iPhoneOS4プレビューに見るネット広告のアップ経済化とグーグル時代の終焉
この2010年4月8日のiPhoneOS4プレビューイベントは先日のiPadの発表より「内容が恐ろしい」と言う見方があります。
まずiPhoneは全世界で5千万台売れています。つまりiPhoneが作り出すソーシャルネットワークの参加者は5千万人と言うことになります。4億人の規模を持つフェースブック参加者のアクセスの25%がアイフォンから来るそうですが。
まあ古いiPhoneにはマルチタスクが使え無いと言うのはしょうがないとして横において於きますね。
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★★ oogle Nexus One(ネクサス・ワン)ついに発表―TechCrunchが詳細レビューをお届けする
<引用元:http://japanese.engadget.com/>
さて発表内容のポイントは
1、マルチタスク
2、フォルダー
3、メール機能の充実
4、企業用のエンタープライズ機能強化
5、iBooks
6、ソーシャルゲームとソーシャルネットワーク
7、iAD (広告ビジネス)
の7つでした。筆者は2から5はマイクロソフト的な漸進的、改善的な動きとして聞き流して、当然、マルチタスクとソーシャルゲームとソーシャルネットワークとアプルの広告ビジネス進出に衝撃を受けました。
★ グーグルのNexus One(ネクサス・ワン)販売の謎が完全解消
<スマートフォン広告市場の覇者は誰か!!>
これまでオープンソースのアンドロイドOSを提供していたグーグルが、「何故モトローラなどのメーカーを怒らせてまでグーグルスマートフォンのNexus One(ネクサス・ワン)を出したか」に関して色々な見方がありましたが、これで決着が付きました。
検索をはじめとする スマートフォンの広告市場をアプルと争う為の前哨戦だったわけですね。だからハードウエアメーカーを怒らせてまでグーグルは自社製品のアンドロイドフォンを出してアンドロイドの普及を焦りました。
アンドロイドの出る前まであれほど仲が良かったアプルとグーグルの不和も実はスマートフォンネットワークの広告市場を巡る前哨戦だった訳ですね。
アプルはスマートフォンネットワーク広告の胴元になって色々なアプリケーションであるアップスの開発者と収益シェアーを進めます。
これはグーグルには許せない裏切りと言う見方も成り立ちます。
★ ゲーム、ソーシャルネットワークとアップ経済
もう一つの柱がサードパーティが開発しているアップスの市場ですね。
アプルはセカンドライフやフェースブック、古くはアマゾンを参考に「プラットフォームカンパニー」(ドン・タプスコットら)を作り上げ、その上での自由なビジネス行動、自由な市場を立ち上げました。それがアップストアーを経由する限り許されました。
こうしてアップスは既に40億個がダウンロードされています。勿論、無料のものもありますが有料のものは、飴玉一個なんぼのマイクロ取引でアプルと開発者の収益に貢献しています。
更にゲームは「剣や刀、衣装、野菜」のような仮想商品、仮想ギフト(アイテムと日本では呼ばれていますよね。)のマイクロ取引をスマートフォンネットワークにもたらします。仮想商品、仮想ギフトはゲーム内外で展開されています。これはSNSのフェースブックモデルのコピーですね。
インターネットにシフトするマスメディア広告費をこれまでほぼ独占していたグーグルは、「オープンソース」の名の元に「情報や情報サービスのフリー」を叫んで著作権などで既存の産業と激しくぶつかっていました。
一方広告収益を背景としない(十分な広告費が入らない)フェースブックなどの経済的弱者(含むアプル)は、「ごりごりのプロプライエタリーサービス」をプラットフォームカンパニーとして開放し、オープンパブリック(公共圏)としての自由市場を提供してきました。そしてアイテムと日本で呼ばれている仮想商品や仮想ギフト、アップスなどの販売=マイクロ取引で収益をあげていました。開発者が7割、一部販売や決済などに絡むプラットフォームが3割と言った取り分ですね。
アプルはiPhoneOS4で仮想商品や仮想ギフト販売基盤としてのSNSとゲーム、更にマルチタスクにより多様なアップスの販売を狙っています。
マイクロ取引=アップ経済は飴玉一個販売の経済であり「ちりも積もれば山となる。」と言う性質があります。
ゲームセンター立ち上げはフェースブックのソーシャルゲームがスマートフォン上に広がって行くスピードに対応しています。PSPやニンテンドーDSへの脅威論が強まりそうです。
