スマート革命と政治、アマゾンのジェフ・ベゾス氏のワシントンポスト紙買収の真の狙い!!
<序文>
アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾス氏がワシントンポスト紙を2.5億ドルで買収しました。(投資銀行のアレン社が代行した入札では、他の買収提案に比べて最も値段が高く、最も条件がよかったそうです)
何しろ紙の出版が電子出版に切り替わる道筋をつけた人物ですから、「すわ、今度は電子新聞か」と見られています。しかしちょっと話は違います。
取引の成立には約半年位かかりますが、ベゾス氏は名門ワシントンポスト紙の100オーナーになります。二千人の社員はリストラしない、日々の業務には直接手を出さない、ワシントンポスト紙のビジョンやミッションは守ると誓ったベゾス氏ですが、では一体、何のために買ったのかと憶測が乱れ飛んでいます。
ニューヨークタイムス紙もデジタルでの生き残りの目処がついた反面、ボストングローブ紙など傘下のデジタル収益化の目処が立たない地方紙をどんどん売却する時代です。90年代には80万部を越えていた部数が47万部へと激減した負け組みのワシントンポスト紙を買ってもそう簡単にデジタルで稼げる時代ではありません。
ワシントンポストの電子新聞移行であまり稼ぐ気はなさそうなベゾス氏
電子書籍とは違うようだ!!
<出所:ギガオム>
The Washington Post for Kindle (Ad-Free) [Kindle Edition]
★★ Jeff Bezos To Acquire The Washington Post For $250M
★★Om Says mini-cast: With The Washington Post, Bezos buys influence
★★ Washington Post to be sold to Jeff Bezos, the founder of Amazon
★★ Jeff Bezos Beat Other Bidders for the Washington Post
★★ アマゾンCEO、個人でWポスト紙買収 日常業務は指揮せず
★★アマゾンCEOがワシントン・ポストの従業員に言ったこと
★★Bezos In 2012: People Won’t Pay For News On The Web, Print Will Be Dead In 20 Years
<電子新聞には期待しないベゾス氏>
2012年のインタビューでベゾス氏は電子新聞には誰もお金を支払わないし、また紙の新聞は20年で死滅すると答えています。またキンドル上で既にワシントンポストは読むことができます。
そうなればベゾス氏の買収の狙いがはっきりしません。どうやら通常の新聞社の買収とは目的が異なるようです。
<個人的税金対策と言う見方>
ベゾス氏が一定の投資をしているビジネスインサイダー紙は、個人的な税金対策ではなかという見方を取っています。確かに赤字の新聞社に一定かかわっていると税金面で考慮されます。
しかしそれだけでは今回の買収を説明できません。
<ワシントンに対する政治的影響力の保持>
40万部台に減少したとは言え、ワシントンポスト紙は首都の政治家に大きな影響力があります。ベゾス氏の狙いはこれだと言う見方があります。(2012年のアマゾンのロビー活動には250億ドルが費やされています)
確かにフェースブックのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は移民や同性婚支持など政治的な動きをしています。またあまり政治には手を出さないと言われたアップルもサムスンのパテント違反に関する輸入禁止措置差し止め措置(オバマ政権による拒否介入)に関してはロビイストを活用したと言われています。
日本でもスマート革命の本格化を見据えて、楽天の三木谷さんらが新経連を立ち上げました。
ギガオム紙はこの見方を採用していますが、「ソフトウエアによるサービスが世界を食べる」時代には、様々なスマートデバイスからのECがショッピングの主流になり始めています。そうなればアマゾンのECやネットでのサービス販売の幅が全小売業に拡大し、規模も大躍進する可能性が高まります。その結果、アマゾンはウオールマートのようになり、周りの多くの物理的な小売業が衰退し、失業者も出ます。失業者が出れば当然、政治的な摩擦も大きくなります。例えばこれまで売上税を逃れていたアマゾンに税金を課せとなります。(最近の例)例えばアマゾンの野菜の販売で近くのネイバーフードストアが多数つぶれるかもしれません。
今後そう言ったアマゾンの足を引っ張るような既存業界の反撃に政治的対処をするのが目的だと言う見方です。政治に強い新聞の社主ともなれば政治の世界に対する隠然たる牽制力を手に出来ます。
これは面白見方ですね。