スマート革命とPBデバイス、99ドルを99セントに値下げしたフェースブックフォンのHTCファーストは失敗か!!?
<序文>
米国通信キャリアのAT&Tは台湾HTC社のHTCファーストを二年契約付きで販売価格を99ドルから99セントに値下げしています。販売プロモーションと言うことなのでしょうかフェースブックも歓迎の意向です。またこの値下げは何時まで続くかわかりません。単なるプロモーションとして短期で終わると言う見方もあれば、ずっと続くと言う見方もあります。
HTCファーストは例の待ち受け画面アプリがプレインストールされており、アンドロイドOSをフェースブックの為に修正したこともあり、フェースブックフォン(一種のフェースブックの開発したプライベートブランド)としての色彩が強いスマートフォンと見られています。
しかし市場には販売開始一カ月足らずで始まった安売りに対して「この値下げはフェースブックフォンの失敗を意味する!!」と言う厳しい声も上がっています。フェースブックはHTC以外のメーカーともフェースブックフォン開発の話を進めているようですが、ちょっと難しくなりそうです。
アンドロイドOS向けの待ち受け画面アプリも4月12日開始後一カ月近く経ってやっとダウンロード数が百万回を超えました。しかし毎日1.5百万台のアンドロイドフォンが新しく起動されている点を考慮すればいかにも少ないです。
ショートメッセージ(SMS)や有料電話の置き換えから始まったスマートデバイス上のOTTメッセンジャーと呼ばれるアプリサービスにフェースブックは、今後しっかり対抗できるのでしょうか?
★★ Here's why the Facebook phone flopped
★★Slow Sales Of Facebook’s Phone? AT&T Drops Price On HTC First From $99 to $0.99
★★Facebook – Jack of one trade
★★Facebook updates Home, says downloads reach 1M
★★「フェイスブックフォン」、米AT&Tが99セントに値下げ 発売1カ月足らずで
引用 (ロイターより引用)
AT&Tの広報担当者は、値引き販促は特に変わったことではないとしているが、通常こうした値引きは発売開始後数週間では行われない。
独立系アナリストのリチャード・ウィンザー氏は、自身のブログ(www.radiofreemobile.com/)上で、今回の値引きはフェイスブックや同社のモバイル事業の先行きに暗い影を落としていると指摘した。
引用終わり
(Credit: Josh Miller/CNET) <出所:cnet>
<OTTメッセンジャーサービスアプリの何が脅威か>
現在、OTTメッセンジャーサービスアプリと呼ばれるスマートデバイス上の新たなサービスが驚異的な伸びを示し始めています。登録参加者数3億人のWhatsapp、2億人のViber、1.1憶人のタンゴや5千万人のKik、3億人のWechat、1.5億人のニムバズやLINEなどのサービス、アップルのiメッセージなどは、第一義的には通信キャリアの提供するショートメッセージと更に有料電話のコミュニケーションサービスの置き換えを進めており、これらのサービスは直接、ソーシャルメディアを置き換える動きではありません。
しかしOTTメッセンジャーサービスアプリは、次第にソーシャルメディアの色彩を濃くし始めており、ソーシャルメディアに費やす生活者の時間を食べると共にコミュニケーションとソーシャルメディアの境目を消し去り始めていると見られています。
その結果、フェースブックにとっては以下の点が脅威になります。
1、 コミュニケーション領域の新たな動きに若者をはじめとするフェースブック参加者の時間を取られる。これが広告やマイクロ取引の減収要因となる。
2、 新たなソーシャルメディアへと育ち始めた新サービスの動きがフェースブックの存在基盤を脅かす。
現在は明らかに上記の1の段階が到来しており、その対策としてフェースブックは待ち受け画面アプリとフェースブックフォン(HTCファースト)を出してきました。それが上記記事によれば「上手く言っていない」と言う訳です。
これはフェースブックの参加者はスマートデバイス上のコミュニケーション利用に関してフェースブックに「そこまでの強い興味がない」と言うことを意味します。フェースブックは、嘗てツイッターの呟きを取り込んだようにスマートデバイス上のコミュニケーション需要を取り込めないのでしょうか?コミュニケーションとソーシャルメディアの境が消えるスマート革命の時代にコミュニケーション需要を取り込めなければ、逆にソーシャルメデイア領域に攻め込まれます。
<コミュニケーション領域の戦いと新たな策>
米国のブログで時々韓国製と紹介されることもあるLINEなどは基本が一対一のコミュニケーションであり、地味なサービスです。「華麗な日常生活」を提示するフェースブックなどのソーシャルメディアの華やかさは持っていません。
しかし今後は中国のWechatのドリフトボトル(誰に届くか判らないメッセージング)や日韓連合のLINEのスタンプなどの華やかさとソーシャル要素を強めて来れば、フェースブックなどのパソコン主体のサービスは基盤が揺らぎかねません。
メッセージングサービス自体はそれほど難しい事では無く、フェースブックにもまだ時間があるのでHTCファースト(フェースブックホン)が上手くいかなくても更に手を打ってくるでしょう。
現在はまだ前哨戦の段階ですが、OTTメッセンジャーサービスアプリがフェースブックと雌雄を決する時期がもう少し先には必ずやってくると思います。