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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

Webアップス(HTML5)とネイティブアップスの代替財効果と補完財効果

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<始めに>

 グーグルのアンドロイドOSチームがクロームブラウザーのスマホ版(Android browser Chromium)を導入するそうです。これまで何故アンドロイドOS上にHTML5にもっとも対応したクロームブラウザーが搭載されていないのか不思議がられていました。

一方逆にマイクロソフトは「ジュピター」と呼ばれる極秘プロジェクトでWindows phone7用にパソコン、モバイル機器、スマートテレビ(xbox360)などに共通するアップストアを立ち上げると言う見方が出ています。アップルの動きもパソコン、モバイル機器などを纏めたアップストアの方向ですよね。

 しかし一見矛盾するこれら各社の動きは、良く見ると共通点が見えてきます。

 

実際、世界最大のパソコンメーカーHPがパソコン事業から撤退を決めるなど、ポストパソコン時代への議論が盛んになり、iCloudなどポストパソコン時代のクラウドコンピューティングにも注目が集まっています。

そこにおけるキーワードは「Webアップス(HTML5)とネイティブアップスの補完財効果」でしょう。

国内でもやっとWebアップス(HTML5)とネイティブアップスの代替財効果(椅子と椅子の競合関係)の議論が出始めていますが、時代はもっと先に進んでいます。

 

 

 

★★ Android (Finally) Taking Steps Towards WebKit  And  Chromium

 


 

 

★★  Is “Jupiter” the Future of Windows…PC, Phone &Tablet?


 

 

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<グーグル、アップル、マイクロソフトに共通する態度>

 面白いのはWebアップス(HTML5)が代替財効果を発揮してアップルのアップストアを破壊すると主張する視点は、グーグル、アップル、マイクロソフトがHTML5を支持したので流れは変わったと主張している点です。しかしよく見るとマイクロソフトは「ジュピター」と呼ばれる極秘プロジェクトでWindows phone7用のアップストアを立ち上げ、Win32, COM, MFC, ATL, Visual Basic 6, .NET, WinForms, Silverlight and WPFなどのHTML5の動きの中で否定された過去の蓄積技術を生かそうとしています。

またアップルは自らが推進役に関わったWebアップス(HTML5)を支持する傍ら、オブジェクティブCによるネイテイブアップス開発をどんどん推進しています。その点はパソコンクラウド(純正なクラウドコンピューティング)を中心的に推進したグーグルも同じであり、ネイティブアップス前提のアンドロイドOSを止めてクロームOSに統一する気は全くありません。Webアップス(HTML5)と同時にスマートフォンを始めとするネイティブアップスを支持している訳ですね。この矛盾は如何説明できるのでしょうか。

 

<各社は補完財効果を狙っている>

 元来、インターネットは「自律、分散、協調型のネットワーク」と考えられ、その考えが後にネットワークがコンピューター(旧サンマイクロ)となった経緯を経て、サーバー側の情報爆発によりクラウドコンピューティングへと発展しました。パソコンの場合には基本が情報処理マシンですから、ネットワークコンピューティングの一環であり、その内側にあるものとして考えられました。そしてグーグルの言うクラウドコンピューティングの中では単なるブラウザーを介したIO機器と位置づけられた訳ですね。これは一種の集中処理の考え方です。

 

一方アップルのiCloudに代表されるポストパソコン時代のクラウドでは、スマートフォンやテレビ、自動車のカーナビ、照明、ソーラーパネル、クーラーなどがインターネットに繋がります。これらの機器は形態上、ネットに接続されているかもしれませんが、常時、ネット接続型で使用されているわけではありません。ここに情報爆発ではなく、少量のデータを個人的に小さく処理するような言わば哺乳類型のアップスが誕生した素地があります。

 

さて未来の町と言われて盛んに実証実験が行われている「スマートシティ」を考えて見ましょう。スマートシティでは中央のクラウドにあるWebアップス(HTML5)が電気が足りない時には、例えば各家庭の室温を26度以上に保つよう処理ができます。その際、家庭のクーラーには対応するネイティブアップスが必要と考えられます。

5月のグーグルIOでは、ロボットの事例が出ていましたが、グーグルがロームブラウザーのスマホ版(Android browser Chromium)を導入した背景には今後のネイティブアップスとWebアップス(HTML5)の連動(M2M)が考えてられていると見るのが最も自然でしょう。判り易く言えば両者を補い合う補完財の関係(椅子と机の関係)と見ているわけですね。

Android_chrome

 

これはマイクロソフトにもアップルにも当てはまります。

 

Webアップスとネイティブアップスの補完関係の仕組みが勝負>

Webアップス(HTML5)とネイティブアップスの代替財効果=競合関係の議論は国内の一部の識者に任せておくとして、各社の勝負は両者の整合性の仕組みを如何作るかに移っています。そうなればアンドロイドOSとクロームOSと言う二つの異なるOSを持つグーグルが一番不利な立場なのかもしれません。

面白くなってきました。未来を考えると考えると本当にワクワクしますね。

 

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