スマート革命とエコシステム、勝ち組サムスン電子による独自アプリ開発者会議、10月実施の重要な意味
<序文>
韓国サムスン電子が2013年10月、サンフランシスコで本格的な自社主催の開発者会議を実施します。開発者会議と言えばマイクロソフトのビルトやグーグルIO、アップルのWWDCなどが知られています。それと同じ事をサムスン電子は実施しようとしています。対象はクロスプラットフォームであり、全てのサムスンのプロダクトです。スローガンにはサムスンのツールやSDKを学ぼうと書いてあります。
一説にはアマゾン型のグーグルとの離婚(グーグルプレイ離れ)への動きではないかと言う見方もあります。アンドロイドのエコシステムのリーダーシップはグーグル開発者会議の「グーグルIO」が押さえていますから。
何れにしてもサムスンはアプリ開発者会議により、自社製品の上にスマートデバイス連携(モノのインターネット)とクラウド連携(サービス支配論理)により独自のエコシステムを醸成し、そのリーダーシップを握ります。確かにグーグルとの摩擦は出てきますね。
エコシステム支配の為には第三者の開発者群を押さえることの重要性をサムスン電子は良く理解しています。
過去、ノキアやインテルも開発者会議を組織していますがサムスンの狙いはどこにあるのでしょうか?
★★Samsung unlikely to pull away from Google at October
developer event
<出所:サムスン電子>
<フェースブックの弱点はF8の戦略模索>
2013年4-6月期の決算が予想を上回り、株価も30ドルを越え、収益面では一安心のフェースブックですが、2011年以来、F8(開発者会議)を実施していません。Webアプリからネイティブアプリへの転換の中で戦略面では未だ模索中と言ったところでしょうか。第三者の開発者群との戦略が明確化されていないと言うのは将来に禍根を残しかねません。
<日本家電には出来ないサービス支配のエコシステム確立>
アプリの開発及びそれと連携したクラウドサービス側でのソフトウエアの開発は、スマート機器同士を連携し、その上にソフトウエアによりサービスを作り上げます。そのサービスの上に生活者の忘れられない経験が乗っかります。これが「モノ支配論理からサービス支配論理のエコシステムへの転換」と呼ばれているものです。その要がエコシステムを作り上げる開発者会議と言う位置づけになります。第三者群のアプリ開発が鍵を握ります。
従がってアップルもグーグルも開発者会議のリーダーシップは決して手放しません。またここを押さえない限りスマート革命時代、モノの価値よりサービスの価値が重視される時代には勝ち組になれません。
日本家電は何故開発者会議に手を出さないのか不思議です。
例えばパナソニックが注力しているスマート家電はパナソニックの家電製品に対してしかアプリを開発していません。だから「センスが良くないとか・・値段が高過ぎる・・」と言う批判があふれます。しかし開発者会議があれば、第三者がパナソニックの製品群と連携した様々なアプリを作り上げるでしょう。例えばパナソニックのスマートフォンから自宅のドアを開閉するアプリなども出来るかもしれません。こうなれば「便利だ」と言う話にもなります。
サムスンはそこを狙っている訳ですね。
<狙いはスマートテレビか、タイゼンOSか?>
サムスン電子は2010年、2011年とスマートテレビのアプリ開発コンテストを韓国、欧州、北米で実施しました。そして2013年秋以降、いよいよアップルからアップルテレビが、マイクロソフトからXboxOneなどの本格版のスマートテレビが出ます。その時に備えてサムスン電子は、開発者会議を立ち上げ、準備していると言う見方もあります。
また狙いはウエアラブル機器やアンドロイド後のタイゼンOS、だと言う見方もあります。
日本メーカーの奮起が期待されるところですが、寧ろ期待しない方が良いのでしょか?