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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマート革命とクラウドファンディング、スマート指輪のRING-Uも成功させられない日本型クラウドファンディングの未成熟と日本社会の後進性

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<序文>

 米国ではキックスターターやインディーゴーゴーなどのクラウドファンディングの成功により、スマートウオッチのペブルやアンドロイドゲーム機のOuya(ウーヤ)など多数のスマートデバイスやサービスの新規企業が登場し、社会が湧きたち始めています。既に20124月にJOBS法(The Jumpstart Our Business Startups Act)が成立しており、他の金融取引法との整合性を保つ法律がクラウドファンディングを支えています。法律制定後、2012年にはクラウドファンディングは非常に活況を呈して来ました。

 

当初はインディ映画やゲームなどの支援が多かったクラウドファンディング活用ですが、スマート革命と時期が重なり、米国のインターネット関連の新規開業を支え始めています。クラウドファンディングの場合、不特定多数の人々が賛同すれば多様なアイデアの中から早期の起業や製品開発が可能となる訳ですね。多くの場合、お礼は出資した映画のチケットやパーティ参加券、一台の製品の提供などで行われます。(購入型)

 

国内でも安部政権の規制改革委員会で立法化の動きはありますが、それ以前に市場も社会もまだ未成熟なようです。

 

注)クラウドファンディングは不特定多数の人々がインターネット経由などで財源の提供や協力を行うこととされており、寄付型、購入型、投資型にわかれます。

 

国内にはキャンプファイアーやReadyFORなどのクラウドファンディングサービスも誕生しています。しかしスマートデバイスのベンチャー立ち上げの為などにはちょっと力不足のようです。

 

201351日に終了した慶応大学発案のスマート指輪のRING-Uの場合には、24人の賛同者しか得られず、クラウドファンディングは失敗に終わりました。米国では類似のスマートバイブレーター(バイビーズ)が成功してるだけに日本の後進性が目立ちます。(以下のRING-Uの日本的ウエアラブルの説明動画を見てください)

 

引用 (キャンプファイアーより)

 

-----Ring Uとは?

 

この指輪型デバイスを使えば、どんなに離れていても恋人や家族に「指を握っている」感覚を伝えることができます。
このRing Uをペアで共有すると、
どこにいても、あなたのRing Uを握ったとき、それと同時に、相手のRing Uに指輪を握られる感覚が伝わります。
そうすることで、お互いの存在が急に身近に感じられます。

 

これは世界で初の遠隔コミュニケーションを可能にした指輪です。

引用終わり

 

★★世界初!遠隔コミュニケーションを可能にしてくれる指輪「RingU (説明動画あり)

RingU_05

RingU_06

RingU_01

 

RingU_03

<出所:キャンプファイアー>

★★ Vibease Wearable Smart Vibrator that brings Fifty Shades of Fantasy to life

 

 米国のスマートバイブ、バイビーズは見事に資金調達に成功!!
'Smart vibrator' maker hopes to arouse investor interest on Indiegogo

 

 

Long distance relationship

Remote control vibrator

<出所:http://www.indiegogo.com>

国内のクラウドファンディングサービス

 

camp-fire

 

ReadyFOR

 

★★クラウドファンディングサービス「Makuake」が始動

 

<オバマ政権の成立がクラウドファンディングに大きな影響>

 米国初の黒人大統領が誕生した2008年の大統領選挙では、米国民主党のオバマさんは、公的な選挙資金の活用を断り、徹底したクラウドファンディングによる一人5ドルの寄付を呼び掛け、不特定多数の支持者のドーネーションに頼りました。この大統領選挙の成功が米国のクラウドファンディングに大きな影響を与えています。やっぱりインターネット選挙は大切ですよね。

 

<スマート指輪のRING-Uの失敗>

 慶応大学で教師をしている外国人の方の発案ですが、遠距離にいる恋人同士が指を触れ合っている感触をお互いに伝えることが出来ます。(一種のウエアラブルのスマート指輪)またお互いのその時の感情を指輪の色の変化に託して伝達することも可能です。(Ring UとアプリはBluetooth4.0を介して通信する)

 

これは非常に面白い発想だと思うのですが、結局、日本ではこう言った前向きの遊び心にお金を投資する人が十分おらず、クラウドファンディングは失敗に終わりました。

 

<クラウドファンディングは社会の多様性、独立起業、ノマッド型社会の到来を促進する>

 多様なモノがインターネットに繋がる「モノのインターネット」の上に多様なコンテンツやアプリが作り出す多様なサービスが花開くスマート革命の時代には、それを支えるエコシステム(人々の多様性=多様なアイデアとそれが花開く土壌)が必要です。米国各社のアップストアの繁茂や開発者会議の開催、クラウドファンディングなどは、人々の多様なアイデアによるコンテンツ制作(映画、音楽、ゲームなど)やアプリ開発を支えます。

 

だからクラウドファンディングは社会の多様性、独立起業、ノマッド型社会の到来を促進する為の鍵の一つといえます。

 

筆者が心配なのは、スマート指輪のRING-Uのようなアイデアが社会に支持されない、日本社会の変化への胎動の弱さです。中世の昔、欧州では多くの自治都市が生まれ、やがて宗教改革や市民革命へと進みました。一方同じころ日本の堺や博多に存在した自治都市は、徳川幕府の鎖国政策により跡形もなく消えてしまいました。

 

今回のクラウドファンディングも堺や博多のような運命をたどらないか心配でたまりません。安部政権には早く立法化を急いで社会の変化を後押ししてほしいと思っています。

 

 

 


 

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