歴史の視点から「インターネットで一体、何が起こっている」のか??!
2010年に入ってマスコミの方々に「今ネットで一体、何が起こっているのか」と聞かれることが増えています。確かに現象的にはツイッターやUSTREAMが流行り、ニコニコ動画が黒字化し、ミクシィが招待制度から登録制度に移行しています。そしてアバターをはじめとするソーシャルゲームが流行っています。
では一体、「今ネットで一体、何が起こっている」のでしょうか?
判り易く言えば「歴史の視点から見て変化の本質は何か教えてほしい」と言うことだと思います。
ちょっと話を判り易くする為、米国における大統領選挙前とその後に区分して歴史を考えていましょう。これは殆ど同じことですが「テレビの完全デジタル化」以前と以降という時期にぴったり重なります。
<オバマ前の状況> (テレビの完全デジタル移行前の状況)
筆者はマイスペースで大議論となった「オンラインプレディター」の問題を鮮明に覚えています。例の変質者による18歳未満の子供達に対するアプローチ問題ですね。
米国では地域で学校で、自治体や弁護士事務所、PTAを巻き込んで大議論となり、ネットの活用制限を唱える立法が成立一歩手前まで行きました。
現在では既に子供達のサイト(例えばクラブペンギンやバービーガール)を見れば判りますが、事業者の自主規制が徹底しており、一定の解決を見ています。
筆者は「オンラインプレディター」問題をインターネットのコミュニティが社会的に認知され、電話と同じように社会に定着する手前の議論と考えていました。
そして「オンラインプレディター」問題の議論によりインターネットは社会に定着したと考えられます。
<オバマ大統領の登場(選挙中から選挙後)時の状況>
オバマ大統領はインターネット、特にソーシャルメディアと呼ばれるFACEBOOKやYOUTRUBE,更にツイッターやUSTREAMなどを駆使してコミュニティ運動を巻き起こし選挙を戦い抜きました。 この選挙によって捲き起こされたコミュニティ運動が新たな国作りの基礎をなしたと考えられます。
マクルーハンのメディア論やべネデイクト・アンダーソンの想像の共同体論を持ち出すまでもなく「メディアは社会を繋ぐ、縁、絆を繋ぐ役目」をします。
オバマ大統領が登場した前後からソーシャルメディアの利用者数は急速に伸び始めると共にテレビの完全デジタル移行が完了し、新聞やテレビなどは不況も重なって急速に衰え始めました。
そしてインターネットは21世紀に相応しい社会を生み出し始めました。
<オバマ氏が作り出したコミュニティ運動の意味>
国民国家を作り出したのはグーテンベルグの印刷術であると言われて久しいですが、キンドルやiPadなどのタビュレトの時代が始まると国民国家と言う想像のコミュニティは衰え始めました。NHKの「メディア激震」を見るまでもなく、新聞社がばたばた倒れコミュニティの縁、絆が希薄化したと言われています。国民国家は戦後アナログテレビによって支えられてきました。これはアメリカでも欧州でも日本でも同じことです。(詳細はメディア論参照)
日本ではNHKが言い出した無縁社会と言うコミュニティ喪失論が花盛りですが、アメリカでは既にソーシャルメディアによる21世紀の新しい国作り、社会作りが始まり、それをアメリカはグローバルビレッジに普及させようとしています。(コミュニティ解放論が参考になります。)
マスメディアの時代は「同一コンテンツの一斉ばら撒きが先で翌日、オフィスや学校で共通体験を確認する会話が後」になされました。受身、同質性、規律性が重視される社会でした。
一方ソーシャルメディア=インターネットの時代には「気の会う仲間との会話が先で、コンテンツの選択が後」の視聴スタイルイです。その為、自律性、自己表現、創造性などが問われます。
そして新しいメディアが生み出したコミュニティ運動の中では、「自律性、自己表現、創造性」が重視されました。その後は社会の人権とは、モラルとは、エコとは、ITを中心とする子供の教育とは、貧困とは何かが問われ始めています。所謂、ソーシャルメディア=インターネットが社会規範を生みなおし始めた訳ですね。
だから企業のマーケティングが、特にソーシャルメディアマーケティングはこぞって「社会貢献」を重視し始めました。コカコーラもペプシコーラも皆そうです。
そしてフリーに代わって台頭するマイクロ取引やマイクロファイナンスはオバマ選挙やゲームの中の仮想ギフト、仮想商品などの影響と共に社会規範、社会貢献の要素が色濃く求められています。
これと無関係に番組一本300円と日本の放送事業者がどんなに叫んでも有料見逃し放送は売れない訳ですね。
インターネットで起こっていることは、否インターネットが社会に定着したアメリカ社会で起こっていることは工業社会から知識社会への歴史の転換点の到来と社会規範の生み直しです。そのドライビングフォースがソーシャルメディアと考えられます。
我が国では未だインターネットやソーシャルメディアは完全な社会的認知を受けておらず週間ポストのような無理解なツイッター批判などがまかり通っています。
筆者は7月参議院選挙でのインターネット選挙解禁に期待しています。これが日本の21世紀の社会作り国作りを一歩前に進めるかもしれません。