「光の道!!」孫社長と佐々木氏の論戦を眼前で見て楽しめた訳
<序文>
光の道とは民主党総務大臣の原口さんのビジョンであり、2015年までに日本中の全世帯に光ファイバーを使わせようと言う構想です。それをソフトバンクの孫さんがNTTの光保有部門の別会社化を主張して推し進め、佐々木さんが「インフラより具体的なアプリの整備が先!!」と待ったをかけて反対しています。その両者の討論がUSTREAMで行われました。
★★ 光の道 テキスト中継ログ #hikari_road
6月に出版される著書「USTREAMと超テレビの時代」の取材の最後に「光の道!!」の議論を入れようということになり、出版社から記者として届けてもらったので5月13日20時にソフトバンクの汐留に行ってきました。佐々木さんに「あれ?何しに来たの?」と言われて苦笑しましたが。
討論は5時間続いたので流石に終電が無くなる前に中座しましたが面白かったですね。ニコニコ生放送は同時視聴が2.3万人、入場者数85231 人、USTREAM(#hikari_road)は同時視聴が1.3万人程度、全体で22万弱(速報)と言う発表でした。
<孫さんの圧勝の印象だが論点が異なる>
討論番組を企画したソラノート企画の@ksoranoさんが司会をされていましたが、両者の論点が異なる為、かみ合わないところがありました。@ksoranoのアンケートでは孫さんの圧勝と言った処でした。
引用
【アンケート結果】Q.いままでの議論を聞いてどちらを支持されますか 1)孫さん 52.1% 2)佐々木さん 12.3% 3)どちらでもない 35.6% (#hikari_road
live at http://ustre.am/bNTj
)
引用終わり
孫さんは「光の道」=2015年までに4900万全世帯に光ファイバーを使える環境を整備するのは必要だとインフラ論と竜馬伝のような夢を語り、佐々木さんはインフラだけでは解決にならないと現実を語っていました。そして医療カルテなど政府のE-Japan戦略で「絵に描いた餅」に終わった話をされていました。でもどこかでかみ合っていません。それは一体、どう言うことでしょうか。
<クラウドに載る業界と載らない業界、データの種類を考えればすっきりする>
孫さんの主張ではクラウドコンピューティングに国内の全産業が大きく移行すると言う仮説が前提になっています。これを正しいとして論を進めます。
さて光の道が必要なのはインターネットやクラウドコンピューティングに日本全体の企業活動や消費活動がのっかると言う想定が前提です。そしてその場合、ustreamやニコニコ動画、YouTube、更には3Dのテレビ番組、3D仮想空間やWeb自体の3D化など文字以外の情報がどんどん使われ、更には基幹系システムも乗っかると言う想定です。(この内容は各産業によって大きく異なるでしょうが)これが孫さんの大雑把な主張な訳ですね。実に美しいビジョンです。これは日本全体が「光の道にのっかるべし」と言う国全体の方向性を示したものです。
一方佐々木さんの主張は「医療業界によっては業界によってはインターネットにのる(クラウド化する)以前の状況のところもある。だから標準化されたIT化のアプリケーションなどの導入の仕組み、否その前にIT化に適した業界の制度を作るのが先」と言う風に解釈することも出来ます。判り易く言えば「業界単位に社会制度的な遅れがあり、それがインターネット化の阻害要因になっている。」と聞こえます。医療だけではなく住民基本台帳ネットワークを前提にして作られた国や自治体の各種の申請システムも使われていません。国が税理士業界を脅かして使わせているE-タックスが多少使われていると言ったところです。従って官公庁や自治体もクラウド化以前ですよね。(プライベートクラウドと言うまやかし発想ならば別ですが。)
そうなれば国全体としては大きく光の道を引く方向に進み、クラウドコンピューティングに適した業界(巻き込まれた業界)からクラウドに引き込みながら、遅れた業界を外から刺激して同調効果を促す手法が正しいと言うことになるような気がします。
ではクラウドコンピューティングにまで既に進んだ業界とは一体、どこでしょうか。わかりやすい例ではインターネットのダウンロード販売に飲み込まれて2010年代には業界規模が半分になると言われる音楽業界、そして新聞や出版業界が現在、飲み込まれようとしています。その次はテレビ業界でしょう。金融業界などはインターネットではありませんが、既にグローバルなネットワークに乗っかっており、セキュリティなど条件が整えば何時でもインターネットアウトソーシング(クラウド)に理論的には乗っかることが出来ます。ICT活用の条件が整っている訳ですね。メーカーなども同じでしょう。
こういう風に見れば孫さんの光の道は大前提だし、その上で佐々木さんの言う業界ごとの組織整備が求められると言うことになります。
<ソフトバンクの社員食堂の感想>
我々記者(私は俄か記者ですが)は、横で行われている論戦をちら見しながらモニターを見ていました。ソフトバンクのニコニコ生放送に対する気の使いようは大変なものでした。ニコ生が落ちたときには、一斉にソフトバンク社員が復旧に動いていました。これも印象に残っていました。それにしてもまるで放送局のような大変な設備でした。
因みに討論の行われたソフトバンク本社の社員食堂に行ったのは初めてです。おにぎりとかお茶とかパンが出て結構、味は良かったです。
ではでは。