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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

「電子新聞の有料化は失敗する」の大嘘、ニューヨークタイムスの復権に学ぶフリーミアム成功の条件

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<序論>


 紙の部数減と広告費減から来る新聞の新世界への移住、即ち新聞の電子化の動きは止まりそうもありません。その流れの中で前々から多くの日本の識者の方々は新聞の有料化は失敗すると昨年頃から叫んでいました。実際、米国の新聞社の中には紙版を廃止し電子新聞に切り替え、電子版を有料化した途端、読者を殆ど失った事例もありました。しかしここに来て一部の新聞がソーシャルメディアの新しい流れに乗って電子新聞を復活しそうな兆しがあります。ニューヨークタイムスの復権を主張するにはちょっと早い気もしますが、筆者は高く評価しています。

 

★★ 産経新聞、なぜ無料でiPhoneに 「失敗続き」の電子新聞チャレンジに手応え

 

★★ 日経の電子新聞は成功するか失敗するか

 

  引用

わたしはこれまで「新聞社の電子新聞事業は間違いなく失敗する」と何度も主張してきた。ただし「日本経済新聞以外は」と付け加えるようにしてきた。

 引用終わり

 

<電子新聞の成功要因が明確になってきた>


 筆者は最近のニューヨークタイムスの復権、電子雑誌の先端の動き、グーグルテレビを含むコネクトテレビの動きなどを観察した結果、電子新聞の成功要因がはっきりしはじめたと考えています。概説すると以下の通りです。

 

1、 フリーミアムのアプローチを取っている。


本体記事をいきなり有料化して囲い込むのでは無く、フリーミアムのアプローチを取っているところが伸びています。その典型が現在のニューヨークタイムスでしょう。

コンテンツの有料化検討は2011年以降に先延ばしして、コンテンツは無料のまま一週間分のニュースをパソコンに送り込むなど高度なサービスを提供するアップスを有料化した訳ですね。(これで実質的には約20ドル程度でコンテンツを販売したのと同じ結果になります。)

 

2、 アップスとコンテンツの連動に工夫がある。


これはスポーツイラストレーテッドの電子雑誌もそうですが、アップスの活用とコンテンツの連動工夫が鍵を握ります。将来は電子的な読みものにアップスを絡ませれば、雑誌の同じページを読みながらカップルで買い物をすると言った新しい工夫がどんどん出てくるでしょう。今後は有料の記事連動アップスなどが出てくるでしょう。

 

3、 アップスをサービスとして考える


アップス販売やネット上のコンテンツ販売はマイクロ取引の範疇に入ります。マイクロ取引の特徴は「市場取引では無く、社会的取引の側面が強い」、従って「コミュニティの支持が欠かせない」またその収益は「チリも積もれば山となる」と言った性格のものです。これは記事一本10セントで稼ぐ事が議論されていた時代の発想ですが、判りやすく言えば「あの記事面白いよ」と言うSNSの知り合いの輪やツイッターなどのネットワーク効果を活用した口コミの有効活用とオープンソース・コミュニティにおけると同様の「寄付=ドーネーション」の発想が背景にあるという点への理解です。


グリーやモバゲーの衣装や剣はコミュニティにおける自己表現(アバターですが)を意識して買われています。これは仮想社会であれSNSであれ同様に、コミュニティにおける飴玉一個―100円程度の値段はそれへのお礼、心付けという性格を持っていると考えることができます。スチーブ・ジョブスはiTunesにおける音楽のダウンロード販売を開始した時に「これは音楽への対価ではなくサービスに対する心付けである」と言った意味のことをCNNに対して述べています。

 

最近、流行のソーシャルビジネスは、オープンソースなどの社会貢献要素が背景にあります。アップスやコンテンツのマイクロ取引も一種の社会貢献=サービスの性格を持っています。

 

4、 ゲームのような大きなネットの世界観で考える。


フリーミアムにしてもマイクロ取引にしてもゲームなどソーシャルメディアの中で出てきたインターネットの世界観であり、書籍「フリー」で述べられているように経済学的に見てもそれなりに合理性があります。こういった世界観が重要なわけです。


それを理解しているが故に米国企業はニューヨークタイムスの電子版に広告出向し、紙が6%下がる中、電子新聞の広告は21%上昇しました。

 

一方アップスを活用せず、単なるコンテンツの有料化=壁の中の花園への囲い込みを実施した英国のタイムスなどは、明らかに電子新聞化に失敗しています。

 

<アップスとコンテンツの連動、広告の連動、ショッピングの連動が成功の鍵?>

 

 見逃し放送のHuluは、長らく無料のサービスを続けた後、終に4週間以前のコンテンツに関しては月額10ドルの定期購読料による有料サービスを20107月から開始しました。


これはフリーミアムアプローチの典型です。そして来るべきグーグルテレビなどコネクトテレビの時代に備えてソーシャル視聴などを含むアップスとの色々な連動が工夫されると思います。アップスを活用してテレビ番組や見逃し放送を仲間とアバター姿で見ながら韓国のアフリカテレビのように「星風船」と投げ銭を飛ばすのも面白いですね。ニューヨークタイムスや電子雑誌を仲間と一緒に読んで関連サイトを一緒に見るのもアップスならば可能でしょう。


 

電子新聞だけではなく雑誌もコネクトテレビも凡そ電子コンテンツ販売にマイクロ取引が絡む限り、フリーミアムは必須の世界観だと考えられます。


全く面白い時代になってきました。わくわくしますね。

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