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スマート革命の創造的破壊、「ソフトウエアが世界を食べる時代」に「高級ブランドイメージが急速に食べられ始めた日本家電」は死に至るのか!!?

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<序文>

 スマート革命の時代を迎えた現在、パナソニック、シャープ、ソニーなど日本の大手家電メーカーの赤字が止まらない現状を米国の記事は相当シビアに見ています。嘗て日本メーカーはブランドが浸透し、その為、プレミアム価格を付けても市場で売れる時代がありました。しかし二年連続の大赤字は「日本メーカーのブランドイメージを粉々に砕き、最早、ブランド価格では家電商品は売れなくなった。」との指摘もあります。欧米の消費者は二年連続の大赤字に幻滅したからだそうです。そうなれば高級ブランドのイメージは一挙に消えてしまいます。この傾向は国内でもゆっくり浸透するでしょう。

 

ブランドイメージが消え、ブランド価格で売れないとなれば製品を原価並みの安い値段で売るしかありません。全く儲からなくなります。

 

代わって韓国メーカーや台湾メーカー、中国メーカーの活躍が目立っています。

日本メーカーは家電分野で二度と輝く事は無いだろうと言うシビアーな見方もあります。

 

嘗てブランドとは日本製品のハードウエア機器の高品質と同意語でした。しかし「ソフトウエアが世界を食べる時代」にはサービスの醸しだすイメージの要素が強まります。ブランドイメージのメルトダウンは製品価格に跳ね返ります。

 

★★ Why Software Is Eating The World

 

 

★★ The era of Japanese consumer electronics giants is dead

 

★★ What Japan’s consumer electronics meltdown means for you

 

★★ Software Is Eating The World, But Health Care Is Having Indigestion

欧米にメルトダウンを始めたとされる日本家電

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 <出所:digitaltrends.com>

<ソフトウエアが世界を食べる時代に追随できない>

 ウオールストリートジャーナル誌が「ソフトウエアが世界を食べる時代」が来たと言う記事を載せています。クラウドコンピューティングのお陰でサーバーの値段が大幅に下がり、2000年頃には月額で約15万ドルかかったアプリサービスの維持費が十分の1の約1万5千ドルにまで下がり、ソフトウエア業界の起業が楽になったと指摘しています。今や約20億人がブロードバンドを利用しています。ソフトウエア開発のツールも充実し、無料のオープンソースソフトも多数活用できます。次の10年で約50億人がブロードバンドを利用します。

 

その結果、ソフトウエアが現実世界を食べ始めました。ハード機器依存企業や物理店舗など多彩な物理的産業がソフトウエアによって食べられ始めていると言う指摘です。

 

アマゾンの電子書籍や電子書店=ソフトウエアに食われ倒産した書店2位のボーダーズなどの例が上がっています。ネットフリックス=ソフトウエアに負け倒産したのは、DVDレンタルのブロックバスターでした。

 

映画のPixarもソフトウエアの会社です。日本が得意な手書きの2Dアニメは食われてしまいました。電話もソフトウエアの会社、スカイプに食われています。その内、ソフトウエアの支える電子教科書は教育を食べるでしょう。

 

「ソフトウエアが世界を食べる時代」とは、物理的な世界がソフトウエアに支えられたサービスの世界に食われる事を意味しています。「モノ支配論理からサービス支配論理」への移行が「ソフトウエアが世界を食べる時代」と言う訳です。

 

アップルなどが創造する「ソフトウエアが世界を食べる時代」に日本家電はついていけません。今後これに追随するのは韓国、台湾、中国企業です。彼らは原価ぎりぎりの(アマゾンなどの)プライベートブランドの開発、製造も請け負います。

 

プライドも人件費も高い日本家電にしてみれば「ソフトウエアが世界を食べる時代」に一旦負ければブランドプレミアムがげ落ち、最早、ハードウエアでは稼げなくなります。そうなればソフトウエアが支えるサービスと経験の提供で稼ぐしかありません。恐竜のような日本家電はアマゾンには変身できないだろうと見られています。日本家電はソフトウエアにより世界を食べるのではなく、ソフトウエアにより自らの高級ブランドイメージが食べられる立場に立ち始めています。

 

二年連続の赤字を背景にブランドイメージの消滅現象は欧米ほどでは無いにしても、国内でもゆっくり浸透するでしょう。そうなれば韓国、台湾、中国の家電製品が次第に家電量販店で売れ始めます。

 

やはり日本家電には死しかないのでしょうか。

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