★ 広告のアップ経済化
アプルが胴元になった広告をゲームなど第三者のアップス上におく場合、収益シェアをすると言うのは一見、日本のミクシィとほとjんど同じに見えます。
しかしマイクロ取引の視点で見た場合、今回のアプルのスマートフォンネットワーク上の各種の広告販売を見ているとグーグル流のアフィリエート広告ではなく、アップ販売の一環としての広告と言う見方が成り立ちます。詰まらない広告ではなく広告と社交するようなエンゲージメント型広告(双方向のコミュニュケーションと感情の共有)ですね。
アップ内広告はサービスとしての一種のアップ提供であると考えられます。スチーブ・ジョブスは統一した世界観を好みますから、広告だけ例外と言うのは考えられません。
仲間としてのアップの開発者に「アップやアイテム(仮想ギフトなど)と同じように一緒に広告を売ろうよ」と言う視点で考えていると思われます。彼はソーシャルメディアマーケティングの天才ですから。
当然、フェースブックなどのソーシャルネットワーキングの要素を持つアップスと組み合わせたエンゲージメントアドも増えるでしょうが。一方グーグルが得意な検索広告も入れてくると思います。
つまり広告は一種のアップとしてユーザーに無料販売されている訳ですね。
そしてその上で販売手数料をアプルとアップの開発者が4対6で分割していると考えられます。
アプルの凄いところはiPhoneOS4で広告をアップ販売化=マイクロ取引化したという点でしょう。
既に音楽に対し情報の束の分解圧力をかけて、アプルはCDをばらばらにし一曲単位のマイクロ取引を実現させています。次はテレビの番組表の分解、更にその次は新聞の記事一本10セント売りでしょうか。
広告のマイクロ取引シナリオには筆者も驚嘆です。
ソーシャルゲームなどアップの開発者はマイクロ取引による三つの収益機会がもてます。
① アップスの販売
② 仮想商品、仮想ギフトの販売
③ 広告の無料販売手数料
★ ロケーションからゲーム、ソーシャルネットワークのたまり場としての物理店舗が広告効果の一つ!!
これは典型的なエンゲージメント広告発想ですね。
マイクロ取引の仮想取引や仮想ギフト(ゲーム内外の)、アップ販売、更にマルチタスクを活用してスマートフォン広告は以下ようなシナリオで展開されるでしょう。
先行するフェースブック上では、多くの消費財企業はブランドコミュニティを立ち上げゲームの世界観を基本にロケーションベースのマーケティングを行っています。
スターバックスしかり、マクドナルドしかり、ギャップしかり、家具のイケヤしかり、フォードしかりな訳ですね。
iPhoneOS4から活用できるフェースブックなどのブランドコミュニティやフェースブックなどの知り合いの関係を活用して仮想ギフト交換などで人々の社交を活発化させ、一緒にミートアップを地域のお店で行わせると言うシナリオにはマルチタスクは必須でしょう。こうすれば広告は一種のアップとして働き始めます。
★ iPad対応は秋 そしてラップトップの世界、パソコンのビジネスが変わる!!
★★ The iPad, Your Newest Workplace Productivity Enhancer
セールスフォースドットコムのマークベニオフは、 iPadは世界を変えると見ています。
曰く「iPadは新しいマックの世界だ!!」
クラウドコンピューティング + クロームOSとブラウザー +ネットブック + フリー と言う世界観にアップスとアップ経済の世界観を入れようとしているのがアプルです。そしてその中心はiPhoneOS4によるiPhoneとiPadです。
当然 HTML5の世界にもアプルは、HTML5用のブラウザーと組み合わせるアップスを一杯、出してくるでしょう。ゲームやスマートフォン、ゲーム機、テレビ用セットトップボックスなどは全てブラウザーからアップスに流れています。
その時グーグルなどはどうするのでしょうか?
その背景にはグーグルからソーシャルメディアにシフトし始める前兆が見え始めたネット広告費の流れがあります。またソーシャルメディアマーケティングはアップ経済=マイクロ取引が必須です。
現在、マイクロ取引ではグーグルはアプルやフェースブックに押され気味です。スマートフォン広告では広告すらマイクロ取引になろうとしています。
どうやら「クラウドコンピューティングの時代にグーグルが衰える訳」が現実の一歩を踏み出し進見始めた予兆が見えてきました。
グーグルからの反撃が見ものです。