やはり地デジは歴史の転換点、国内の民放キー局と電通が一斉に2012年春、スマートテレビ開始へ
<メディアの歴史的転換>
日本経済新聞は5つの民放キー局と電通が2012年春、メーカー各社の協力を得て、インターネットテレビのサービスを実施すると発表しました。インターネットから見逃し放送やアーカイブ放送をデジタルテレビ上で視聴できると言うものです。
メーカー各社は現在のインターネットテレビでは対応できないため、どうやらセットトップボックスを新たに開発するようです。
またインターネットでライブ放送を同時に流し、視聴料を徴収する意向を示しているHNKに対しても参加の呼びかけをしています。
奇妙なことに全くイベントが準備されなかったテレビ放送のアナログーデジタル変換の実施(2011年7月24日)ですが、やはりメディアの歴史的転換点だったようです。
スマートテレビに遅れていた国内でもやっとテレビとインターネットが一体化する時代がやってきました。
★★ テレビでネット動画も自在に 民放5社と電通、来春に
★★ 民放5社が新たなインターネットテレビを来春に実用化、専用テレビも同時発売
引用 (ギガジンより)
ちなみに、現在発売されているテレビではこのサービスを受けられないため、家電数社が来春にも対応機器を発売する方向で準備を進めています。
引用終わり
<効いた省エネ運動>
民放各社がインターネットテレビに前向きになった背景には、6月ごろ全世帯視聴率が過去最低に落ち込んだのが決め手となったと言う見方があります。スマートフォンの普及によるテレビ離れとか色々言われていますが、筆者は国策による省エネ効果により単に各家庭がこまめにテレビを消しただけではないかと見ています。もしそうだとすれば東日本大震災と原発事故がスマートテレビ化を促進したことになります。そこを上手く電通が突いて各社に根回しをしたのでしょうか。
<一挙に進むテレビのインターネット化>
2011年7月からテレビ放送業界がスマートテレビの方向に一斉に走り始めたのは、筆者も気づいていました。しかし一般に放送関係者やテレビメーカー、マスメディアは「国内のテレビ放送業界は保守的でどうしようもない。」と言った固定的な見方をしていました。
確かに昨年までの国内のテレビ放送業界は全く持って保守的でした。
しかし今年の米国家電見本市や東日本大震災において特番がインターネット上で流され、パソコンやモバイル機器で視聴された経験を経て、その後広告会社の電通が一挙に話を纏めたのでしょう。総務省による国策として地デジを強制される一方、日本の放送業界も政府から多少とも自律を始めたのでしょうか。
<問題は文化の壁>
インターネットとテレビは非常に相性が良く、この点は紙と電子の相性があまりよくない新聞とは状況が全く異なります。
きまった時間にテレビをみる習慣が工業化社会に必要なものつくりの文化を生み出し、支え、戦後日本の平和と民主主義の国作りに貢献したと言う見方があります。また一斉同時のテレビ視聴は大きな組織での歯車人材、同質型人材の育成にも役立ちました。一方インターネットは、気の会う仲間との会話が先であり、その後気に入った番組を見るという自律型の人材を生み出します。その結果、社会は個人事業主や逆立ちした小さな組織が育ち易く、多様性を重視した自律型の知識社会になると見られています。その文化の切り替えがテレビ業界には求められています。
<動き出す有料テレビ放送業界>
一方CATV業界はKDDIが開発したアンドロイドOS搭載のセットトップボックスを2012年から配布すると言われています。また光テレビや衛星テレビ放送業界も色々な戦略を検討しています。2009年米国で地デジが実施された時、最初にスマートテレビに動き、セットトップボックスにテレビアップスを搭載したのは有料テレビ業界でした。
<東京スカイツリーがスマートテレビのシンボルに>
筆者は前々から東京スカイツリーはインターネットとデジタルテレビが一体化する新たな時代のシンボルになると主張してきました。どうやらそれが現実のものとなったようなので安心しています。いよいよ日本にもテレビ維新、個の自律と多様性、そして知識を重視する自律型社会が到来します。スマートテレビの次はいよいよインターネット選挙の実施でしょう。