グーグルドライブの登場で大きく変化するクラウドコンピューティングモデル
<序論>
グーグルが4月24日か25日にでもグーグルドライブと呼ばれるパーソナルクラウド・サービスを発表すると見られています。それを先取りしてマイクロソフトは自社のパーソナルクラウドであるスカイドライブにアプリによるファイル同期(ファイルシンク)を付加したり、ドロップボックスは一部のファイルの共有を簡単にするブラウザーリンクを発表するなど動きが慌ただしくなっています。
クラウドコンピューティングはソフトウエアの「ライセンス提供からサービス提供へ」と言うWeb2.0の流れの中からグーグルの検索モデルを基本として提唱されて来ました。しかしそのモデルが大きく変わろうとしています。
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<Web2.0の終焉、グーグルモデルからドロップボックスモデルへの移行>
グーグルの提唱した情報爆発(ビッグデータ)のモデルは「パソコンーブラウザーーWebサービス」が基本形でした。そこにおいてはアプリもデータも雲の彼方に引っ越しをし、端末(クライアント)側には何も置かれ無いと言うサーバーに偏ったモデルでした。
しかし現在はモバイルを中心とした新しいスマート機器が台頭し「スマート機器―ネイティブアプリーインターネット」と言うモデルに変わろうとしています。判り易く申し上げればデータもアプリもネットワーク上のどこかに置いてあり、生活者はそれを意識する必要が無いというものです。
クラウドコンピューティングは提唱者のグーグル会長であるエリック・シュミット氏がネットワークコンピューティングの発展形と述べたように、更に進化を遂げようとしています。
<企業コンピューティングにも影響するBYOD>
ドロップボックスモデルになればパソコンだけでは無くスマートフォンやタブレットにもアプリが載ってきます。こうして「個人コンピューティング」はパソコンから新しい形へと変化し始めています。またデジタルコンテンツの在り方も「所有から非所有へ」と変化を始めています。
このような新しい個人コンピューティングの在り方はITの消費者化と呼ばれており、生活者の手なれた機器をビジネスでも使いたいと言う欲求=BYODが避けがたい流れとして台頭しています。その結果、全てが雲の彼方に引っ越すと思われたグーグルモデルのクラウドコンピューティングに逆流が発生し始めています。これは早晩、無視できなくなると思われます。iPadにビジネスアプリを積んだり、スマートフォンにワークフローアプリを積む訳ですね。
<哺乳類モデルのパーソナルクラウド>
しかし従来の大型パソコン=ファットクライアントの時代に活用された恐竜型アプリと比べてスマート機器などに搭載される哺乳類型アプリは値段も大きさもことなります。ゲーム機で言えば一本4千円のファイナルファンタシーとiPhoneに搭載される一本100円のアングリバード位の違いがあると考えられます。
ドロップボックスモデルの台頭でいよいよWeb2.0と呼ばれたWeb2.0サービス中心の時代は終焉しました。ガートナーグループがICT革命の折り返し地点と呼んだ現在ですが、今後とも更に大きな変化が起こりそうです。