目、耳、手。初見の予習は、どれが一番?
オーケストラのオフシーズンが終わりに近づき、初見大会の日が迫ってくると、「楽譜は準備できたか」とか、「オススメのCDはどれだ」なんて会話が頻繁に交わされるようになるものだ。自分の所属するオーケストラは、あんまりよそでやらないような曲目もよく取り上げるので、実際、一度も聴いたことない曲をやるなんてこともよくある。
初見大会前に、あわててCDを探すってことは、選曲のときにちゃんと聴いてなかったってわけで、なんとも受身な態度なのだが、オーケストラ人とは、そもそも肝心なときまでは受身な人種なので、致し方ない。まあ、これから数ヶ月かけて仕上げていくのだから、大目にに見ようというものだ。
では、こんな受身なオーケストラ人が、能動的に初見大会に臨もうというとき、どのように接するのか?
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CDを聴く |
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パート譜「命」 |
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ミニチュアスコア |
スコアは、CDを聴きながら眺めてもいいが、そのあとゆっくりスコアだけ見て反芻する。これが重要。自分なりのニュアンスがつかめたら、指揮者に能動的に向き合う準備ができたということだ。
初見レベルではないが、スコアを使ってもうひとつ理解しておくべきことがある。音楽は音がすべてを表すといっても、楽譜はその造形をビジュアルに表現する。スコアを念入りに観察することで、ちょっとしたフレーズの重みを気づかされることがある。裏方でかすんでる場合じゃないぜ、なんてことが、こうした観察からも見えてくる。
このような理解は、演奏会のパンフに記載された曲目解説から得られることが多い。演奏会当日、ステリハ(ステージリハーサル、やけっぱちでやるリハではない)を終えて、「さて、プログラムでも読むか」なんてゆっくり眺めていたのでは、実際手遅れなのだ。