スマートテレビへの動きはテレビの死を早め始めたのか!!?
米国シティ銀行の調査子会社がテレビの死が早まったと言ったトーンの調査結果を発表し、衝撃を与えています。その要約を中心に紹介します。
テレビの保有世帯数が減り始めた。有料テレビとブロードバンドの契約数が減り始めた。テレビ視聴率がスポーツも含めて下がり始めた。一方オーバーザトップテレビサービスが台頭していると言ったところでしょうか。
<出所:ビジネスインサイダー>
■ テレビ保有世帯が二年連続減少
米国シティ銀行の調査部門であるシティリサーチによれば、米国の家庭でテレビを保有している世帯数が二年連続で減少しています。2011年の116百万世帯から2013年には112百万世帯に減少しています。(一方単身者の増加で世帯数自体は増えています)調査は映画やテレビドラマのネットサービスであるネットフリックスやHuluの影響を挙げています。オーバーザトップTVサービスの普及により番組をテレビで視聴する代わりにスマートフォン、タブレット、パソコンでの視聴が増えたと言う訳です。
■ 有料テレビ契約数全体が減少、テレビ視聴率も減少
更に注目すべきは2013年第三四半期に約11万3千契約を有料テレビ全体で失ったように次第にCATVなどの契約数が減少を始めている点です。従来はCATVの減少を衛星テレビや通信キャリア系の有料テレビが補って増加する構造でした。しかし2013年には有料テレビサービス全体の米国における契約数が減り始めています。有料テレビサービスの契約数は米国全体で約9千万世帯、一方ネットフリックスの契約世帯数は約3千3百万世帯です。
また昨年のロンドン・オリンピック期間を例外としてテレビ全体の視聴率の低下傾向はDVR視聴や地上波も含めて明らかです。特に夜のプライムタイムのテレビ離れが目立ちます。
■ CATVに痛いブロードバンド契約の減少の訳
注目すべきはCATV契約を切られると同時にブロードバンド契約の解除が有料テレビの売り上げや収益を圧迫し始めている点でしょう。その結果、CATVはネットフリックスのアプリをCATVのセットトップボックスに入れようと言う方向に動いています。
■ スマートフォンやタブレットの隆盛と無料WiFi契約の普及
ネットフリックスなどのオーバーザトップTVサービスが台頭するのに何故ブロードバンド契約まで切られるのかの秘密は以下の理由にあります。
ネットフリックスのドラマや映画をスマートフォン、タブレットなどで視聴する事が出来れば高速化するセルラー契約とスターバックスなど米国の商業施設で広く普及している無料WiFiを使えばブロードバンドは不要と言う訳です。
■ スポーツ人気は最早、テレビ視聴者を維持できない
調査は米国の野球やバスケットボールなどの例を出していますが、米国では人気スポーツの視聴率が明らかに落ち始めています。
<出所:ビジネスインサイダー>
■ スマートテレビは伝統テレビを殺す方向へ
スマートテレビは単なるテレビ受像機だけを意味するのでは無く、インターネットからの番組提供やクラウド録画など「サービス支配論理」を意味します。その結果、対象となるスマート機器はスマートテレビだけではなくスマートフォン、タブレット、カーナビ(将来はウエアラブル)など多岐にわたります。テレビのデジタル化が古いアナログ時代のテレビ中心主義、人気スポーツ中心主義などのライフスタイルを壊し始めました。
大量生産・大量消費の工業社会に対応したアナログテレビの時代は終わりました。代って台頭するスマート工業社会をリードするネットサービス型放送事業の原型はネットフリックスやHulu、更にラジコのようなインターネットライブ放送であると言うことが明らかになってきました。