スマート革命とソーシャルなモノの哀れ、10億ドル近い投資を獲得した「消えるスナップチャット」が流行る訳
<序文>
映画やテレビドラマの「ミッションインポッシブル」を思い起こさせるメッセージサービスのスナップチャット(受け取った写真や動画が10秒以内に自動消滅するサービス)です。このスマートデバイスネイティブサービスは、最近、全部で10億ドル近い出資を得ました。若者にも投資家にも大人気です。
1日に2億枚の写真が交換され、自動消滅するサービスです。フェースブックが一日3.5億枚の写真投稿を誇っていますが、それに追いつく勢いです。
従来は投稿や書き込みが「蓄積されるのが当たり前」だったパソコン時代のインターネット文化ですが、スナップチャットなどの台頭により「投稿は消えるのが当たり前」と言う新しい文化が生まれ始めています。
スマート革命の特長は「モノ支配論理」から「サービス支配論理」への移行であり、生活者の経験を支援するサービスの価値が上がり、一方モノの価値が相対的に下がることを意味しています。面白いのはスナップチャットの自動消滅写真、自動消滅動画は散り急ぐ桜の花びらのような「モノの哀れの感覚」を持っていると感じられる点でしょうか。
この投稿が消える「モノの哀れの感覚」が米国で受けています。
★★ The rise of disposable media
★★ Do we need more kinds of social media that self-destruct the way Snapchat content does?
★★ Snapchat close to raising as much as $100 million at a jaw-dropping valuation
★★ What is behind Snapchat's massive valuation?
★★ Snapchat snapshot: App counts 8M adult users in U.S.
居酒屋の会話は消えると言う主張が注目されている!!
<出所:http://netjacobsson.tumblr.com/post/53838051198/the-rise-of-disposable-media>
<出所:スナップチャット>
<社会適応が不十分な旧型ソーシャルメディア>
これまで女性のヌード投稿が多いと言われるタンブラーや投稿が自動消滅するスナップチャットなどに対してはパソコン型のソーシャルメディアが「実名採用などにより社会に過剰適応したため」と言う指摘が出ていました。投稿の記録が後々残る為、馬鹿をしたい若者が嫌がっていると言う指摘ですね。
しかしスナップチャットの人気の中で逆に「古いソーシャルメディアは社会適応が不十分だ」と言う新たな指摘が出始めています。
友達同士のカフェーや居酒屋での会話は「厳しくても優しくてもその場で消滅」してしまいます。何かあった時の「知り合いからのアドバイスや諭すような言葉」は端から消えてゆきます。仲間同士の会話は端から消えて行く「モノの哀れ」の感覚を持っていると言う訳です。厳しい叱責も優しいいたわりも散り急ぐ桜の花びらのように消え去ってしまいます。旧来のソーシャルメディアに欠けていたのは「物理的な会話の持つモノの哀れ感覚」であり、それをソーシャルメディアの仕組みとして具現化したのがスナップチャットと言う訳です。
流石にソーシャルメディアの先進国の議論は驚くほど深いです。
<モノの哀れ型ソーシャルメディアは流行るか?>
日常の仲間内の会話にはいたわりや思いやり、怒りなどの感情があります。それによってお互いを正したり、包みこんだりしています。
この仕組みはモノの哀れを解する国柄、理性よりも感性を重んじる日の本の国でも流行ると思われます。モノの哀れ型ソーシャルメディアは日本でも流行ると思うのですが。