とかジュラシックパークの生き物と言われました。恐竜から哺乳類への変化を生き残った数少ない伝統あるコンピューターメーカーのIBMも今回は生き残りが簡単ではなさそうです。
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ワトソンプロジェクト
<出所:フォーブス>