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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

グーグルテレビは地上波の広告モデルを破壊するのか!!?

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<序文>

 現在時点でインターネット上の非常に重要な課題の一つにグーグルテレビをブロックしている米国地上波の対応があります。日経新聞まで「メディア対立の再来」と述べているこの事態はFCC(米国連邦通信委員会)や消費者の反応を気にする地上波が全ての番組を止めている訳ではなく、一部を止めると言うゲリラ戦に出ていて、同時にグーグルとの話し合いも進んでいるようです。見逃し放送のHuluCBS以外の多くの地上波が出資)もサムソンやのスマートテレビ上(ソニーの非グーグルブラビアも同様)で番組を提供する一方「グーグルテレビとは交渉中だから今は見せないよ!!」と言う明確なメッセージを出しています。

 

 

★★ A Tour Of How Networks Have Blocked Google TV From Their Web Content

 ★ Internet TV and The Death of Cable TV, really


 

 

<メディア対立の再来>

 

 広告で有名な米国のAdvertising Ageは「地上波が恐れているのはグーグルでは無く、グーグルテレビによるテレビ視聴の広告ビジネスモデルの破壊だ!!」と説明しています。

 

これはどういうことかといえば、「グーグルテレビは地上波テレビのタイムシフト視聴をネット側に加速し、その結果、広告がテレビの値段から一桁安いネットの値段に変わる!!」「これが怖い」同じタイムシフト視聴でもDVDなど録画で見るのならば、テレビ広告が中に入っています。だから広告飛ばしだけが問題であり、値段が高いテレビ広告料金はテレビ局に支払われます。しかしインターネット上でテレビを見る視聴形式=見逃し放送がグーグルテレビにより一挙に加速すれば、「テレビ番組にはネット基準の一桁安い広告」しか付かなくなります。同時に視聴者数が漸減する「地上波のテレビ広告の料金はどんどん下がる」訳ですね。

 

これまでサムソンやソニーのスマートテレビ(内部にアップスを抱えるヤフーコネクトテレビ方式)やロクなどに対しては、比較的好意的だった地上波が、まるで円高の急進行と日本経済の関係のように急に騒ぎ出したのは、グーグルテレビの影響力の強さが背景にあるのでしょう。

 

地上波とグーグルテレビの対立は、著作権で大もめに揉めたYouTubeやナプスターの時代の再来、と言う見方もあります。

 

★★  Why the TV Networks Blocked Google TV (It's About the Ads)


 

<何故グーグルテレビやボクシーボックスなのか>

 

 さしたる理由も無く特定の端末機種をインターネット接続させないと言うのは、明らかにFCC(米国連邦通信委員会)の視点から見て問題があります。また消費者が怒る可能性も大いにあります。しかしグーグルテレビや11月に出るボクシーボックスなどであれば、顧客が実質ゼロの間に叩けると言う判断があったのでしょう。現にそういう見方もあります。

 

そしてグーグルテレビの登場により、「いよいよスマートテレビ=見逃し視聴が主流になるかもしれない時代」が来たという認識が地上波にあり、新聞や雑誌の紙広告に相当する美味しいテレビ広告の利権がタイムシフト視聴により侵害されると言う事への恐怖の象徴的出来事と言うことだと思われます。

 

<次に来るのは再びブルーレイ、HDDVDに似たテレビの標準化論争>

 いずれにしてもFCC(米国連邦通信委員会)と消費者の眼を気にしながらゲリラ戦や小競り合いは法廷闘争も含めて続くと思われますが、同時にこの対立のお陰でグーグルテレビには大きな宣伝になり、スマートテレビの時代も一挙に進みます。米国の「ながら視聴は約60%に及んでいる」「ツイッターのお陰でデスクトップアップスが普及した」「iPhoneiPadのお陰でスマートフォンのアップスが普及した」「見逃し放送=タイムシフトの普及」「セットトップボックスでのスマートテレビ成功事例」とお膳立ては揃っています。

 

そうなれば日本も含めて2011年は、スマートテレビの標準化論争、ブルーレイ、HDDVDに似たテレビの論争が始まると予想されます。そこまで直ぐ行くでしょう。

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