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テレビのデジタル化がドライビングフォースとなり、全ての情報メディアが一旦、収縮する時代の羅針盤

スマートフォンやタブレット、コネクトテレビなど「クラウド違反のアップス」がビジネスを差別化する疾風怒涛の時代

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<序文>


 クラウドコンピューティングが華やかに唄われていた頃には(今でもそうですが)、パソコンの上にはブラウザー(HTML5)だけとなり、その他のアップスは全て雲の彼方のサーバー上に引っ越すと言う見通しがまことしやかに言われてきました。しかし実態は、同時にマルチプラットフォームの時代が訪れ、スマートフォンやタブレット、ゲーム機、更にコネクトテレビなどへとマルチプラトフォーム戦争=ユビキタス戦争が始まるとアップスはあっという間に逆流を始め、再びクライアント側をリッチにし始めています。

 

でもまあ、従来型の基幹系システムやオフィス系の値段の高いアップスは原則、雲の彼方に引越しをし、残った一本0円、100円から数千円程度の飴玉一個分の値段的なマイクロ取引アップスがクライアント側に一杯、販売される時代になってきました。マイクロソフトが2012年に発表すると言う噂のWINDOWS8でもアップストアが出来るそうですから、デスクトップ型パソコンにも今後は飴玉アップスが落っこちて来る時代となるのでしょう。そういう時代には一体、何が起こるのでしょうか。

 

<アップスで差をつける戦略、稼ぐ戦略の時代>

 

 ブラウザーと呼ばれる汎用の接続用ソフトではなく、アップスを使った場合、一体、何が起こるのでしょうか。アップスの場合は、対応するOSごとに一本ずつ開発する事が求められます。そうなれば手間もかかりますが、逆にアップスで稼ぐことやアップスで他社と差別化することが出来る時代が来ています。スマートフォンにおいて、アプルは有料、無料のアップスを20万本以上アップストアに登録して販売しており、開発者とレベニューシェアをしています。これはゲームなどでの仮想商品や仮想ギフト(アイテム)のレベニューシェアが基本となった考え方です。その結果、アプルはアップス販売で大きく稼ぐと共にiPhoneの売り上げを猛烈に伸ばしました。その勢いはタブレットのiPadにも引き継がれています。そして米国では、2010年のクリスマスまでに出てくるソニーのアンドロイドテレビ(一種のインターネット・コネクトテレビ。視聴形態はソーシャルテレビ)を意識してビジオやサムソン、LGなどの間でアップスの獲得競争、コンテンツの獲得競争が始まっています。

 

ブラウザーの時代ならばインターネット上の全てのコンテンツはブラウザーから均等にどんなパソコンからでも自由アクセスが可能でした。しかしアップスはOS毎、すなわちほとんどタブレットやコネクトテレビの機種ごとに一本ずつ開発する必要があります。

 

その結果、先日発表された米国の有名な見逃し放送であるHuluの有料化で明らかになったことですが、テレビ各機種への対応に時差が付きます。まずサムソン、そして程なくPS3、来年早々Xbox360等となるわけですね。タブレットやスマートフォンでも同じことが言えます。下位のメーカーは常に優先順位が低い為、新しいサービスが登場してもそれへのサービス対応が常に数ヶ月遅れます。これは大変なハンディです。下手をすれば生活者から見放されるメーカーも出てきます。「やっぱりテレビはトップ企業のサムソンだ」とこうなる訳ですね。

 

フランスのキャリアー且つドラマのアグリゲーターである「オレンジ」は、アップスを活用して韓国のLGと数年間の独占契約を締結しました。これはスマートフォンやタブレットにも適用されるそうです。判りやすく言えば「オレンジ」のサイトから番組をテレビやスマートフォンで見ようとするとLG以外は非常に不便と言うことになります。その代わりLGはCATV企業のように代理店としてオレンジのサービスを販売する訳ですが。

 

テレビ局やテレビ機器メーカーの殆ど全てがアップスで稼ぐ、アップスで差をつけてコンテンツで稼ぐと言う方針です。サムソンなど各社は広告費や映画、ドラマのコンテンツ販売、更にショッピングでもレベニューシェアをすると言っています。

 

またハリウッドのコンテンツ所有者もプレイボーイテレビなどのように「CATVや衛星テレビに提供すると8割カットされる。」「一方テレビメーカーと組み番組をインターネット経由で提供すると8割が手元に残る可能性がある」などと言い出しています。アップスが絡むと凄い時代が始まりそうです。

 

2010年のクリスマスにソニーとグーグルのアンドロイドテレビが登場する事が明確化して以来、その前哨戦とも言うべき上記の動きは激化しています。

 

<アップスによる疾風怒涛の時代の始まり>

 

 アップスを開発する企業は殆どが零細規模のITベンチャーです。かつてセカンドライフで仮想商品や仮想ギフトを作って売っていた主婦などの女性が日本でも海外でも年間100万円以上稼いだ事例を筆者は知っています。同様にアップスは個人のエンジニアがバイトで作るか、それとも数人の仲間で会社を立ち上げて作ると言った三ちゃん農業的な零細規模です。

 

行儀の良い基幹系ステムが雲の彼方に移動する中で、クライアント側に残ったアップスは、スマートフォン、ネットブック、タブレット、更にはコネクトテレビと大きく既存のビジネスルールを壊そうとしています。

 

テレビ信号とインターネット動画や情報とのマッシュアップの時代はアップスの繁茂する時代と重なり合って大きな変革の時代が始まろうとしています。

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