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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

サムソンによるグーグルテレビへの戦闘宣言、コネクトテレビでのオープンソースはどの程度有効なのか?

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<序文>

 

 グーグルテレビ(スマートテレビ)の発表を2011年秋に控えてサムソンが韓国に続いてアメリカでも総計50万ドルの賞金を用意して、2010年型テレビへのアップス開発コンテンストを開始しました。コネクトテレビは欧州のHbbTVや英国BBC放送もコンソーシアムを組み標準化を目指しています。


グーグルテレビの場合にはマルチデバイス(スマートフォン、タブレット、コネクトテレビ、場合によってはパソコン)を含めたオープンソースの中でのアップスの開発になります。一方グーグルテレビに2011年夏まで手を触れられない韓国サムソンは、ヤフーコネクトテレビ(リナックス)をベースとしたある意味で独自仕様で対抗することを明確にしました。サムソンの場合、「壁の中の花園」と言うアップスを活用した「囲い込み戦略」の性格が強いです。

 

 

 ★  テレビの自由への挑戦と言うサムソンのアップスコンテスト



 

 Samsung Announces “Free the TV Challenge” Apps Contest; Doubles Apps Library Content


 

 

 

<サムソンの狙いとアップスの怖さ>

 

 サムソンは韓国に続いて米国でもコネクトテレビ用のアップス開発コンテストを開始しました。(米国在住者が対象)締め切りは2010年11月11日、送金総額は50万ドル、一般の投票結果も考慮して品質、機能の充実、見た目のわかり易さや美しさでチャンピオンを選びます。そして2011年の米国CESで結果を発表します。ヤフーコネクトテレビとコンパチブルなアップスですが、ヤフーのやり方では、同じリナックスでもメーカー別に個別に開発されます。アンドロイドのようなあまり厳密なバージョン管理は明らかになされていません。従ってサムソンのアプローチは「壁の中の花園」と言う独自方式に近いと考えられます。


ワールドカップなどを見れば判りますが、ヤフーコネクトテレビの場合、首位のメーカー(サムソン)には一番先にアップスが開発・提供されます。何もアンドロイドのような他社と同じオープンプラットフォーム上で同時にアップスを提供してもらう必要(わざわざ競争力を減らす必要)は無いと考えられます。

 

 サムソンはプレスリリースの中でディズニーの人気スポーツ番組ESPNの例と有料見逃し放送のHulu プラスの例を挙げ、ESPNは独占契約の元にサムソン用のアップスを開発し、Hulu プラスの場合にはソニーのようなライバルに数ヶ月先行しているという点を強調しています。判りやすく言えば独自アップスを活用することによる「首位固め」に打って出ています。一方2位または3位のソニーはオープンソースのアンドロイドでそれに対抗すると言う構図が鮮明になりました。

 

<課題はどこまでテレビの世界でオープンソース=アンドロイドが通用するか>

 

 一方ソニーもリナックスベースのヤフーコネクトテレビと組んで2010年7月より世界100カ国に展開を始めています。(最初は豪州のABC放送)これは現行のテレビモデルが対象です。一方2010年秋にはアンドロイドで新規モデルを出します。これはオープンソースであるため、アンドロイドの10万本のアップスがそのまま活用できます。(これは凄い強みです。)

 

サムソンはアップス開発コンテストで一挙に開発者コミュニティを立ち上げようとしています。面白いのは社員50人以下のベンチャーに参加を要請している点でしょう。そこには一本の有料アップスが百円―千円程度のマイクロ取引への配慮が垣間見えます。そして今後は既に2010年3月に立ち上げたサムソンのアップストアで販売されます。(有料版と無料版あり。)

 

既に述べたように歴史と伝統のある欧州からもコネクトテレビの標準が出てきています。(HbbTVやBBCのキャンバス)それに対してインターネットの世界からのテレビを超えた汎用プイラットフォームであるアンドロイドは何処まで通用するのでしょうか。

 

これまでの携帯電話=スマートフォンやパソコン、タブレットは新しい世界でした。一方コネクトテレビは新天地ではなくローマを滅ぼして焼け跡に国を作るような異質なアプローチになります。

 

この勝負、テレビの標準の周りに開発者コミュニティをより多く獲得した方が勝利します。そして開発者コミュニティはITベンチャー企業であり、その下請けは技術系主婦のアルバイトや学生、企業プログラマーのアルバイト、発展途上国の皆さんが主体となる飴玉一個=百円の世界です。(セカンドライフでの衣装の販売と全く似ている。)まあ一種CGCM(ユーザー開発のテレビコマーシャル)と似たところがあります。

 

これまでのスマートフォンやタブレットとは違った世界があり、とっても見ものです。

2010年秋のグーグルテレビに向けて面白くなってきました。わくわくしますね。

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