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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマート革命と姿形、au(KDDI)のメールとショートメッセージがLINEそっくりに変わる訳!!

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<序文>

 au(KDDI)のメールとショートメッセージの姿形は「LINEそっくり」に変わるそうです。5月25日に発売する2013年の夏モデルの一つであるXperia UL SOL22」からAndroid 4.xを対象に順次表現方法を変えて行くと発表されています。流石に4,500万人が登録している国内の新サービスを無視できなくなったと言うことなのでしょう。

 

唐突な表現方法の変更ですが、「LINEそっくり」に変える意味はあるのでしょうか?(確かにお金の面では大ありですが)

 

面白いのでスマートデバイスに関連した一種の日本文化論として考えてみました。

 

 

★★ KDDIAndroid スマホの E メール/SMS “LINE トーク風「会話モード UI」に

 

★★KDDI Eメール (@ezweb.ne.jp) およびSMSに「会話モードUI」導入について
~もっと多くのお客さまにスマホを楽しんでいただくために~

 

★★ KDDI Eメール (@ezweb.ne.jp) およびSMSに「会話モードUI」導入について 〈別紙〉

以下AUのプレスリリースの引用です。

KDDI、沖縄セルラーは2013年5月25日より、auのAndroid 搭載スマートフォン向けのKDDI Eメール (@ezweb.ne.jp) およびSMSのアプリケーションを刷新します。

メールのやり取りをタイムライン上に表示する吹出し型の「会話モードUI」により、履歴を見ながら返信ができるため、受信してから返信するまでのステップが短くなり、会話をしている感覚でテンポよくコミュニケーションをお楽しみいただけます。
ま た、「新着メールをすぐに確認したい」というお客さまからのご要望にお応えし、ロック画面上に受信したメールのポップアップを表示し、すぐに返信ができる 機能にも対応します。さらに、従来のデコレーションメールに加え、HTMLメールの表示改善により画像付きメルマガにも対応し、表現力豊かなメールが表示 でき、より快適にご利用いただけるようになります。
なお、2013年夏モデル以前のAndroid 4.x以上搭載スマートフォン (注) 向けには2013年6月以降、順次アップデートを行う予定です。

1. 会話モードUIについて

  • 家族や親しい友人同士で利用することが多いEメール、SMSを吹き出し型のタイムライン表示にすることで、短いメッセージでも楽しめる。
  • Eメールアプリケーションでは、従来のデコレーション絵文字に加え、お客さまのご利用形態にあわせて、従来のフォルダモードUIと表示を切り替えできる。

●2. KDDI Eメールアプリケーション機能向上について

  <引用元KDDI、沖縄セルラープレスリリース>

<メッセージサービス・アプリの姿形>

 さてLINEやカカオトーク、中国のWechatなどは、スマートデバイス上で誕生した米国のOTTメッセージサービス・アプリの姿形を真似た(参考にした)と考えられます。現在の「人の顔写真からの吹き出しの中で喋らせる形」は、元来、コミックの形式ですが、一昔前にはセカンドライフのような仮想社会サービスの中でアバターからの吹き出しトークが盛んに試みられました。

 

その姿形を20097月に立ちあがったWhatsappなどが採用し、これが一種のデファクトスタンダード(標準)として世界中のOTTメッセージサービス・アプリに拡大したと考えられます。そのひとつが日韓連合で推進しているLINEの姿形な訳です。確かにこのやり方の結果、明らかに使い勝手は向上します。

 

このような姿形の伝承、一種の文化の伝搬は「ミーム(文化的遺伝子)」と呼ばれています。

 

元々ソーシャルメディアの姿形や一昔前のQ&Aコミュニティの姿形もこのようにしてグローバル世界に普及しました。

 

 

 

<スマートデバイス上でも鹿鳴館華やかな時代が続く>

 さて流石に世界の通信キャリアはそこまで踏み出していませんが、日本のau(KDDI)のメールとショートメッセージもメッセージサービス・アプリの姿形を受け入れました。

 

 元来、日本が「ミーム(文化的遺伝子)」を受け入れる慣習として「姿や形から入り、精神を学ばない」と言う伝統が有ります。所謂、和魂洋才ですが、その伝統は明治初期、西洋の社交ダンスパーティを盛んに開催した鹿鳴館に根ざしています。古来から受け継がれてきた「日本文化の雑種性」の現代版のルーツとみなされています。

 

au(KDDI)のメールとショートメッセージによる“LINE トーク風「会話モード UI」への変更は、筆者には鹿鳴館の伝統のスマート革命版と思えますが如何でしょうか。姿形から入った訳ですね。

 

筆者は鹿鳴館型アプローチを良いとも悪いとも言うつもりはありません。日本の伝統的なアプローチをau(KDDI)さんは採用したのかなと言う感想を持ったと言う話です。

 

<土管屋を避けられるか通信キャリア>

 先日もNTTドコモの夏モデル発表会にLINEの森川社長が登場され、両社のアライアンスが発表されました。そしてLINEにNTTドコモの有料通話ボタンが付く事になりました。NTTドコモとしては「LINEを認める代わりに多少ともスマートフォン電話の収入減を防ぎたいから協力してほしい」と言う訳ですね。

 

既にau(KDDI)もLINEのアプリをアプリ取り放題のストアー(auスマートパス)で取り扱っています。メッセージサービス・アプリの影響で無料通話の普及やショートメッセージ、キャリアメールの収入減で苦しむ通信キャリアにとってau(KDDI)の鹿鳴館戦略は功を奏するのでしょうか?

 

例えばDeNAのメッセージサービス・アプリのCOMMのようにメールとの接続まで将来、進むのでしょうか?そういえば無料電話のスカイプも様々な既存の有料電話と接続しています。

 

さてミクシィに対して「ツイッターやフェースブックに似せる戦略を採用した結果、逆に本家のサービスを使う流れが出来あがり、衰退を加速した」と言う指摘があります。同じことがau(KDDI)の鹿鳴館戦略にも当てはまるのか、逆にLINEへの流れを食い止められるのか?多少とも効果があるのかそれとも焼石に水か注目点です。

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