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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマート革命と新旧交代、スマートデバイス広告が好調な為、短期崩壊説を脱したフェースブックの今後の大きな課題!!

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<序文>

 2013年第二四半期(4月―6月期)のスマートデバイス広告が好調(広告全体の41%)な為、ウオール街のムードが変化し、14カ月前の上場時の株価に戻ったフェースブックです。その結果、心配されたスマートデバイス上で予想以上に稼げることが明確となり、投資家層の信頼は取り戻したかに見えます。

 

一方調査会社のeMarketerは、2013年にはインターネット視聴時間がテレビ視聴時間を上回り、またスマートデバイスの活用時間がパソコンを上回ったと発表しています。

 

進展するスマート革命の中でフェースブックには課題は無いのでしょうか?

 

★★Facebook news feed ads generate 49 times more clicks at 45% less cost (study)

 

★★The Valuation Expert Who Bought Facebook Right At The Bottom Says It's Time To Sell

 

★★US Time Spent on Mobile to Overtake Desktop

 2013年第二四半期のスマートデバイス広告を報告すると同時に若者離れを心配するーク・ザッカーバーグCEO

Facebook news feed ads generate 49 times more clicks at 45% less cost (study)


 やっと元=上場時に戻った株価!!

Facebook stock


Facebook ads ... in 2007?

<出所:ベンチャービート> 

今が売り時と主張する投資家Aswath Damodaran氏

 <出所:ビジネスインサイダー>

 インターネット時間はテレビを上回り、スマートデバイスの時間はパソコンを上回った!!

 

 <出所eMarketer

 

<スマート革命下におけるフェースブックの課題>

 基本に立ち返って考えればインターネットの新たなサービスには二つの課題があります。

 

1、 十分な参加者を獲得し、サービスの支持を得る課題

2、 その後十分な収益を獲得する課題

 

 一方フェースブックの場合には、既に確立したサービスがスマート革命と言うスクラップ・アンド・ビルトと呼ばれる古典的なパラダイムシフトに晒され、形態変化に成功するかどうかと言う課題でした。

 

 このフェースブックの古典的な課題は、過去多くの企業が挑んで失敗し、滅んでいます。しかし決して克服出来ない訳では有りません。例えば米国のコンピューターメーカーIBMは、大型汎用機からサーバーへのダウンサイジングのパラダイムシフトの荒波を乗り切った数少ない企業でした。

 

さてフェースブック危機説には二つの見方がありました。

 

1、 スマート革命において十分な収益を得られないリスク

 

これはソーシャルゲームのジンガが、2011年の上場後、スマートフォンゲームに十分対応できず、一挙に収益を悪化させ、衰退したのと同じことがフェースブックに起こっていると言う見方です。ジンガはスマートデバイス時代の台頭の中でパラダイムシフトに対応できず、衰退しました。フェースブックも同じ道をたどる可能性があると言う見方が上場後、14か月も続いていました。これがフェースブックが上場時点の株価に14か月も復帰できなかった理由です。

 

フェースブックの広告が売れた理由は、従来、生かせなかったソーシャルグラフのビッグデータ分析を活用できる能力をスマートデバイスへの移行が鮮明な時代になってやっとフェースブックが獲得したと言う見方で説明されます。この見方がフェースブックの短期危機説を後退させました。ニュースフィードのスマートフォン広告のクリック率は通常の21倍-49倍であり、コストは45%も安い為、広告主が殺到したと言うAdRoll分析があります。

 

2、 若者を十分集められないリスク

 

確かに2013年の第二四半期にはフェースブックはスマートフォンの広告売り上げで十分な成果を出し、その結果、ジンガのような短期的な衰退のリスクは避けられると言う認識が広がっています。

 

一方でeMarketerの言うスマートデバイス中心時代のソーシャルメディアの若者獲得競争は熾烈を極めており、必ずしもフェースブックが絶対的に有利と言う状況ではありません。PathWhatsapp、中国のWechat、日本のLINE、カナダのキック、スナップチャットなど新しいソーシャルメディアがフェースブックを恐竜とするならば、フェースブックの買収したインスタグラムを含め哺乳類型のサービスが台頭しています。ビジネスウイーク誌などは、フェースブックが毎月8億人のアクテイブユーザーを誇る一方、哺乳類型のサービスも1億人を越える登録者を持つサービスが10以上あり、更に20が続いていると言っています。

 

この領域ではフェースブックの強さは絶対的なものではなく、数あるサービスの一つに過ぎません。

★★What's Facebook up to With Android?

<短期衰退説は消滅、しかしその後は五里霧中のフェースブック>

 

 確かにジンガのようにここ一二年でフェースブックが大幅な赤字となり衰退すると言う見方は後退しましたが、その後は五里霧中と言う状況です。

例えば企業評価のエキスパートであるAswath Damodaran氏は「フェースブックは今が売り時」と言っています。(同氏はフェースブックの実質価値を27-28ドル程度と見ています)

 

 フェースブックの得意領域は広告ですが、一方スマートデバイス上では若者は広告を嫌うと言う見方も根強くあります。そうなれば広告の嫌いな若者は次第にフェースブックを使わなくなり、広告を避ける哺乳類型サービスに次第に移行するリスクがあります。

スマート革命時代の単純でシンプルかつリアルタイムのサービスへとフェースブックは脱皮できるでしょうか。そして広告に頼らないビジネスモデルが確立できるでしょうか?どうやらそれがフェースブックの勝負課題のようです。

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