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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマート革命とテレビ、鮮明になり始めた米国地上波テレビの衰退、視聴率の急低下、有料テレビとの競争やスマートデバイスの台頭の中、地上波を辞める動きも!!

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<序文>

 国内のテレビ業界とメーカーが総務省を巻き込んでIPTVフォーラムにおいてNHKが提案したスマートテレビのハイブリッドキャストを標準化の名のもとに(結果として)ガラパゴステレビに仕立て上げる努力を続ける一方、米国では地上波テレビの衰退傾向が鮮明になっています。

 

ゴールドマンサックス証券の調査(20134月)では、18歳―49歳の層で地上波テレビ(ABC, CBS, NBC and Fox)のプライムタイムの視聴率が冬の間、前年比約17%下がりました。この数字はかつてない落ち込みだそうです。それもフォックスの誇るアメリカンアイドルやABC放送のダンシング・ウイズ・スターズなどの伝統的な視聴者参加の人気番組が落ち込んでいます。アメリカンアイドルの場合は飽きられたのか、前年比25%、過去5年で50%の視聴率の落ち込みです。(まるでスマートフォンのサービスのような変化の激しさです)

 

その結果、広告売り上げもネットと有料テレビシフトが進んでいます。革新企業のアエレオ(地上波を変換して各家庭のインターネットに流すサービス)の台頭の中、地上波を辞めて有料テレビに形態変化すると一部の地上波が言い出しているのもあながち嘘では無いようです。政府や議会からは「そんなに見られていないなら地上波の電波を通信キャリアに割れ当てたら」と言った声も聞かれます。

 

なるほど今回はHuluを会社ごと手放さないと「米国地上波は経営が持たない」ようです。

 

ネットフリックスやアマゾンプライムビデオなどの台頭の中、米国地上波は一体、どうなるのでしょうか?また番組が面白くないと言われている日本の地上波にどういった影響を与えるのでしょうか?

 いよいよ米国地上波がピンチの時代が来た!!

tv suicide

 <出所:ビジネスインサイダー>

★★ As TV Ratings and Profits Fall, Networks Face a Cliffhanger(ニューヨークタイムス紙)

 

★★BRUTAL: 50% Decline In TV Viewership Shows Why Your Cable Bill Is So High

 

★★As TV Falls Apart, Tumblr And Twitter Aim To Pick Up The Pieces

  地上波の神話、視聴率の低下の一方ドラマなどCATVとの番組制作競争の結果、広告単価はウナギ登りの構造

Morgan Stanley TV

 その結果、10年で視聴率が半減しても広告売り上げは6-7%しか下がっていない神話がなりたった。その時代が終わりを告げようとしている。

Morgan Stanley TV

 

<出所:ビジネスインサイダー>

 

 ネットフリックスなどネットからの動画提供DVRの時代に食われているのは

米国地上波

 

First, online and DVR viewing continues to eat into the core live TV business:

Morgan Stanley TV

 

<出所:ビジネスインサイダー>

10年で半減した視聴率、有料テレビにドラマ制作などで敗北>

 

 1950年代の有名番組「アイラブルーシー」の頃、米国地上波は確実に5千万人の視聴者を確保していました。そういった古き良き時代は既に過去の話です。モルガンスタンレーの調査では、2002年から2012年までの10年間に米国地上波の視聴率は半減しています。その一方広告費の単価値上げと再送信料の値上げなどで米国地上波の売り上げは約6-7%しか落ちていません。一方CATVやIPTV(通信キャリアの有料テレビサービス)、衛星テレビとのドラマ制作競争でハリウッドの役者やシナリオライターに関するコストはウナギ登りです。

 

視聴率が前年冬四半期比40%も落とした最悪のABC放送はそれでも四半期で1.38億ドルの売り上げを挙げています。一方NBC放送は広告が売れず、前年四半期比0.35億ドルも売り上げが下がりました。フォックステレビも広告売り上げを落としています。

 

ウオールストリートの投資家筋は「視聴者が減少したのに広告単価が上がると言うこの騙しはもはや通用しない」と言い始めています。2013年は歴史の転換点です。広告売り上げも地上波から有料テレビにシフトを始めています。(当然、一部はインターネットに回ります)地上波テレビが見られない中、テレビのマス広告が効かなくなり始めています。だからABCなど一部の地上波は「有料テレビにサービスを切り替えることも考える」と発言しはじめています。

 

一方有料テレビは地上波テレビとの激しい番組制作競争に勝ち残り、AMCのウオーキングデッド(日本でも人気)などが高い視聴率を稼いでいます。

 

尚、有料テレビは2012年から全体として少しずつコードカットと言われるインターネットサービスに食われて全体の視聴者が減り始めてます。(2012年は契約数が数万件減少)またCATVの視聴者が減少する一方新しい衛星テレビやIPTV(通信キャリア系の有料テレビ、例としてはベライゾンのファイオスTV)の視聴者数は伸びています。

 

 

 

結果としてネットフリックスやHulu、またスマートフォンやタブレットに時間を奪われたのは有料テレビでは無く、米国地上波テレビと言う事になりました。

 

 

 

その中で視聴率が前年冬比2%しか落ちていないCBSが一人勝ちの様相です。

 

 

 

<番組の制作競争が激しい米国地上波、無風の日本の放送業界>

 

 有料テレビが普及している米国では番組の制作競争が激しく、インターネットテレビのネットフリックスやアマゾンなども独自番組を作成して成功しています。その結果、日本のようにテレビが面白くないと言った話はあまり聞かれません。有料テレビをおもちの方にはお判りでしょうが、確かに米国のドラマは面白いですね。ネットテレビやスマフォ、タブレット、有料テレビとの競争の中で番組制作競争に負けた米国地上波は、衰退を始めたようです。

 

その象徴が二画面視聴に最も適したアメリカンアイドルやダンシング・ウイズ・スターズなどの視聴率低下でしょう。

 

 

 

地デジ移行後、少しずつ視聴率が下がっている日本の地上波テレビの場合も、スマートデバイスの普及や通信キャリアの動画サービスがスマートテレビに波及する中、うかうかするとテレビの視聴者離れが一挙に起こるかもしれません。

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