iPadがM1搭載ということは、ひょっとしてWindowsも動くかもってことでしょうか?
先週、Appleの新製品発表イベントがありました。M1を搭載したiMacは予想の範囲内でしたし、AirTagもだいぶ前から話はありましたが、iPadにM1が搭載されたのはちょっと意外でした。
iPadは昔からiPhoneと同じAシリーズプロセッサ(同じ時期のiPhoneよりはちょっと強化されたもの)を使ってきました。だからこそ、iPhoneとiPadは同じアプリを共有できたわけですし、解像度を変えてどちらにも対応できるアプリを開発することもできたわけです。
もちろんM1もArmベースですから、Aシリーズとは互換性があります。iPadをiPhoneと差別化するという意味ではM1搭載ももちろん考えられなくは無いですが、2つの理由から、今回は見送られるのではないかと思っていました。
その第1は、世界的な半導体不足です。M1は世界最先端の5nmプロセスで製造されており、これを作れるのは現在世界でも台湾のTSMCと韓国のSamsungしかありません。しかもSamsungは5nmの立ち上げに苦労しているとも伝えられており、実質的にTSMCの一人勝ちの状況です。そもそも半導体の供給が不足しているときに、出荷量の多いiPadにM1を搭載するのはTSMCの理解が得られないのでは、と思っていました。
こちらの記事では、
AppleはTSMCの5ナノメートル生産施設のすべてを最新のAとMシリーズのプロセッサのために確保したという。
と伝えています。M1が売れれば売れるほど、Aシリーズの生産にも影響を与えるかもしれないのです。まあ、キャパが同じなのであれば、価格(=利益)の高いMac/iPadが売れた方が良い、ということなのかもしれません。
2つめは、M1を搭載することでMacとiPadの差別化が難しくなることです。今回発表されたiPadの価格は11インチで94,800円からと、限りなく10万円に近くなっています。12.9インチ、2TBのモデルはなんと261,800円(!!)からで、PCと変わりません。(というか、そこらへんのPCよりよほど高い)Macbook Airは115,200円からで、フル装備にしても23万円台です。逆転しています。
iPhoneも12だとminiでも82,280円からと高額ですが、4万円台のSEも並行して売られており、それなりの差別化は図られています。それだけに、このMacとiPadのオーバーラップは気になります。AppleはノートPCよりもタブレット形状の方が市場性があると思っているのかもしれません。私自身はキーボードが無いと文字入力したくない派ですので、タブレットにはそれほどの思い入れはないのですが、世の中の趨勢は違うのかも知れませんね。
誰も気にしていないのかも知れませんが。。
とはいえ、こういった世間の見方とは全然別に、私として気になったのは、
Windowsが動くのか?
ということなんですね。いや、別にそこまでしてWindows使わなくても困ることは少ないですが、技術的に興味があるじゃないですか。
先週、こんな記事を書いたところでしたが、
M1 Macでは、Intel版はともかく、Arm版Windowsは実際に動いているわけで、そうすると、M1 iPadでも動いても不思議ではありません。いや、OSも違いますし、そのまま動く、というほど簡単なものではないでしょうが、何も無いところから動かすよりは簡単なはずです。AppleがMacのCPUをPowerPCからIntelに変更した際に、「Windows動くのかも」という話が出ました。Appleは当初は否定したものの、後にApple純正のPC互換環境「Boot Camp」を発表し、MacOSとWindowsのデュアルブートを実現しました。Mac使っているように見えて実はWindows、という人が増え、スタバでMac使うのがトレンドになったりしました。私はこれが、Macがシェアを拡大した一因にもなったと考えています。
今回も、仕事上Windowsが必須な人が、iPadをSurfaceとして使えればそれなりの需要があるのではないかと思うのです。しかしそれも、今のところはArm版Windowsなわけで、どこまでx86アプリが動くかはわかりません。やはりIntel版Windowsが動くと良いのですが。
まあ、どうしても使いたければAmazon WorkSpaces使えば良いわけですが、ネット繋がっていないと使えないし、トラブルがあった場合などを考えると、いろいろな選択肢は必要だと思うのですよね。
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